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隣の一条くん
- どうしてが通用しない彼 -

私の隣の席の一条くんは、完璧という言葉がまさに似合う完璧超人だ。
成績優秀、文武両道、容姿端麗と三拍子揃った天才で、勿論女子の人気も高い。
実際、学校の約九割の女子生徒が、彼のことを好きになった経験がある。

然し、彼はモテるといっても日持ちはしない。

何故か。

そう。一条くんは性格がちょっとアレなのである。


これは、去年の冬に彼に起こった出来事である。


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辺りは飾りの付いたクリスマスツリー、そしてイルミネーションの光に照らされている。明日は愈々クリスマスイブ。イエスキリストの誕生日・・・・・・の前日だ。
友達の少ない私は、近くを見渡した。
周りはクリスマスパーティーに一条くんを誘うか誘わないか、一条くんが好き派と苦手派に別れて口論を繰り広げている。
そんな中、一条くんはやっぱり一条くんで、自分が中心であるはずの口論なんて目もくれずに、読書をし続けた。
彼はあれなのか。クリスマスという単語を知らないのか。

「・・・・・・一条くん?ちょっとごめん、話があるんだけど・・・・・・」

口論は軈て幕を下ろし、じゃんけんで負けたらしい女子生徒が、頬を紅潮させながら尋ねた。

「・・・・・・・・・」

一条くんは目だけで次を促す。
然し、一向に本を閉じようとはしない。

「えっと、明日ね、クリスマスパーティーやるんだけど・・・・・・良かったら、一条くんも来ない?」

多分断られるでしょうから、その誘い、私にくれませんか。

私は繰り返すが友達が少なく、クリスマスパーティなど家族としかやった覚えはない。

「無理」

うん、解ってたけどもうちょっと考えようよ一条くん。

「そ、そうだよね・・・・・・ごめん」

女子生徒は俯きながら、トボトボとグループの方へと歩いていった。
然し、気の強そうな髪の短い女子生徒が、ひょっこりと顔を出す。

「ねぇ一条。あんたさぁ、もうちょっとなんか考えてあげられないわけ?こちらとしても、あんたなんか誘いたくなかったし、苦渋の決断だったんだけどさ、さとみがあんたのこと心配して誘ってあげたんだよ?ちょっとくらい感謝しなよ」

「・・・・・・・・・」

女子生徒の言葉に黙り込んだ一条くんは、再び読書を再開した。

「ねぇ!いい加減にしてよ!」

「いいよ、澪!」

さとみという名前らしい女子生徒は、短髪の女子生徒を止めに入るが、短髪の(以下略)は気にせずに続けようとする。

然し、短髪(以下略)の紡ぐ言葉を、一条くんの冷徹な言葉が遮った。

「はぁ・・・・・・。なんで、他人の誕生日、ましてやその前日なんかで友達ですらないクラスメイトと、慎ましやかなパーティーなんかしなくちゃならないの?」

一条くんは時間の無駄だと言わんばかりに、その言葉を発する。

「いや一条くん?イエス=キリストのこと他人って言っちゃだめだからね?一応私たちもイエスのこと知ってるし、相手も神様だから多分私たちのこと知ってるし・・・・・・・・共通の知り合い、でいいんじゃないかな?」

私も、補足にならない補足を付け加える。
メラメラと燃える短髪(以下略)の瞳を見て、思わず私と一条くんは俯く。

「くっ・・・・・・」

「まぁ、僕は不参加ということで・・・・・・」
一条くんは本に目を落としながら、短髪(以下略)に目も合わせずに答える。

「あ、私暇だし・・・・・行ってもいいかな?////」

「来ないで!」

「あ、そですか・・・・・・」

ということで、今回も私と一条くんはパーティー不参加となった。
後で聞いた話なのだが、その学年、中学三年生は全員そのパーティーに参加していて、不参加なのは拒否った一条くんと、断られた私だけだったという。



一条くんは良い人でも悪い人でもない。
ただ、こういう人である。



<2016/06/19 22:40 田中太郎>消しゴム
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