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エッチな騎士の成り上がり
- 辺境乱乳編17 -

リュート「長官たちが怪しい?」

目が覚めたおれを待っていたのは、シャムシェルの話だった。

リュート「怪しいって、どう怪しいの」

シャムシェル「何か、悪巧みを考えてるみたい」

リュート「それは前にも聞いたけど」

シャムシェル「リュートも巻き込まれるよ」

リュート「そうなんだ」

シャムシェル「せっかく人が心配して言ってあげてんのに」

リュート「なる時はなるよ」

シャムシェル「ならないから言ってんの」

リュート「その時はシャムシェルが助けてくれるんじゃないの?」

シャムシェル「んもう、当てにして」

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長官の部屋に行くと、いつものように2人がそろっていた。

このボーアンを象徴しているような顔つきだ。

アーボイン「今日はおまえに重要な任務がある」

唐突に長官は切り出した。

アーボイン「これをリンゴバルト王国まで届けてほしい」

リュート「リンゴバルト王国へ?」

おれは聞き直した。

リンゴバルト王国といえば、亡くなった王妃の国だ。
騎士学校の同期、ボボン王子の母親の故郷である。

おれは少し気になった。

なぜ、ボーアンのような田舎が
リンゴバルトに密書を送るのだろう。

リュート「あの……密書の内容は」

アーボイン「おまえが知る必要はない」

つっけんどんな言い方だった。

マドワーズ「まあ、貿易みたいなもんでさ」

リュート「貿易?」

マドワーズ「また今年も麦の収穫が少なそうなんでね。
      お隣の国に助けてもらえないかと。
      王都を頼っていても、なかなか工面してくださらねえんで」

マドワーズがもっともらしいことを言う。

マドワーズ「ま、地方の苦しみってやつでさ。
      王都みたいに、ものが溢れまくってるわけじゃ
      ないですからね」

確かにそれはその通りだ。

アーボイン「そのうち、おまえもこの土地の貧しさを知ることになる」

マドワーズ「大切な仕事ですからね、お願いしやすよ」

リュート「わかりました」

アーボイン「それから、兵士は連れていくな。
      極秘任務なのであまり知られたくない」

リュート「自分一人ということですか」

マドワーズ「リュート様は騎士学校の出ですからな。
      万が一、敵に襲われたとしても大丈夫でしょう」

リュート「いや、でも、1人ぐらいは------」

アーボイン「命令だ」

いつになく反論を許さない、言い方だった。

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大広間に出ると、守備兵が待っていた。
モテールに絡まれて青くなっていた2人だ。

守備兵A「リュート殿」

守備兵B「お出かけですか」

リュート「うん」

守備兵A「お気をつけて」

守備兵B「おれたちゃ、いつでもリュート殿の味方ですから。
     何かあったらすぐ駆けつけますよ」

リュート「ありがとう。じゃあ、行ってくるよ」

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おれは馬に鞭をくれて、城を出た。

天気は快晴。

赴任して、初めての重要な仕事と言っていい。

奥方といっしょではないのが少し心残りだが、心も弾む。
ようやく、仕事らしい仕事だ。

そう思った時------

???「リュート殿~~っ!」

振り返ると、見知った人影が駆けてきた。

ロクサーヌ「リュート殿……」

リュート「お、奥方……」

ロクサーヌ「お1人でお出かけになるのですか?」

リュート「ええ。重要任務です」

ロクサーヌ「お止めになって。
      きっと主人は悪いことを考えているのです」

リュート「え?」

ロクサーヌ「わたしにはわかります。あの人は------」

リュート「何を考えているっていうのですか?」

ロクサーヌ「わかりません。
      でも、まっとうなことでないことだけはわかります」

リュート「……」

ロクサーヌ「それに、今日お出かけになったら、
      しばらくお戻りにならないのでしょう?」

リュート「恐らく、帰りは明後日に」

ロクサーヌ「リュート殿にそんなに長くお会いできないのはいやです」

リュート「え……」

ロクサーヌ「その……お話し相手がいないのは寂しいから……」

リュート「……」

咄嗟にロクサーヌが誤魔化したのがわかった。

本当は違う意味で言ったに違いない。

ロクサーヌ「今日のお仕事はとりやめになって」

リュート「奥方様。自分も騎士です。騎士であるからには、
     主君の命令に従わなければなりません」

ロクサーヌ「でも」

リュート「すぐに戻ります。では」

ロクサーヌ「あっ」

おれは馬に鞭を入れて走り去った。

いつまでも、背中にロクサーヌの熱い視線を感じながら------。

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リュート・ヘンデがボーアンの町を出た頃、
長官の部屋でアーボイン長官と家令マドワーズは
また密談を交わしていた。

マドワーズ「いやいや、まさか追い掛けていくとは思いやせんでしたね」

アーボイン「あれが?追い掛けていったのか?」

マドワーズ「へい」

アーボイン「ふん……惚れておるな」

マドワーズ「まったく、あんな平凡な顔のどこがいいんだか。
      騎士学校っていっても、最下位卒業でしょ?
      こんなところに来る時点で落ちこぼれもいいところですよ」

アーボイン「崩れたのが趣味なのだろう」

マドワーズ「もしかして、長官、妬いてやす?」

アーボイン「馬鹿を言え。こっちにとっては好都合だ」

マドワーズ「へい」

アーボイン「あの男が帰って来てからが見物だな」

マドワーズ「奥方はきっと待ってられないでしょうね。
      ひひひ。媚薬の効果、大ありですよ」

アーボイン「ということは、明後日か」

マドワーズ「ええ。長官がようやく
      軛から逃れられる時が来たってわけですよ」

アーボイン「待ち遠しいな」

マドワーズ「へい」

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リンゴバルト王国に着くと、
おれはすぐ手紙を役人の1人に手渡した。

相手が妙な目で見たのが、なんだか不思議だった。
そんなに自分の顔が変だったのだろうか?

