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幸せな諸君に贈る!
- めだまキャッツアイ -

ちょっと左目に違和感があるなぁ、廊下を歩いていて思った。

昼休み、わいわいがやがや学年棟。

なんというか、ぐらぐらする。それでいてほわほわして、ちくちく痛い。

そうっと触って、少し動かす。


ぽろんっ、次の瞬間ころりととれてしまった。
びっくりながら拾い上げ、埃やごみを払う。黄色の瞳はキャッツアイの様にキラキラと蛍光灯の明かりを反射して光っていた。

どうしよう、この目玉。

とりあえずトイレの洗面台で顔を見た。
あんまり違和感無いけど、よく見ると左の目がまっくろくろすけでも入れているように黒い。黒い黒い。

はめれないかなぁ。押し込もうとするけど入らない。ううん。それにしてもこの目玉綺麗だなぁ。リアルなアクセサリみたい。ホンモノだけれど。

取り合えずきらきら目玉をスカートのポッケに入れて、密編みを編み直して、スカーフを整える。よし、模範的生徒だ。

授業のチャイムがなって、五時間目のはじまりを告げる。急いで席に駆け込み、社会科のノートをひらいた。

ひまでひまで仕方がない授業中、通路の向かいの南くんのことがやけに気になった。生徒会長…成績優秀…美目秀麗……銀縁メガネが格好いいクラスメートだ。

彼は授業は二の次、何かに目を奪われていた。手の中にある、なにか。

気になる。いや、気になって気になって仕方がない!仕方ないから、気づかれないようにそうっと身を乗り出して見る。


きらんっ
黄色の光が視界を眩かせる。紛れもない、わたしの、目玉。

急いだとき落ちたんだ!どうしよう。かなり本気で返してほしい。なすすべなく、彼をしばらく見つめていると。


きゅるっ
ぴたっ
ころころっ。

南くんの手が、わたしのキャッツアイを優しく撫でる。まるでなにかを愛撫するように、玩具を大事にするように。

わぁ。メガネの奥がやさしい。目の前で大切にされるところを見ると、なんとも言えないきもちになる。
ぞくぞくときゅんきゅん、それとどきどき。

せんせいが近づくと、彼はポケットに急いでキャッツアイを入れた。暗くて、温かくて、男の子のにおい。

どうするんだろ。家でも触るの?それとも、綺麗すぎて舐めちゃったり、キスしちゃったりして、きゃっ、はれんち。


そんなこんなで、結局まだ私のキャッツアイは返ってこない。南くんのおうちで、大切にされて居心地が良くなってしまったのだろう。


いつかわたしも、いきたいな、おうち。



そのときは、ちゃあんとキャッツアイふたつでおめかしして、南くんがキスをするのは私の唇だったらいいのに。

今日見た夢です。きっもちわるッツ。
<2017/10/22 21:28 喬木(タカギ)>消しゴム
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