さて、この学校には専門学科というものがある。
男子は剣術・妖術・体術・弓術の中から一つ選び、女子は妖術・体術・医療の中から一つ選ぶ。
剣術は妖刀の扱いを学び、妖術は精度を高め、体術では身のこなしを学ぶ。
弓術は弓を扱い、医療では本格的な技術を学ぶ、と簡単な説明があった。
これらは全て社会に出た時に役立つもののため、どの学科を選ぶかは結構重要だったりする。
俺は剣術を選ぶことにした。文は妖術、銅は剣術を選んだらしい。
そして今日は初の顔合わせ。他の寮の人ももちろんいるから、皆態度や表情が堅い。
知り合いもいるが、この体になってからの人生の半分くらいを文と共に人里近くで暮らしていた俺だ。ほぼ知らない人である。というか鴉天狗が俺しかいないってどういうことだよ!
「ごほん。皆注目!オレがこの剣術科の教師、八尾 進(やお すすむ)だ!ヨロシク!」
なんかハイテンションな中年男性白狼天狗が出てきた。
「えー、まずは全員竹刀を持ってオレにかかってこい!最初にオレを倒したヤツを主将にする!」
今一瞬ナニ言ってんだコイツ、と誰でも思うだろう。俺もその中の一人だ。
「皆持ったな?よし、はじめっ!」
『応!』
他のヤツらは協力しあったりして倒そうとしているが、俺はまだそんなに仲のいい相手がいないから一人で行かないと……ん?どうやら銅もか。まあ、友達ができにくそうな性格してるしな。少し歩調を速めよう。
いや、ちょっと待て……何でアイツ、走って……
「あ、銅?」
「ふっ!」
銅が力強く地を蹴り、彼の体は5mくらい中に浮く。そしてそのまま教師と名乗る男性の背後へ着地し、男性が反応する間もなく、竹刀で首の後ろをコツンと叩く。そして男性は気絶した。……妖怪の肉体を気絶させる為には、相当な力がいるはずなのに、軽く叩いたように見えた。……俺は呆気にとられて動けなかった。
それどころか、能力を使えば……
「銅、何で能力を使わなかったんだ?」
「……それは、剣術とはいえないから、ですよ。桐様。それでは僕はこの方を保健室に連れていきますので、失礼します。」
「……その、前から思ってたけど様付けって止めてくれないか?」
「無理です。僕は白狼天狗なので。鴉天狗、しかも天魔一族の方に呼び捨てなどできる訳がありませんよ。」
「……お前だって、白狼天狗といっても犬走家の奴だろ。」
「そうですが、それがどうかしましたか?僕が白狼天狗であることは確定しているんです。貴方は鴉天狗なのですから、無理なものは無理です。」
「分かった。それじゃ、これからもよろしく。」
「はい。」
その一分後、男性は起きた。
開口一番、
「こんな強いヤツ、久し振りだ!ワッハッハッ!よし、主将はオマエ……えっと、何だっけ。そう!犬走 銅(どう)だ!」
「僕は銅(あか)ですよ、先生。」
「そう、犬走 銅だ!」
そして主将、犬走 銅が誕生した。……また天魔サマに怒られそうだ。『天魔一族というものが……』って。
~その夜~
俺は文が寮から出ていくのを目撃した。とっくに消灯時間は過ぎていて、出てはいけないのに、だ。
そのままストーカーしていくことにした。
文は物音を一切起こさずに進む。何故俺が気付かれていないかって?俺は文のことなら何でも知ってるつもりだ。能力の範囲とか、こんな時間に起きなくて、ルールは守ることも。
文は剣術科の練習場へ向かっているようだった。あそこはただの開けた土地だが、何をしに行くのだろうか。
練習場に人影が二人分ある。片方は文のもの、もう片方は……?
