おれは長官に追い出されていた。
シャムシェル「ひどいの。人間って、ほんと嘘つきなんだから」
リュート「まあ、仕方ないよ。白パンもお金がかかっちゃうからね」
シャムシェル「わたしがあの2人、襲ってやろっか?」
リュート「ほっときゃいいよ。いなくなったらいなくなったで、
困るし。荘園を見回るのも人と会うのも、
全部自分でするのってしんどいし」
シャムシェル「つまんないの。リュートったら、
変なところで人がいいんだから」
----------------------------------------------------------------------------
リュートとシャムシェルが大広間で話をしている頃------
アーボイン長官とマドワーズの2人は、
顔を突き合わせてヒソヒソ話をしていた。
マドワーズ「驚きやしたね……まさか、生きているとは」
アーボイン「信じられん。
悪魔に襲われて生きているなど……とても人間とは思えん」
マドワーズ「さ、さすが騎士学校でやすね……」
アーボイン「馬鹿者!悪魔と戦う方法など、騎士学校では教わらん!」
マドワーズ「す、すいやせん」
アーボイン「……」
マドワーズ「どうしやしょう」
アーボイン「ど、どうしようって、聞けるわけなかろう」
マドワーズ「そのことじゃなく、計画です。
生き残ったということは、奥方は------」
アーボイン「そっちのことか」
マドワーズ「まだ使えやすぜ」
アーボイン「しかし、悪魔がいるぞ」
マドワーズ「気にするこたありやせんよ。魔族ですぜ。
司祭に懺悔するとでも言うんですかい?」
アーボイン「それもそうだが……」
マドワーズ「予定通り、奥方とはくっつけましょう」
アーボイン「うむ……そうだな」
マドワーズ「あっちの方は------」
アーボイン「もちろん、続行だ。
こんなど田舎に、一生縛りつけられてたまるものか」
-------------------------------------------------------------------------------------
すでに昼をすぎて夕方に近づいていた。
おれは、馬に鞭をくれるとボーアンの町にくり出した。
急遽、王都から使者が来るということになって、
そのお出迎えに行けと命令されてしまったのだ。
村人A「あ、騎士様!」
町に出ると、村人たちが取り囲んだ。
村人B「騎士様!」
村人C「騎士様ぁ!ありがとうございますだぁっ!」
リュート「何が?」
村人B「さっきお城からお触れがあって、
悪魔は退治したからもう安心しろと」
リュート「へ?」
村人C「これでわしら、やっと安心して眠れます!
さすが王都から見えた方だ!」
村人B「ありがとうございます!」
村人C「ありがとうございます!騎士様は、わしらの英雄です!」
頭を下げると、村人たちは去っていった。
別に解決したわけでもなく、
その諸悪の根源はすぐそばにいるのだけれど、
あまり悪い気はしない。
シャムシェル「人気あるね~」
リュート「退治したわけじゃないんだけどな。ここにいるし」
シャムシェル「姿見せてやろっか」
リュート「やめろ」
シャムシェル「ククク」
リュート「やっぱりご褒美はもらえないんだろうなあ」
シャムシェル「ぶんどってきてやろっか?」
リュート「いい。町の人も、みんなよろこんでくれてるし」
シャムシェル「欲がないんだから」
リュート「あ。でも、やっぱり白パンはほしいな」
シャムシェル「ククク。リュートって、かわいいの」
リュート「何だよ、それ」
シャムシェル「ククク」
シャムシェル「王都から来る人って、どんな人間?」
リュート「さあ」
シャムシェル「長官みたいなケチ?」
リュート「ははは……」
シャムシェル「家令みたいな腹黒?」
リュート「シャムシェル、結構毒舌だな」
シャムシェル「真実はいつでも毒舌なの」
確かにその通りだった。
真実はいつでも毒舌だ。
リュート「実は、どんな人かは聞いてないんだ」
シャムシェル「ふ~ん」
