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アイのmessage Part10
- message ~6~ -

「ただいま」風羽は家の鍵を開け、家に入った。家の中には誰もいないはずだ。

風羽の兄 春沢 宇宙(ハルサワ ソラ)幼少の頃から病弱でほとんど家にいない。父は風羽が幼い頃に家を出ている。そのため母は仕事に追われる日々を送っている。
「おかえり」家の中から声がした。風羽はぎょっとして、急いでリビングに駆け込んだ。そこには、普段は病院の白いベッドにいる兄がいた。そして、台所には母の姿。「ど、ど、どうしてぇ…」「それはですね」突拍子もない様な声に答えるよく知った声。西野だ。「退院できたんだよ。一時的にだけどな」にぃっと西野が笑った。不意に白くて細い指が風羽の頬に触れた。「ただいま。風羽」

西野は一人、ベランダに立っていた。「宇宙の阿呆…」(俺なんかに頼むなよ…。あんな大役…)
それは、風羽が帰ってくる数分前のことだった。
『ねぇ、伊夜』
昔から変わらない、女性のような高い声。『んー?』いつもより改まった様子の宇宙に違和感を感じつつも、いつもと変わらない調子で返事をした。『あのね…』照れ笑いながら、日に焼けたことのない黒髪をポリポリとかく。『なんだよ?』『あの…風羽に伝えてほしいことがあって…』『別に兄妹なんだから直接言えば?』『これは君にしかお願いできないんだ…』『…』『彼女に"ありがとう"って伝えてほしいんだ…』『なおさら自分で…』

『僕はもうここにはいれない』

伊夜を遮った言葉はあまりにも残酷で
伊夜はそれっきり何も言い返せなかった。

一週間

それが、宇宙に残された時間。

ひとりの人として過ごした時間、
家族と過ごした時間、
自分と過ごした時間、

人生という時間全てが短すぎるのだ。

せめて、一週間。
宇宙の一番の人と過ごしてほしい。伊夜の切なる願いだった。

それは儚く、一瞬のうちにきえた。

春沢 宇宙 24歳。
死因 心臓発作
予定より2日、早い死だった。

«少しわがままを言わせて?»
«僕のこと、わすれないで»
«お願い»
«さようなら»
«今までありがとう»

風羽のスマホに残された宇宙の最後の言葉だった。

しばらくぶりの投稿です…。
なかなか投稿できず、すいません…。
これからはできるだけ、定期的に投稿します。
読んでくださった方、ありがとうございます。これからも宜しくお願いします。
<2017/05/17 00:57 初夏くん。>消しゴム
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