何やら話し声が聞こえてくる。
「……ここを…………して、……すれば、もっと…………なると…………よ。」
「………………………ね。たしかに、……………………………かも知れないわ。」
何を話しているかは良く聞きとれないが、月明かりに照らされ、そこにいる人物が浮かび上がった。
銅だ。その手には、妖刀と竹刀が握られている。よし、一番嫌な予想はなくなった。
……気付かれない内に戻ろう。
寮に着いた。相変わらず俺は一人部屋だが……寂しくなんかない。大丈夫だ。これから友達たくさんできるさ。
男子は剣術・妖術・体術・弓術の中から一つ選び、女子は妖術・体術・医療の中から一つ選ぶ。
剣術は妖刀の扱いを学び、妖術は精度を高め、体術では身のこなしを学ぶ。
弓術は弓を扱い、医療では本格的な技術を学ぶ、と簡単な説明があった。
これらは全て社会に出た時に役立つもののため、どの学科を選ぶかは結構重要だったりする。
俺は剣術を選ぶことにした。文は妖術、銅は剣術を選んだらしい。
そして今日は初の顔合わせ。他の寮の人ももちろんいるから、皆態度や表情が堅い。
知り合いもいるが、この体になってからの人生の半分くらいを文と共に人里近くで暮らしていた俺だ。ほぼ知らない人である。というか鴉天狗が俺しかいないってどういうことだよ!
「ごほん。皆注目!オレがこの剣術科の教師、八尾 進(やお すすむ)だ!ヨロシク!」
なんかハイテンションな中年男性白狼天狗が出てきた。
「えー、まずは全員竹刀を持ってオレにかかってこい!最初にオレを倒したヤツを主将にする!」
今一瞬ナニ言ってんだコイツ、と誰でも思うだろう。俺もその中の一人だ。
「皆持ったな?よし、はじめっ!」
『応!』
他のヤツらは協力しあったりして倒そうとしているが、俺はまだそんなに仲のいい相手がいないから一人で行かないと……ん?どうやら銅もか。まあ、友達ができにくそうな性格してるしな。少し歩調を速めよう。
いや、ちょっと待て……何でアイツ、走って……
「あ、銅?」
「ふっ!」
銅が力強く地を蹴り、彼の体は5mくらい中に浮く。そしてそのまま教師と名乗る男性の背後へ着地し、男性が反応する間もなく、竹刀で首の後ろをコツンと叩く。そして男性は気絶した。……妖怪の肉体を気絶させる為には、相当な力がいるはずなのに、軽く叩いたように見えた。……俺は呆気にとられて動けなかった。
それどころか、能力を使えば……
「銅、何で能力を使わなかったんだ?」
「……それは、剣術とはいえないから、ですよ。桐様。それでは僕はこの方を保健室に連れていきますので、失礼します。」
「……その、前から思ってたけど様付けって止めてくれないか?」
「無理です。僕は白狼天狗なので。鴉天狗、しかも天魔一族の方に呼び捨てなどできる訳がありませんよ。」
「……お前だって、白狼天狗といっても犬走家の奴だろ。」
「そうですが、それがどうかしましたか?僕が白狼天狗であることは確定しているんです。貴方は鴉天狗なのですから、無理なものは無理です。」
「分かった。それじゃ、これからもよろしく。」
「はい。」
その一分後、男性は起きた。
開口一番、
「こんな強いヤツ、久し振りだ!ワッハッハッ!よし、主将はオマエ……えっと、何だっけ。そう!犬走 銅(どう)だ!」
「僕は銅(あか)ですよ、先生。」
「そう、犬走 銅だ!」
そして主将、犬走 銅が誕生した。……また天魔サマに怒られそうだ。『天魔一族というものが……』って。
~その夜~
俺は文が寮から出ていくのを目撃した。とっくに消灯時間は過ぎていて、出てはいけないのに、だ。
そのままストーカーしていくことにした。
文は物音を一切起こさずに進む。何故俺が気付かれていないかって?俺は文のことなら何でも知ってるつもりだ。能力の範囲とか、こんな時間に起きなくて、ルールは守ることも。
文は剣術科の練習場へ向かっているようだった。あそこはただの開けた土地だが、何をしに行くのだろうか。
練習場に人影が二人分ある。片方は文のもの、もう片方は……?
何やら話し声が聞こえてくる。
「……ここを…………して、……すれば、もっと…………なると…………よ。」
「………………………ね。たしかに、……………………………かも知れないわ。」
何を話しているかは良く聞きとれないが、月明かりに照らされ、そこにいる人物が浮かび上がった。
銅だ。その手には、妖刀と竹刀が握られている。よし、一番嫌な予想はなくなった。
……気付かれない内に戻ろう。
寮に着いた。相変わらず俺は一人部屋だが……寂しくなんかない。大丈夫だ。これから友達たくさんできるさ。
