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アイのmessage Part10
- message ~3~ -

「違います。これはこう」風羽はお気に入りのシンプルなシャーペンを教科書の上で動かし、丁寧に教える。あれから数週間はずっとこの調子。遥曰く風羽の教え方は先生より上手らしい。「ねぇ、春沢さん」「はい?」
「ずっと思ってたんだけど、春沢さんは独りぼっちで寂しくないの?」風羽は弾かれたように遥を見た。
「寂しくないです…」
「そぉ…なの…?」意外な返答にリアクションがおかしくなる。
「好きで独りでいるんです」風羽は笑っていた。とても、

寂しそうに。

「寂しいんでしょ?」遥の問い掛けに風羽は首を横に振った。
「心に嘘はつけないよ?春沢さんの顔に書いてある。寂しいって」風羽にはどうしても否定することができなかった。全て図星だから。「本当に寂しくないなんて思ってるの?もし、そうだとしたら、春沢さんの心は春沢さんにまで無視されて可哀想にね」全ての思いをぶつけた。言い終えて、しまったと思った時にはもう遅かった。「ごめん…」「君に何が分かるんですかっ!私のこと知ったように言わないで下さいっ!もう、君とは喋りませんっ!君も私に話し掛けないで下さいっ!もう君の顔も見たくないっ!君なんて…」「風羽」よく知る声。西野だ。
「遥、教室に戻れ」「お、ぉ…ぅ…」遥は背を向け、去っていった。

「風羽。アイツは優しい。だからこそ独りぼっちでいるお前をわかろうとしてる。アイツを信じて、半歩ずつでいい、前に進んでみたらどうだ?」幼い頃からずっと見てきた、西野の優しい瞳。兄の友人の彼は、信頼を寄せていた。「わかった…」風羽はうつむいたまま、小さく頷いた。
☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆*★*☆
「あの…」「何?」遥の冷たい声「あの、昨日はごめんなさい。あんまり素直に言われたものだから、あんなこと言っちゃいましたけど、でも本当は嬉しかったんです…。だから、もう一度お話しながら、ご飯…、一緒に食べませんか?」
「要らないから。そういうの」願っていなかった言葉。簡単な"お別れ"の言葉。また、独りぼっち。「ハハハ、笑える。可愛いアピールかよ」後ろで小さく誰かが呟いた。いつもの中庭、ガレージ、テーブル。全てがいつもと同じなのに、なぜかどこかが違う気がして、辛かった。

「遥さん。授業中です。起きてください。」「うるせぇ。黙れ」遥は小さな声で呟いた。「ですが…」風羽の言葉と同時に6限の終わりのチャイムが校内になり響いた。
「おい、影月」遥は教室の一番端の席に座る影月 渚(カゲツキナギサ)に声をかけた。「何?」

「俺と席変わって?」

その一言を聞いた瞬間、風羽は「いやだ」の3文字を願った。「いいよ」

"嫌われた"
その確信めいた言葉は、エンドレスして、風羽に否定させなかった。「宜しくね?春沢 風羽さん」風羽はうつむいたまま、弾かれたように教室を後にした。暗く沈んだ中庭に風羽は腰を下ろした。「は、は…るかさっ…ん」

太陽が月に隠れた。
もう、あの明るい光は見れないのか。

目から絶えず流れる大粒の涙を見つめながら、風羽は泣いた。広い野原に吹く静かな風のように。

以上です!
次回は「message4」です。
宜しくお願いします!
<2016/09/11 14:40 初夏くん。>消しゴム
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