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アイのmessage Part10
- message ~9~ -

遥はガラス越しの光景を悲しそうに見つめていた。ここは病院。風羽がガラス越しのベッドに横たわっている。そんな信じがたい光景に遥の胸はぎゅっと締めつけられた。何故、風羽が自分を探し回っているのを知っていて、それでも避けたのか。何故、もっと強く影月が危険な奴だと伝えなかったのか。何故、彼女を守ると言って守れていないのか。後ろめたい後悔が胸の中を渦巻いていた。

軋む体。誰かの声。風羽が目を覚ましたのはあれから一年後の春だった。
「誰?」彼にむかって聞いた。彼は一瞬顔をしかめて、そして笑って、言った。「俺は遥。君は?」全ての感情を押し殺して遥は言った。「私は…」「…?」「あれ…わからない…」「え?」遥は頭が真っ白になった。彼女は記憶を喪失していたのだ。風羽には何もわからなかった。

それから一年。また一年。季節は巡りまた春が来た。空気に舞う羽のような風が頬をくすぐるような朝。奇跡が起きた。
「遥くん?」ベッドに寄りかかるようにして眠っていた遥を誰かが呼んだ。その声に遥は薄目を開ける。そこには、まるで春の風が笑ったような笑顔があった。「遥くん、やっと見つけた」その顔を見たら、不意に泣きたくなった。今までの辛かったことがことが涙となって溢れそうだった。「あのね、遥くん。遥くんに伝えたいことがあるんだ」「いいよ」もうなんでもいい。内容なんかどうでもいいから、今遥は風羽と話していたかった。「前のこと。あの…叩いたりしてごめんね。あといつもありがと。あとね…」そこで風羽は言葉を濁した。言ってはいけない気がしたから。「じゃあ、次俺。」遥が言った。「ずっと守ってやれなくてごめんな。あとお前のこと避けてたのもごめん。俺なんかが言える立場じゃないかもしんないけどさ…」遥は深呼吸をして言った。ずっと胸に秘めていた思いを。

「好きです」

風羽は驚いた顔をしたが、照れくさそうに微笑んだ。

「私も…です」

全てがプラスの感情ではないけれど、ずっと続いた二人のmessage。
きっと"好き"だけが愛ではない。
二人はこの先もずっと愛のmessageを重ねて生きていくんだ。

              ~END~

前回の答えですが、「鉛筆」です。
幼い頃のイタズラな心。
大人になっても持ち続けたいものですね。
さて、今回で愛のmessage完結しました。いろんな「愛」を題材に書きましが、初夏のテンションと共におかしくなっていったかもしれない(笑)挫折もありながら、楽しく書けました。今まで読んで下さった皆さん本当に有難う御座いました。
<2017/06/10 11:43 初夏くん。>消しゴム
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