文と桐が出会ってから
ー5年が過ぎた。
文も桐も10歳となり、成長した。背が伸び、顔つきも若干変わった。文はそのかわいらしさに磨きがかけられ、桐はまだ無邪気さを残してはいるが、昔よりも顔つきが男らしくなった。
そんな5年の中で、桐と文は、昔の数倍、絆が深まり、桐は文の家に泊まることもあった。そしていつもどおりのある日のことだった。桐は突然こう言った。
「文、俺は家出しようと思う。だから、もうここには、こない。」
「えっ!?き、桐、なに、言ってるん、です、か.....?」
文はあまりにも突然すぎる桐の言葉に、動揺しながら問いかけた。
「文.....別に文のことが嫌いになったわけじゃない。ただ..........、文に迷惑をかけたくないだけだ.....。むしろ、文にはついてきて欲しいくらいだ..........。」
「だったら、だったら私は、桐と一諸に家出します!!昔、約束しましたよね?桐のそばに、ずっと、ずっといるって!」
「文..........俺は、おれ、は.........文とずっと、ずっと一諸に.....いたい!!!!!だから、だから、俺は、文が.................欲しい!«ヤバッ本音が………… 俺と一諸に、来て、くれる、か.........?」
「き、り..........…………………です..........////」
「?」
「もちろん........ですよ!私は、桐のものに.....なります!ずっと、桐のそばにいます!だから、だから、桐もずっと...ずっと...私のそばにいてください!!!..........ひぐっ、ぐすっ.....////」
「文.....俺はずっと、ずっと文のそばにいるから、だから、だから、泣かないでくれ!文が泣いてると、俺も泣きたくなってくるから、そばにいるから、泣かないでくれよぉ.....」
桐は文の頬に伝う涙を手で拭きながら、優しく、文に言った。
「うぐっ!ひぐっ!きりっ!『ギュッ』」
文は桐に抱きついて泣き始めた。桐は文に抱きつかれたとたん、水をためたダムが壊れるように、泣き始めた。
「あやっ!文は、かわいいんだからっ、泣かないでくれっ!」
しかし、文が泣き止む様子はすこしもなかった。
― それから5分程、文と桐は抱き締め合いながら泣いた。泣き終わったところで、2人はいつ、家を出ていくかなどを相談し、決めた。時間は夜。明け方に、荷物は賛えの服のみということに決まった。
その後、文はいつもご飯を作ってくれた、鴉天狗のおばあさんと、自分の母親に置いていく、置手紙を書いた。その内容はこのようなものだった。
『いつもご飯を作ってくれたおばさまと、お母様へ
今まで、ありがとうございました。私は桐と一諸に家出することにします。心配はいりません。きっと桐が私を導いてくれます。
また、いつかどこかで必ず会えることを信じて。 射命丸 文』
そして、その夜、文と桐は、家をそっと..........抜け出した。