道中、シャムシェルは現れなかった。

たぶん、気まぐれにどこか飛び遊んでいるのだろう。

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馬を走らせて、ボーアンに戻ってきたのは、夜だった。
遠くから眺めても、ほとんど明かりらしきものは見えない。

すでに終課の鐘は鳴り終わっている。

ほとんどの者は、日没と同時に寝てしまったのだろう。

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町はすっかり不気味な夜闇に包まれてしまっていた。

人通りもなく、蝋燭の炎も灯ってはいない。

夜の町中を歩くのは初めてだった。

マドワーズが言い含めてくれていたおかげで
開門してもらえたが、そうでなかったら
外で野宿のところだった。

おれはほっとした。

ほっとすると同時に、よろこびが込み上げてきた。

きっとシャムシェルは部屋だろう。

彼女に会える。

もちろん、奥方にも------。

疲れているのに、また欲望が疼き始めていた。

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城はすでにほとんど眠りに就いていた。

守備兵たちも、ろくに見張りをせずに眠っている。
この田舎では、わざわざ城を襲おうとする連中も
いないのだろう。

おれも、少し眠かった。

身体に疲れもある。

しかし、寝る前に報告を済ませねばならない。

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アーボイン「遅かったな」

2人はまだ起きて待っていた。

アーボイン「おかげで蝋燭が無駄になった」

リュート「すみません。これが相手からの親書です」

アーボイン「うむ。下がってよい」

リュート「失礼します」

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おれは長官の部屋を出た。

不意に人の気配がした。誰かがおれの後ろに立っている。
振り返ったその先にいたのは------

奥方だった。

まさか起きていまいと思っていたのだが------
おれを待っていてくれたなんて。

思わず、情熱が込み上げた。

嬉しかった。

もし長官という存在がなければ------
そしてここが城内でなければ、
おれは抱き締めていたかもしれない。

わずか2日ぶりに会うというのに、凄く久しぶりの気がする。

リュート「奥方様……」

名を呼びかけた途端、手を取られた。

ロクサーヌ「リュート殿……」

思い詰めた切ない瞳を向ける。

リュート「あの……?」

問答無用で、ぐいと引っ張られた。
その先は------奥方の寝室だった。

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リュート「奥方様、何を------」

ロクサーヌ「ずっと……お待ちしていました……」

リュート「え?」

ロクサーヌ「リュート殿がお帰りになるのを……
      今か今かと待ちわびて……」

リュート「奥方様……」

ロクサーヌ「お願い。昨日も今日も、
      リュート殿と二人きりになれなかったから……
      ずっとお乳が……張っておりますの」

リュート「え?」

ロクサーヌ「お願い、搾って」

リュート「え?め、召使は……?」

ロクサーヌ「リュート殿じゃなきゃいや」

ロクサーヌが迫った。

リュート「あ、あの、夜、遅いですから明日------」

ロクサーヌ「わたしのことは、お嫌い?」

リュート「え?」

ロクサーヌ「お嫌いなら、わたしも無理強いしません。でも------」

おれは黙った。

嫌いなんて言えるわけがなかった。

リュート「嫌いなわけ……ないじゃないですか……」

ロクサーヌ「リュート殿……!」

ロクサーヌがおれに駆け寄ろうとする。
おれは、それを言葉でさえぎっていた。

リュート「でも、あなたには------」

ロクサーヌ「その先はおっしゃらないで。
      結婚しているといっても、夫はいないのと同じです。
      どうしてわたしたちに子供がいないか、おわかり?」

リュート「……」

ロクサーヌ「あの人、最初の頃はわたしに夢中だったの。
      でも、わたしにあまり財産がないとわかってから……。」

ロクサーヌ「あの人、わたしが下級貴族の娘だったから、
      結婚しただけなの」

リュート「……」

ロクサーヌ「お願い。哀れみでも何でもいいの。お乳を搾って」

リュート「奥方様……」

ロクサーヌ「今夜だけでもいいから、寂しい夜をあたためて。
      一人にしないで……」

切実なる告白だった。

騎士に恋愛(ミンネ)はつきものだ。

もっともその恋愛には、肉体の関係はつきまとわない。

でも、それは物語の話だ。

現実には------。

おれは奥方の手を握った。

リュート「……声を立てないと、約束できますか?」

ロクサーヌ「それではリュート殿……」

リュート「せめて、胸だけでも楽にならないと」

ロクサーヌ「は、はい……!」

ロクサーヌは目を輝かせた。

おれは……何をしているのだろう。

どこへ向かおうとしているのだろう。

もし長官が起きていて、この機会を窺っていたら……?

でも。

欲望と情熱の疾風怒濤がおれを働き動かしていた。

久しぶりに会ったロクサーヌを前に、
おれは恋情と欲望を感じていた。

ロクサーヌが欲しい。

今すぐ、欲しい。

彼女がおれを欲しているのと同じように------。

<2016/09/24 19:09 RUKA>消しゴム
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