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幸せな諸君に贈る!
- ピンクの森と黒色世界 -

シュシュのお花に、リボンの蝶々。
それに腹を裂けば綿の雲が出てくる友達のうさぎさん。

はがれたペディキュアの裸足が歩く床には散らばったおくすりと、毒々しいくらい鮮やかな造花。それと、カップケーキの残骸。

ピンクの壁にはお城のステッカー。天井には大量のお星様のモビール。

ここは、私の森。ピンクの空にはいつでもお星様が、ある、私だけの森。

窓はない。ていうか、窓ってなぁに?
気づいた時にはここにいて、お腹が空いたらカップケーキにマカロン、喉が渇いたらいちごミルクやラズベリーソーダ、寂しくなったらお姫様が出てくる絵本があった。

伸びっぱなし天然パーマの髪の毛にはどこから入ったのかマーガレットの花が咲き乱れる。首を降るたび花弁がひらひら、床がまた汚れる。


ここには私一人だけ。かっこいい王子様も、意地悪なお姉さまも、優しいお母さんも居ない。いつからか裸の私に似合うドレスも、ガラスの靴も無い。


ここでの生活は辛くない。でも絵本で一人が寂しいことを知った。だから私は一人ぼっちのかわいそうな子。ひらひら舞うリボンの蝶も、うさぎさんも私には話しかけてくれない。

流れてくるキラキラした音楽も、ふわふわ漂う花の香りも。実は全部つくりものだったりする。自分で言うのもなんだけど、頭は良い方だからわかる。

ここから出る方法も、出ようとする気持ちも無い。だから私は監獄のお姫様。辛い拷問も、厳しい罰も無い。
あるのは満たされない寂しさと、女の子らしさで私を縛るこの部屋。


ずっとこういうのが続くんでしょう、そう思ってた。


だけど簡単に壁のお城は崩れて、お星様はぱらぱら落ちるのを知った。

目の前には見たこと無い、ピンク色とは正反対の色に身を包んだつり目の王子様。
「お前は誰だ」あなたのお姫様よ、ずっと魔法のキスを待っていたの。
「頭いかれてんのか」いかれる?きっと違う国の王子様なのね、ここまで来てくれるなんて嬉しいわ。
「とにかく一緒に来てもらおうか」えぇ、私ついにお嫁さんになるのね、強引なあなたも好きよ、大好き。


それから王子様は私の頭の花をもぎ取って、うさぎさんのお腹をまっぷたつに裂いた。

あぁ、結構気に入ってたのに、でももっと素敵なものを下さるのでしょう?

「あー…こちら***番、この国の最後の生存者発見、頭がいかれた小娘です、持ち帰り次第ー」

素敵素敵。あんな機械は初めて見たわ、きっと私の知らないものがたくさんある国なのね。ちゃんと馴染めるかしら。意地悪なお姉さまにいじめられないかしら。

「ほら、いくぞ」そういい手をさしのべる王子様に、私は笑顔で、その手をとった。


世間知らずの少女の胸は、どきどきと、初めてのときめきだけで満ち溢れてたという。

はい、最初の主人公はガーリー箱入り娘ちゃん。このあとお姫様がどうなったのか、それは皆さんの想像にお任せします。あーマカロン食べたい。
<2016/06/16 21:31 喬木(タカギ)>消しゴム
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