-------------------------------------------------------------------------------
シャムシェル「ここに来るの?」
リュート「日暮れまでには着くって話だけど」
シャムシェル「誰も来ないんだったらエッチしよっか?」
リュート「え?ここで?」
シャムシェル「刺激的でしょ?」
リュート「刺激的っていうか------」
???「迎えの者か。ご苦労」
???「あなた……!」
モテール「げぇっ……。よりによって貴様とは、不吉な」
現れたのは、同期のモテールとアイシスだった。
1位と2位のコンビだ。
リュート「久しぶり」
おれはにっこり微笑んで手を差し出した。
モテール「寄るな!貴様の抱擁など、受けたくない!」
リュート「あ、そう」
アイシスがじっとおれを見た。
次に来る言葉は、なんとなく予想がつく。
アイシス「抱きついたら、剣で突き刺してあげるわ」
思った通りだった。
おれは彼女のことは嫌いじゃないのだけれど------
いいオッパイもしているし------
アイシスの方はそうではないらしい。
リュート「よくこんな田舎まで来てくれたね」
モテール「まったくのど田舎だ。
なぜ我等がこんな田舎に来なければならんのか」
リュート「さあ」
モテール「いい女ぐらいいるんだろうな」
リュート「いない」
モテール「なんて町だ」
モテールが愚痴る。あまり機嫌はよくない。
リュート「じゃあ、案内するからついてきて」
モテール「ご案内しますと言え!
おれは王都の使いとして来たんだぞ!?
同期でも何でもない!貴様とは格が違うのだ!」
モテールがプライドむき出しに怒鳴った。
-----------------------------------------------------------------------------
モテール「くだらん……なんて町だ。これでも町か?」
アイシス「モテール。聞こえるわよ」
------------------------------------------------------------------------------
アーボイン「これはこれは、わざわざ王都からようこそ------」
マドワーズ「家令をしておりやすマド------」
モテール「挨拶はいい。部屋はどこだ」
マドワーズ「へい、こちらに」
-------------------------------------------------------------------------------
マドワーズが案内したのは、おれの部屋だった。
まさか、おれの部屋に泊まらせるつもりだろうか……?
客人を泊めるならもっといい部屋が------
長官の部屋があるのに……。
モテール「なんだ、このぼろい部屋は。もっといい部屋はないのか」
早速モテールが噛みついた。
マドワーズ「これが一番いい部屋でして……」
モテール「フン。まったく最低の場所だな」
おれの部屋と知らずにモテールが言いたい放題に言う。
モテール「プラティーヌ家の者がこんなみずぼらしい部屋など……
屈辱だ」
マドワーズ「あいすみませぬ」
少しも詫びていない調子でマドワーズが言う。
マドワーズ「あ、それからリュート様は大広間で寝てください」
リュート「それはいいけど」
アイシス「わたしはどこの部屋?」
マドワーズ「アイシス様は奥方のお部屋で」
アイシス「そ」
マドワーズ「こちらへ。ご案内します」
マドワーズとアイシスは部屋を出ていった。
モテール「貴様、いつも大広間で寝ているのか?」
リュート「いや、いつもは違うけど」
モテール「いつもはどこだ?もっといい部屋か?」
リュート「いや……ここだけど」
モテール「何っ!?ここが貴様の部屋だと!?」
モテール「はっはっはっ!実にいい!貴様にはお似合いだ!」
モテール「しかし、おれには屈辱だ!騎士学校を1位で卒業し、
親衛隊に迎えられた未来あるおれが、こんな部屋とは……!
