私の隣の席の一条くんは、完璧という言葉がまさに似合う完璧超人だ。
成績優秀、文武両道、容姿端麗と三拍子揃った天才で、女子からはかなりモテる。実際、学校の約九割の女子が彼のことを好きになった経験がある。
然し、日持ちしない。
と云うか逆に、一週間も経たないうちに彼に冷めてしまう。
何故か。
そう。一条くんは、性格がちょっとアレなのである。
これは、一条くんに恋をしてしまった中学生時代の私の、彼に玉砕というか幻滅してしまう話だ。
──────────────────────────────────
「告白・・・・・・かぁ」
私は窓から見える告白シーンに、思わず溜息を吐いた。
校舎裏に男女のペアが二人。男性の方は一条くんで、女性の方はうちのクラスの佐々木さんだ。
私の名前は宇佐美香菜(うさみかな)。彼、一条佑馬くんに恋をしてしまった中学三年生だ。
中二の時に同じクラスとなり、彼の魅力に惹かれてしまったのだ。
「でも、私なんて無理だよね・・・・・・」
私は変わらず、外の景色を見る。
校舎裏では、真顔の一条くんと顔を耳まで紅潮させた佐々木さんで、軈て佐々木さんは九十度頭を下げて、何か言葉を発した。きっと、告白をしたのだろう。
それに対して一条くんは、佐々木さんの肩にぽんと手を当てる。多分、顔を上げて、とか何とか言ったのだと思う。矢張り、一条くんは紳士だなぁ。
然し。
軈て佐々木さんは号泣しながら、顔面をさっきより紅潮させ、猛ダッシュで駆け出していった。
「あーあ。玉砕されちゃったのか・・・・・・」
佐々木さん可愛いのに、私はそう思ったが、喜んでいる自分もいて少し私は罪悪感に駆られた。
私はもう一度溜息を吐くと、午後の眠い授業を受けながら、あの告白シーンのことばかりを考えていた。
軈て下校時間になった。
然し、外は雨が降りしきっている。
「今日は一日中晴れって、お母さん言ってたのに・・・・・・」
私は、素直に母の言った言葉を信じた八時間前の自分を恨んだ。
「どうしよう・・・・・・傘・・・」
私は周りで傘をボンっと開き、お喋りしながら帰っている生徒達を、溜息をつきながら一瞥する。
こんな時、馬鹿な男子はいいよなぁ。走って笑いながら帰れるんだし。
でも、よく考えたら数分走ればバス停に着くし、バス停には屋根がある。そしてバスに乗ってしまえば、もう濡れることは無い。
「・・・・・・よし!」
軈て私は鞄を傘替わりに、猛ダッシュで走っていた。
周りの目が痛い・・・・・・。
然し私は気にせずに走り続けた。
だが、バス停までの道程はあまりにも遠いものだった。
濡れに濡れた制服が重く、靴から上の靴下くらいまでが泥だらけだ。
私は駄菓子屋さんの屋根を借りて雨宿りをし、雨が止むのを待ち続けた。
「雨止まないなぁ」
一向に雨が止まない。
私が今日何度目になる溜息を吐いたとき、彼は現れた。
「・・・・あれ、えっと・・・橋本さん?」
だから一文字も合っていない。
「一条くん!?」
「・・・・・・?そうだけど(なんで僕の名前を知って・・・・・・?ストーカー?)」
「たはは、私傘忘れちゃってさぁ・・・・・////」
「あぁ、そういう事ね・・・・・・。それなら」
一条くんはそう言うと、ここからは離れたコンビニの方に、歩いていってしまった。
そして五分ほど経ったとき、彼はこちらに来る。
右手に、ビニール傘を持っていた。
「はい、これ」
私としては相合傘をすることを臨んでいたのだが、まぁいい。
一条くんは優しいなぁ。
「あ、ありがとう!」
「ん」
私がお礼を言うと、一条くんは手をこちらに差し出す。
「え?」
私はわけもわからずに、彼の手に自らの手を置く。
「300円」
「あ、あぁ、はい・・・・・・」
そうだよね、無料で傘が貰えるなんて、都合良すぎだよね。
私は鞄から財布を取り出し、300円を出して彼に渡した。
「あ、あのさぁ一条くん。今日、佐々木さんに告白されてたよね?」
「・・・・・・あぁ、うん(この人本当にストーカーなんじゃ・・・)」
「それでさ、えっと、佐々木さんになんて返したの?」
「あぁ、それなら、僕が返事をする間もなく駆け出していったよ。ただ、肩に虫が付いてるって言っただけなのに・・・・・・」
「え?」
「相手も相手で、失礼だと思うね」
「えっと・・・・・・うん・・・?」
あれ、ちょっと待って?一条くん?どうしたの?
