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東方文桐録
- 第24話 許嫁 -

◇◆桐視点◆◇

「桐!動かないでくださいよぉ!」

「うー、だってすんごいしみるんだよ!」

 今は、怪我の消毒中。この消毒、超しみる。さっき消毒を付けられた場所が、ヒリヒリする。

「もうっ!暴れないでください!12歳でしょっ!ちっちゃい子じゃないんだから、これくらい我慢してくださっ…ひゃあ!?」

 文の持っていた消毒液の瓶が、中を舞う。もちろん犯人は俺だ。

『バッシャァ』

 中身は全て、ぶちまけられた。………半分くらい文にかかって。

「ぁ、ぁぁあぁ!?目、目がぁ、痛い、ですぅっ!?か、からだがぁ、ひりひりしますぅっ!」

 ……思ったよりも大事になっていたらしい。

「見せてみろ。」

 文の目は、赤い。それはいつもと変わらないのだが、いつもは白い部分まで赤い。うん、痛そう。まぁ、ここは安心させる為(?)に嘘をつくしかない。

「大丈夫だ。問題ない。」

「絶対問題ありますよね!?伊達に貴方と7年間一諸にいる訳じゃないんですよっ!」

 7年……今まで生きた年月の半分以上だなぁ。

「大丈夫だ。ほとんど問題ない。」

「今、ほとんどって言いましたよね!?問題、あるじゃないですか!?……………はぁ、もういいです。うぅ、まだひりひりします…私、着賛えてきますから、ここにいてくださいね。」

「分かった。」

◆◇文視点◇◆

 桐の、嘘つき…目、まっ赤ですよぉ…………

「うぅっ、ひぐっ、ぇぐっ…ぐすっ……………桐の、バカ……」

 私しかいない静かな部屋に、私の声が反響する。…………初めて、バカって言いました……………

「……はやく、戻らないと……………」

 着賛えて、何故出たのかも分からない涙を拭う。そして私は歩き出した。

◇◆桐視点◆◇

 文が戻ってきた。どうやら、嘘をついたのがバレたみたいだ。

「文?どうした?」

「どうもしてません。ただ、ちょっと………」

『ぎゅっ』

 俺は文の頭を撫でる。

「ごめんな。俺、嘘ついた。」

「……………桐の、嘘つき…」

 そんなこと言いながらも、文はしがみついてくる。

「………桐の……ばかぁっ!……………ひぐっ…えぐっ…………」

「ほらほら、12歳なんだから、泣くなよ。」

「うぅっ、いや、です…」

「はぁ、しょうがないな……」

 悪いのは、どこから見ても俺に見えるし…………

 結局、1時間程して文は眠ってしまった。部屋まで運ぶ時の文の寝顔が可愛かったのは、いつものことだ。

 そういえば、文が寝言で「桐のばか」と言っていたけど、それも可愛いく聞こえる。恋は盲目と言うけど、本当だったみたいだ。馬鹿と言われて嬉しかったんだから。

*数日後*

「よし!文!幽香と友達になるぞー!」

「あら、それならもう、友達よ?」

 はぁ、慣れてしまった自分が怖い。

「幽香さん、友達…ですか?」

「ええ。一度拳で語り合えば、それはもう友達よ!」

 そういう考え方も…アリかな。

「それじゃ、俺達はもう友達かぁ。やったー!妖怪の山に行っても、遊びにくるから!」

「ふふふ、私も一年中ここにいる訳じゃないけど、夏なら絶対にここにいるわ。」

「ここの向日葵、綺麗ですからね!夏になったら、また来たいです!」

「ありがとう。でも、まだ出てくまで1ヵ月はあるでしょう!」

 そうだった!まあ、それまで楽しくすごそう!

*1ヵ月後*

「それじゃ、幽香、また今度。」

「ええ、また今度。」

「幽香さん、さようなら!」

「さようなら。文。」

 よしっ!目指すは妖怪の山だ!

「桐。妖怪の山………着いたらどこに行くんですか?」

「まずは、文も知ってるアノ人に会う。きっと妖怪の山にいるはずだ。」

「? その次は?」

「天狗のトップ、天魔に会う。」

「…………色んな人に会うんですね………確か、その後は、寺子屋というところに入るんですよね。」

「あぁ。そうだ。その為には、試験があるんだが………まあ、なんとかなるだろ。」

「そうなんですか?まあ、大丈夫でしょうけど。」

「文は天才だしなぁ。まあ、まずは妖怪の山へ行こう!」

「はいっ!」

 俺と文は、大空を翔る。しばらくして、雲の隙間から、山が見えてきた。

「桐、あれが……」

「妖怪の山だ……」

 俺と文は、地面に降り立つ。そして、少しすると案内役の白狼天狗が出て来た。

「妖怪の山へようこそ。紅葉山様。それとそちらは…射命丸様ですね。」

「はい。そうです。すいませんが、天魔様に会う前に、あのお方にお会いさせてください。」

「畏まりました。ご案内させて頂きます。」

「…………………桐?話について行けていないの、私だけ、ですね……」

 きっと文もあのお方に会いたいはずだ。先々代天魔の奥方、『射命丸 沙羅(しゃめいまる さら)』様に。

「着きました。しばしお待ちください。」

 そう言い、客間に通された。

「あの、桐……えっと…………その………………」

「? どうかしたか?」

「桐…………………教えて、くれますか?何で、何で…………「文ちゃん………それと、桐様……」……えっ……お母、様?」

「文ちゃん!よかった………………それにしても、綺麗になったわねぇ。」

 確かに、文は成長して、日本人形が西洋人形になったみたいな感じだからなぁ。

「//// お母様……恥ずかしいですよ…………」

「ふふふ、だって嬉しいんですもの。フフフフフッ。………あら、まあ。フフッ。2人にいい事を教えてあげる。」

 いい事?