おれを愚弄するにもほどがある!」
リュート「あんまりカリカリするなよ」
モテール「うるさい!格下がおれにものを言うか!」
リュート「白パンかワイン、もらってきてあげよっか」
モテール「あげよっかとは、どういう言葉づかいだ!」
モテールは相当に不機嫌らしい。道中何かあったのだろうか。
リュート「ゆっくり休みなよ。
ちゃんと掃除はしてるから虫はいないよ」
モテール「当たり前だ!そんな部屋で寝られるか!」
リュート「仕事うまく行ってないの?」
モテール「うるさい!くそ……なんで親衛隊がこんな田舎に
行かねばならんのだ……陛下のそばにいて陛下を
お守りするのが我らの仕事なのに……」
リュート「……」
モテール「用が済んだのなら、出ていけ。
貴様と思い出話をする気はない」
シャムシェル「ひどいの。人間って、ほんと嘘つきなんだから」
リュート「まあ、仕方ないよ。白パンもお金がかかっちゃうからね」
シャムシェル「わたしがあの2人、襲ってやろっか?」
リュート「ほっときゃいいよ。いなくなったらいなくなったで、
困るし。荘園を見回るのも人と会うのも、
全部自分でするのってしんどいし」
シャムシェル「つまんないの。リュートったら、
変なところで人がいいんだから」
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リュートとシャムシェルが大広間で話をしている頃------
アーボイン長官とマドワーズの2人は、
顔を突き合わせてヒソヒソ話をしていた。
マドワーズ「驚きやしたね……まさか、生きているとは」
アーボイン「信じられん。
悪魔に襲われて生きているなど……とても人間とは思えん」
マドワーズ「さ、さすが騎士学校でやすね……」
アーボイン「馬鹿者!悪魔と戦う方法など、騎士学校では教わらん!」
マドワーズ「す、すいやせん」
アーボイン「……」
マドワーズ「どうしやしょう」
アーボイン「ど、どうしようって、聞けるわけなかろう」
マドワーズ「そのことじゃなく、計画です。
生き残ったということは、奥方は------」
アーボイン「そっちのことか」
マドワーズ「まだ使えやすぜ」
アーボイン「しかし、悪魔がいるぞ」
マドワーズ「気にするこたありやせんよ。魔族ですぜ。
司祭に懺悔するとでも言うんですかい?」
アーボイン「それもそうだが……」
マドワーズ「予定通り、奥方とはくっつけましょう」
アーボイン「うむ……そうだな」
マドワーズ「あっちの方は------」
アーボイン「もちろん、続行だ。
こんなど田舎に、一生縛りつけられてたまるものか」
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すでに昼をすぎて夕方に近づいていた。
おれは、馬に鞭をくれるとボーアンの町にくり出した。
急遽、王都から使者が来るということになって、
そのお出迎えに行けと命令されてしまったのだ。
村人A「あ、騎士様!」
町に出ると、村人たちが取り囲んだ。
村人B「騎士様!」
村人C「騎士様ぁ!ありがとうございますだぁっ!」
リュート「何が?」
村人B「さっきお城からお触れがあって、
悪魔は退治したからもう安心しろと」
リュート「へ?」
村人C「これでわしら、やっと安心して眠れます!
さすが王都から見えた方だ!」
村人B「ありがとうございます!」
村人C「ありがとうございます!騎士様は、わしらの英雄です!」
頭を下げると、村人たちは去っていった。
別に解決したわけでもなく、
その諸悪の根源はすぐそばにいるのだけれど、
あまり悪い気はしない。
シャムシェル「人気あるね~」
リュート「退治したわけじゃないんだけどな。ここにいるし」
シャムシェル「姿見せてやろっか」
リュート「やめろ」
シャムシェル「ククク」
リュート「やっぱりご褒美はもらえないんだろうなあ」
シャムシェル「ぶんどってきてやろっか?」
リュート「いい。町の人も、みんなよろこんでくれてるし」
シャムシェル「欲がないんだから」
リュート「あ。でも、やっぱり白パンはほしいな」
シャムシェル「ククク。リュートって、かわいいの」
リュート「何だよ、それ」
シャムシェル「ククク」
シャムシェル「王都から来る人って、どんな人間?」
リュート「さあ」
シャムシェル「長官みたいなケチ?」
リュート「ははは……」
シャムシェル「家令みたいな腹黒?」
リュート「シャムシェル、結構毒舌だな」
シャムシェル「真実はいつでも毒舌なの」
確かにその通りだった。
真実はいつでも毒舌だ。
リュート「実は、どんな人かは聞いてないんだ」
シャムシェル「ふ~ん」
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シャムシェル「ここに来るの?」
リュート「日暮れまでには着くって話だけど」
シャムシェル「誰も来ないんだったらエッチしよっか?」
リュート「え?ここで?」
シャムシェル「刺激的でしょ?」
リュート「刺激的っていうか------」
???「迎えの者か。ご苦労」
???「あなた……!」
モテール「げぇっ……。よりによって貴様とは、不吉な」
現れたのは、同期のモテールとアイシスだった。
1位と2位のコンビだ。
リュート「久しぶり」
おれはにっこり微笑んで手を差し出した。
モテール「寄るな!貴様の抱擁など、受けたくない!」
リュート「あ、そう」
アイシスがじっとおれを見た。
次に来る言葉は、なんとなく予想がつく。
アイシス「抱きついたら、剣で突き刺してあげるわ」
思った通りだった。
おれは彼女のことは嫌いじゃないのだけれど------
いいオッパイもしているし------
アイシスの方はそうではないらしい。
リュート「よくこんな田舎まで来てくれたね」
モテール「まったくのど田舎だ。
なぜ我等がこんな田舎に来なければならんのか」
リュート「さあ」
モテール「いい女ぐらいいるんだろうな」
リュート「いない」
モテール「なんて町だ」
モテールが愚痴る。あまり機嫌はよくない。
リュート「じゃあ、案内するからついてきて」
モテール「ご案内しますと言え!
