遠くから聞こえる、自分を蔑む声。おそらく俺には聞こえていないと思っているのだろう。
ムカついたので後ろから気付かれないように近付き、話しかけてみた。
「……何を話してるのか、教えてくれるかな?」
「え……あ、あの……初めまして、桐様。」
「桐でいいよ。あと、普通に話してくれると嬉しいな。」
「はい。えーと、……これからのこの山はどうなるのかなー、と。」
「そっか、ありがとう。これからよろしく。」
一方的に話を切り上げ、もといた席に着く。ちなみに寮内での名簿順だ。
……なるほど、きっと悪意はないのだろう。完全な嘘ではない。
先程聞こえたのは、噴火の際に俺がどこにいたのだろうか、という問いに能力で予知して逃げたんだ、という答え。
俺は少しくらい操ることはできても、予知はできない。できたらこんなに被害はでなかっただろう。
俺以外の天魔一族は皆、結界に閉じ込められたのだから、こんな言葉が出るのも無理はない。
入学してから1週間は過ぎている。できるだけ自分から話しかけているが、向こうから話しかけてきたことはない。文は忙しそうだし(他の女子に連れ回されている。)……つまり俺は、ぼっちな訳だ。
この学校では、年に何回も行事があるらしく、妖力が多く、質が高い者などを集めて、弾幕ごっこ擬きもやっている。もちろん、寮対抗でだ。全く……これで、俺以外の転生者・外来人の介入がある可能性が上がった。
行事は、入学式の2週間後にある『新入生歓迎会』、5月下旬にある『体育祭』、夏休み前にある『試験』、10月下旬にある『文化祭』、卒業式の1週間前にある『学年末寮対抗大会』などがあり、これらは全て休日(土)を使い、行われるらしい。ちなみに、土、日は休みで、学校内ならばどこへ行ってもいいことになっている。
この学校には、主に『校舎』、その中に分からないように仕掛けがされている『寮』、『屋上』、『外庭』、『運動場』、『体育館』、専門科で使う『競技場×5』、何に使うか分からない『練習場』、『商店街』などがあり、休日にはどこへ行ってもいい。
また、休日にでも文を誘って学校探険をしてみようか。これだけ広い学校だ、きっと楽しいだろう。
……文と話したい。今までずっと一緒に行動していたぶん、話したいときに話せない、会いたいときに会えないというのは、相当きついものがある。
このまま卒業まで、ずっとぼっちなのかな、俺……。