「? いい事って何ですか?沙羅様。」

「あら、やっぱり知らなかったみたいね。桐様はお父上から聞いているかと思っていましたけれど、ご存知ありませんのね。フフッ。私の能力は、『関係と思いを観る程度の能力』ですわ。能力を使って2人のことを観ましたわ。2人の想いは………『相思相愛』、関係は……『恋人まで行かない幼馴染み』と観ました。」

「///////// お、お母様っ!」

「フフフッ、本番はこれからよぉ♪文ちゃん。さて、そんな2人にいい事を教えてあげますわぁ♪良かったわね!フフフフフッ♪」

「///////// いいことって、何なんですか?沙羅様。」

「ウフフフフフフフフフフッ♪いい事、それは…………………………2人は許嫁ということですわぁ♪」

? 許嫁………許嫁?いいなずけ………………って確かぁ!?

「「ふぇっ…………………いい、なず、けえぇぇえぇ!?」」

「//// お、お母様!?そ、それって、ご冗談じゃない、ですかっ!?」

「冗談じゃないわよぉ♪だって、楓様とお約束致しましたもの♪」

 冗談じゃないっ!?しかも父上様と約束したって!?

「//// ち、父上様とですかぁ!?は、初耳、ですっ!」

「と、いうことで、桐様。文ちゃんをよろしくお願い致しますわぁ♪…あっ、そうそう、桐様、いくらでも文ちゃんを襲ってあげてくださいな♪…はやく孫の顔が見たいわねぇ♪」

 ボフッ というような音が似合う程、俺と文の顔は急激に赤くなった。

「//////////////////////////お、お母様っ!?はぅっ………」

 文は気絶してしまった。

「///////////////////////////さ、沙羅様ぁっ!?あ、あの、そのですねぇっ!俺達、12歳ですからっ!」

 そ、そうだ。まだ12歳なんだ!幽香が言ってたじゃないかっ!100歳でも子どもって!!!

「うふふっ♪まあ、2人は許嫁って事、ちゃんと覚えておいてくださいねっ♪………あぁ、許嫁の意味って、婚約者と同じですわよ♪」

 その言葉のダメージは計り知れなく…………

「/////うぅ……いい、なず、け………こん、やく、しゃぁっ…………………」

「つまり、将来、貴方達は結婚するってことですわぁ♪今から楽しみねぇ、結婚式♪えっと~○○様と、●●様と~…………」

 こう言う時はぁっ!にっげるんだよーんっ!

「し、失礼しましたぁっ!」

 俺は文をつれて逃げた。無論、お姫様だっこだ。

「あら、まあ、もう行っちゃうのねぇ。まぁ、文ちゃんに会えたし、良かったわ♪」



「はぁ、はぁ、ふぅ…………うぅ、沙羅様、お茶目すぎる…………」

「やっと見つけましたっ!桐様、お父上様がお呼びです。ご案内します。」

 はぁ、あの父上様が……

「分かりました…」

*楓の宮*

「父上様。ただいま戻りました。」

「あぁ、桐か。ご苦労だった。………その子は?」

「……文です。射命丸文。沙羅様からとある情報をお聞きしたのですが……」

「あぁ!なるほど、うん。まだお前に話していない事があった。」

「はぁ、沙羅様からお聞きしました。まったく、文だから良かったものの…………」

「ん?あぁ、ハハハハハ!桐もそんな年頃なのだなぁ………」

「んん………きり?…………………ひゃぁ!?か、か、楓、様!?」

 天狗の中では、俺の父は、すごい人らしい。

「あぁ、そう言えば、文って家に来たことなかったから、父上様に会ったことなかったな。」

「えっ、桐のお父様って、楓様なんですか!?は、初めて知りましたぁ…………」

「………文ちゃん、だったね。うん、こんな可愛い子、桐にはもったいないくらいだ。」

「きょ、恐縮ですぅっ!!!」

「文………そんなに緊張する必要ないぞ。」

「はうぅぅ………だって…………」

 だっても何もない。

『ぎゅう…』

「大丈夫だから。」

「/// はい…」

「そうそう。緊張なんて、しなくていいからね。」

「あうぅ…ごめんなさい…」

「はぁ…文。謝らなくていいから。ところで父上様。何故、沙羅様と約束を?」

「うん、用事があって、沙羅様の屋敷に行った時に成り行きで。」

「「な、成り行き!?」」

「成り行き、ですかぁ!?それは、その、ですねぇ……」

「はぁ、成り行き…父上様らしい……………俺達は天魔に会いに行くから。」

「あぁ。分かった。それじゃ。……そうそう、桐、文ちゃんを大事にしろよ。」

「//// 分かってる!ってか、俺、12歳だしっ!」

 そんなこんなで俺達の、妖怪の山での暮らしが始まろうとしていたのだった。











 



はいっ!作者のさきですっ!今回は4000字近く書きました!
 今回からずっと書きたかった、妖怪の山に突入です!そのかわり、独自設定満載です!!!
 文のお母さん、ものすごいお茶目な性格をしてます!
 今回は、幽香さんと友達になりましたね!
 はぁ、許嫁…文と桐の関係が、また1つランクアップしましたっ!これから、もっと楽しみですっ!
<2016/08/02 19:18 さき>消しゴム
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