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幸せな諸君に贈る!
- ねぇ。 -

あいたい。


浴槽の中で口から漏れた言葉。ぺたり、髪の毛が頬にくっつく。

ぱちくり、瞬きした。私の好きなひとはもういない。

せんせい。


もう一度、今度は声に出さずに。目をつぶれば思い出す、あの顔。あの匂い、あの後ろ姿、あの声。


たくさん怒られた。それだけたくさん甘やかしてくれた。


私が一番好きよって言ってくれた。
私もあなたが一番好きだった。


でもあなたは消えた。薬指に光るのはコンヤクの印。


もう会えないよって言った。笑顔で。

残念だわって、嬉しそうに。








嘘つき。



好きだったのは私だけだったはず。
私を好きなのはあなただったはず。


それなのに。



あなたに会えない日々は息を止めるの。

溜まった寂しさを瞳から吐きだすの。


夜ならなんにも見えないから。
もしかするとあなたが目の前にいるかもしれないから。


無駄な期待をしてしまう私はきっとばかで。

どれだけも救いようの無いせかいいちかわいそうな女の子だ。


自己中。 どこからかそんな声が聞こえる。

もうそうへき。くすくす笑う声が聞こえる。

いやだ。そんなことない。やめてやめてやめてやめて。

あなたがいなくなってから私学校に居場所なんてなくなっちゃった。

ぜんぶせんせい、あなたのせいだよ。



浴槽に沈めば息がくるしくなる。
ぼやけてくる。
とおのいていく。

ぼやぼや。気のせいかな、あなたが見える。






ねぇせんせい。







そんなあなたに今でも恋し続けるわたしも相当だろうけど。

皆さんには好きなひとがいますか。

私はいません。今は、ね。
<2016/06/18 22:28 喬木(タカギ)>消しゴム
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