「それじゃ」
「あ、あぁ、はい・・・・・・傘ありがとう」
「・・・・・・別に」
私は一条くんに礼を言うと、そのまま違和感を感じながら再び歩き出した。
彼が傘を買いに行ったコンビニに、傘が200円で売っていたのを見て、一条くんに幻滅する私だった。
そして一年後彼に再会し、同じクラス隣の席となったのだが、彼は私のことを覚えてすらいなかった。
一条くんは良い人でも悪い人でもない。
ただ、こういう人だ。
成績優秀、文武両道、容姿端麗と三拍子揃った天才で、女子からはかなりモテる。実際、学校の約九割の女子が彼のことを好きになった経験がある。
然し、日持ちしない。
と云うか逆に、一週間も経たないうちに彼に冷めてしまう。
何故か。
そう。一条くんは、性格がちょっとアレなのである。
これは、一条くんに恋をしてしまった中学生時代の私の、彼に玉砕というか幻滅してしまう話だ。
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「告白・・・・・・かぁ」
私は窓から見える告白シーンに、思わず溜息を吐いた。
校舎裏に男女のペアが二人。男性の方は一条くんで、女性の方はうちのクラスの佐々木さんだ。
私の名前は宇佐美香菜(うさみかな)。彼、一条佑馬くんに恋をしてしまった中学三年生だ。
中二の時に同じクラスとなり、彼の魅力に惹かれてしまったのだ。
「でも、私なんて無理だよね・・・・・・」
私は変わらず、外の景色を見る。
校舎裏では、真顔の一条くんと顔を耳まで紅潮させた佐々木さんで、軈て佐々木さんは九十度頭を下げて、何か言葉を発した。きっと、告白をしたのだろう。
それに対して一条くんは、佐々木さんの肩にぽんと手を当てる。多分、顔を上げて、とか何とか言ったのだと思う。矢張り、一条くんは紳士だなぁ。
然し。
軈て佐々木さんは号泣しながら、顔面をさっきより紅潮させ、猛ダッシュで駆け出していった。
「あーあ。玉砕されちゃったのか・・・・・・」
佐々木さん可愛いのに、私はそう思ったが、喜んでいる自分もいて少し私は罪悪感に駆られた。
私はもう一度溜息を吐くと、午後の眠い授業を受けながら、あの告白シーンのことばかりを考えていた。
軈て下校時間になった。
然し、外は雨が降りしきっている。
「今日は一日中晴れって、お母さん言ってたのに・・・・・・」
私は、素直に母の言った言葉を信じた八時間前の自分を恨んだ。
「どうしよう・・・・・・傘・・・」
私は周りで傘をボンっと開き、お喋りしながら帰っている生徒達を、溜息をつきながら一瞥する。
こんな時、馬鹿な男子はいいよなぁ。走って笑いながら帰れるんだし。
でも、よく考えたら数分走ればバス停に着くし、バス停には屋根がある。そしてバスに乗ってしまえば、もう濡れることは無い。
「・・・・・・よし!」
軈て私は鞄を傘替わりに、猛ダッシュで走っていた。
周りの目が痛い・・・・・・。
然し私は気にせずに走り続けた。
だが、バス停までの道程はあまりにも遠いものだった。
濡れに濡れた制服が重く、靴から上の靴下くらいまでが泥だらけだ。
私は駄菓子屋さんの屋根を借りて雨宿りをし、雨が止むのを待ち続けた。
「雨止まないなぁ」
一向に雨が止まない。
私が今日何度目になる溜息を吐いたとき、彼は現れた。
「・・・・あれ、えっと・・・橋本さん?」
だから一文字も合っていない。
「一条くん!?」
「・・・・・・?そうだけど(なんで僕の名前を知って・・・・・・?ストーカー?)」
「たはは、私傘忘れちゃってさぁ・・・・・////」
「あぁ、そういう事ね・・・・・・。それなら」
一条くんはそう言うと、ここからは離れたコンビニの方に、歩いていってしまった。
そして五分ほど経ったとき、彼はこちらに来る。
右手に、ビニール傘を持っていた。
「はい、これ」
私としては相合傘をすることを臨んでいたのだが、まぁいい。
一条くんは優しいなぁ。
「あ、ありがとう!」
「ん」
私がお礼を言うと、一条くんは手をこちらに差し出す。
「え?」
私はわけもわからずに、彼の手に自らの手を置く。
「300円」
「あ、あぁ、はい・・・・・・」
そうだよね、無料で傘が貰えるなんて、都合良すぎだよね。
私は鞄から財布を取り出し、300円を出して彼に渡した。
「あ、あのさぁ一条くん。今日、佐々木さんに告白されてたよね?」
「・・・・・・あぁ、うん(この人本当にストーカーなんじゃ・・・)」
「それでさ、えっと、佐々木さんになんて返したの?」
「あぁ、それなら、僕が返事をする間もなく駆け出していったよ。ただ、肩に虫が付いてるって言っただけなのに・・・・・・」
「え?」
「相手も相手で、失礼だと思うね」
「えっと・・・・・・うん・・・?」
あれ、ちょっと待って?一条くん?どうしたの?
「それじゃ」
「あ、あぁ、はい・・・・・・傘ありがとう」
「・・・・・・別に」
私は一条くんに礼を言うと、そのまま違和感を感じながら再び歩き出した。
彼が傘を買いに行ったコンビニに、傘が200円で売っていたのを見て、一条くんに幻滅する私だった。
そして一年後彼に再会し、同じクラス隣の席となったのだが、彼は私のことを覚えてすらいなかった。
一条くんは良い人でも悪い人でもない。
ただ、こういう人だ。
