ここは迷いの竹林。あの時僕はここにいた。
~少年回想中~
先程白髪の少女に出会った。どこか不思議な雰囲気の少女であり、そのような少女が何故こんな場所に来たのかが気になり、思わず声をかけてしまった。(妹紅と知っていたけど。)
そして竹林の中を散歩し、永遠亭に戻ったときだった。
そのときだった。とても大きな戦闘音、続いて爆発音が聞こえた。
妹紅が輝夜に会ったんだな、とそんなことを考えながら、どんな闘いをしているのか気になって、空から見てみようと思ったんだ。
…………山が燃えていた。……何故か、燃えていた。と同時に鼓膜が破れそうになる程の轟音が聞こえた。
こうしてはいられない。あの山は、妖怪の山。彼と彼女がいるはずの場所。全速力でそこへ向かった。
僕が妖怪の山に着いたとき、やはり山は燃えていた。これは、噴火だ。火口らしき場所の近くに、黒い影が見えた。その影は段々と近付いてきた。それにより、その影が誰なのか、分かった。いや、分かってしまったんだ。
「……文?と……桐!?」
彼女の身体は風に包まれていた。しかし、その身体はお世辞にも無傷であるとは言い難く、あちらこちらに火傷らしきものがあった。その服は深紅に染まっていた。
しかし、それよりも彼の傷は……酷かった。体の左側全体から血が出ているのであろう、尋常ではないくらいの出血量。これは早く治療しないと!
「?……お久し振りですね。幸古。」
「文!ついてきてくれ!」
彼女と彼を永遠亭につれていく。それが、それだけが今の僕にできることだ。そう自分に言い聞かせる。
~少年回想終了中~
「文!あと少しで永遠亭だからできるだけ早く来てくれ!」
「はい、分かりました。」
……永遠亭に着いた。
「文、ちょっと待ってて。桐はそこの上に、文もここに!」
僕が指し示したのは診療台、病院にあるような、押して動く仕組のものだ。僕は彼女の返事を聞かずに永琳を呼びに行った。
永琳は既に手術室に手術衣を着て待っていた。ここにいることは分かっていたので、全速力で15秒で着いた。
「永琳!」
「分かってるわよ。つれて来て頂戴な。」
全速カで戻り15秒。彼女もいつの間にか気絶していた。不本意だが、死にそうになっている桐の方から運ぶことにした。
手術室に彼をつれていき、あとは待つだけだ。……気絶している女の子に触るのはいけないだろうか。
どうにも我慢できない。彼女の顔に触れ、頬を撫でる。やばいかもしれない……
「手術、終わったわよ。」
時間にして約2時間。流石えーりん、手術は成功したそうだ。後遺症もないらしい。良かった。
「あとは、そっちの子ね。文さん、だったかしら?」
「うん、そうだ。できるだけ、傷痕は無くしてくれよ?」
「分かってるわ。…………貴方、その娘のこと、好きなんでしょう?」
「…………よろしく。」
「うふふ……」
彼女は、主に腕から手が火傷していた。恐らく、どうしても彼を肋ける為には火山噴出物に触れてしまうのだろう。
手術しないといけないものではないが、やはり手は目立つだろう。
彼女の方は30分程度の短いものだった。それくらい、彼と違って軽度だったのだ。これは推測だが、彼はあの噴火を止めようとしたのだろう。そして失敗し、彼女が助けた。……格好悪いなお前。
勿論、彼女の方が先に目覚めた。
「んぅ…………こうこ」
「あ、文……どうした?」
「……桐の、バカ」
「え?」
「……桐の、バカ!」
「へ?ちょ、ちょっと待って文!ちょっ!」
彼女は起き上がり、彼を殴ろうとしている。その間わずか10cmくらい。
彼女のグーパンチは彼の腹部にクリティカルヒッツした。
「うぐぅっ!?…………あ、あ、文、さん?も、もしかして、怒ってらっしゃる……?」
「バカ、バカ、バカ、バカ、バカ!バカ!バカ!バカ!ばかぁっ!!!」
「ちょ、ちょっと!文、待ってくれ!桐が死ぬから!」
「げほっ、ごぼっ、う…………」
桐は、泡を吹いて気絶した
「はぁ、はぁ……すっきりした。」
「……文?」
「何?」
「……素が出てる。」
「ふぇ?…………あ、本当だ。ごほん……ふぅ…………」
「…………よし、傷は開いてないみたいだから、大丈夫だ。」
「はぁ、良かったです。元に戻って。…………妖怪の山ってどうなりましたか?」
「たぶん、まだ噴火してると思うよ。」
「そうですか…………………大丈夫かな」
「?何が?」
「あ、あの、その―――――気にしないでください!」
「う、うん。」
どうしようものすごい気になるんですけどどうしよう?何が、大丈夫か……妖怪の山にそんな大事なものはなかったと思うけど……とりあえずまあ、妖怪の山に行ってみようかな。……