おれは王都の使いとして来たんだぞ!?
同期でも何でもない!貴様とは格が違うのだ!」
モテールがプライドむき出しに怒鳴った。
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モテール「くだらん……なんて町だ。これでも町か?」
アイシス「モテール。聞こえるわよ」
------------------------------------------------------------------------------
アーボイン「これはこれは、わざわざ王都からようこそ------」
マドワーズ「家令をしておりやすマド------」
モテール「挨拶はいい。部屋はどこだ」
マドワーズ「へい、こちらに」
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マドワーズが案内したのは、おれの部屋だった。
まさか、おれの部屋に泊まらせるつもりだろうか……?
客人を泊めるならもっといい部屋が------
長官の部屋があるのに……。
モテール「なんだ、このぼろい部屋は。もっといい部屋はないのか」
早速モテールが噛みついた。
マドワーズ「これが一番いい部屋でして……」
モテール「フン。まったく最低の場所だな」
おれの部屋と知らずにモテールが言いたい放題に言う。
モテール「プラティーヌ家の者がこんなみずぼらしい部屋など……
屈辱だ」
マドワーズ「あいすみませぬ」
少しも詫びていない調子でマドワーズが言う。
マドワーズ「あ、それからリュート様は大広間で寝てください」
リュート「それはいいけど」
アイシス「わたしはどこの部屋?」
マドワーズ「アイシス様は奥方のお部屋で」
アイシス「そ」
マドワーズ「こちらへ。ご案内します」
マドワーズとアイシスは部屋を出ていった。
モテール「貴様、いつも大広間で寝ているのか?」
リュート「いや、いつもは違うけど」
モテール「いつもはどこだ?もっといい部屋か?」
リュート「いや……ここだけど」
モテール「何っ!?ここが貴様の部屋だと!?」
モテール「はっはっはっ!実にいい!貴様にはお似合いだ!」
モテール「しかし、おれには屈辱だ!騎士学校を1位で卒業し、
親衛隊に迎えられた未来あるおれが、こんな部屋とは……!
おれを愚弄するにもほどがある!」
リュート「あんまりカリカリするなよ」
モテール「うるさい!格下がおれにものを言うか!」
リュート「白パンかワイン、もらってきてあげよっか」
モテール「あげよっかとは、どういう言葉づかいだ!」
モテールは相当に不機嫌らしい。道中何かあったのだろうか。
リュート「ゆっくり休みなよ。
ちゃんと掃除はしてるから虫はいないよ」
モテール「当たり前だ!そんな部屋で寝られるか!」
リュート「仕事うまく行ってないの?」
モテール「うるさい!くそ……なんで親衛隊がこんな田舎に
行かねばならんのだ……陛下のそばにいて陛下を
お守りするのが我らの仕事なのに……」
リュート「……」
モテール「用が済んだのなら、出ていけ。
貴様と思い出話をする気はない」
