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エッチな騎士の成り上がり
- 辺境乱乳編23 -

朝から、ボーアンの町は晴れ渡っていた。
陰謀など素知らぬ顔で、青く澄みきっている。

でも、おれにとっては勝負の時だ。

長官の手紙のことについては、
まさかという気持ちの方が強い。

嘘であってくれという気持ちもないわけではない。

手紙の相手が相手だけに------。

夢であってくれればいいのだが……と今でも少し思っている。

でも、恐らく、運命がそうさせてくれないだろう。

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マドワーズが厩舎に出かけている間に、
おれは馴染みの守備兵を呼んだ。

守備兵A「リュート様、ご用というのは------?」

リュート「実は、頼みたいことがあるんだ」

守備兵B「頼みたいこと?」

リュート「これはマドワーズにも内緒のことなんだ」

守備兵A「秘密の命令で?」

おれはうなずいた。

リュート「実は------」

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------そして、約束の夜が訪れていた。

シャムシェル「これでよしと」

おれに変装を施していたシャムシェルは
ようやく手を止めると、にこにこと微笑んだ。

シャムシェル「これで完璧」

リュート「そっくりになったか?
     少なくとも、おれだとはわからないよな」

シャムシェル「うん。ばっちり」

リュート「一応、守備兵には寝ないでくれって話をしておいたけど、
     ちゃんと動いてくれるかな」

シャムシェル「大丈夫だよ。長官がいない今、
       リュートがこの城の長なんだから」

リュート「うん……」

シャムシェル「自信もって。リュートは大物なんだから」

コンッコンッ!

ドアのノックが鳴っていた。

リュート「マドワーズか?」

マドワーズ「へい」

リュート「入って」

入室したマドワーズが、ぽかんと口を開けた。

リュート「こんなもんでどう?」

マドワーズ「え……ええ……。本当にリュートの旦那で?」

リュート「うまく化けたかな」

マドワーズ「へ、へい……これじゃあ、絶対リュートの旦那とは
      わからんですね。あっしは、長官が元気になったのかと
      思いやしたぜ」

リュート「長官は?」

マドワーズ「地下に運びやした」

リュート「奥方は部屋から出さないでね。バレると厄介だから」

マドワーズ「そりゃもう、ばっちりでさ」

リュート「先方は?」

マドワーズ「そろそろ着く頃です」

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おれは部屋の外に出た。

守備兵たちは眠ったふりをしている。
おれが言った通りにしてくれているらしい。

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おれは長官の部屋に入った。

いよいよ、戦いの開始だ。

マドワーズ「うまく行きそうですね」

リュート「ああ。おまえはそろそろ迎えに行ってくれ」

マドワーズ「へい。これからが楽しみでやすね、ひひひ」

何も知らないマドワーズは部屋を出ていった。

シャムシェル「いよいよだね」

リュート「心臓がドキドキしてるよ」

シャムシェル「くすくす。今日、リュートは大物になるんだよ」

リュート「どうだか」

シャムシェル「いい?相手が持ちかけてきて、印を押してからだよ」

リュート「わかってる」

シャムシェル「リュートが動いたら、
       わたしが守備兵を中に入れてあげるから」

リュート「わかった」

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コンッコンッ!

6時課の鐘が鳴る前に、ノックの音が聞こえた。

マドワーズが到着したのだろう。

リュート「入れ」

おれはできるだけ威厳のある声で答えてみた。

最初に妙ないでたちの男が入ってきた。

一度、見かけたことがある男だ。
やはり、こいつが密使だったらしい。

続いて、

マドワーズ「さ、こちらでやすよ」

マドワーズが入ってきた。
そのマドワーズに案内されてきたのは------

騎士学校の同期、ボボン王子だった。

信じたくなかった事実------しかし、紛れもない事実だった。

アーボイン長官への手紙の送り主は、ボボン王子だったのだ。

ボボン王子「結構汚い部屋だね」

マドワーズ「恐れ入ります」

ボボン王子「まあ、いいや。そっちが長官?」

リュート「アーボインでございます」

おれは深々と頭を下げた。

ボボンは、
おれが同期のリュートだとは気づいていない様子だ。

ボボン王子「ぷぷ。ひどい顔。やっぱり田舎の長官って田舎の顔だね」

リュート「恐縮です」

ボボン王子「どれくらい動かせるの?」

兵士のことを聞いているらしい。

リュート「ボーアン管区の兵はすべて」

ボボン王子「ふ~ん。それなら、いっか」

マドワーズがおれの方にまわった。

その後ろには、
シャムシェルがいて警戒に当たってくれている。
もちろん、中にいる連中には見えない。

ボボン王子「ぼくが叛乱を起こしたら、
      君はぼくについてくれるんだよね」

リュート「はい。これからの時代はボボン様が
     おつくりになるものと確信しております」

ボボン王子「むふ~♪やっぱりそう思う?」

リュート「はい」

ボボン王子「ぼくもそう思ってたんだ♪
      これからは、やっぱりぼくちんだよね」

勝手なことを言う。

ボボン王子「ぼくの目のつけどころ、いいでしょ?」

ボボン王子「みんなボーアンなんかどうでもいいって言うけど、
      隣のインラントは、騎士官僚制に反対して
      パパに叛乱してるからね。」

ボボン王子「ボーアンも叛乱に加わったとなると、
      もっと大変になるよね~」

リュート「そこが狙いでございます」

ボボン王子「パパもひどいよね。ぼくは元首として不適格だから
      王位を継承させないなんてさ。ぼくは王子だっつうの」

リュート「まったくその通りでございます。
     この国の将来を任せられるのは、
     王子以外の他におりません」

ボボン王子「君もそう思う?」

リュート「はい」

ボボン王子「ムフ~♪ぼくもそう思うんだ♪」

おれは内心呆れた。

相変わらずのとんでもぶりだ。

ボボン王子「正直なところ、ぼく、騎士官僚制なんて
      どうでもいいんだよね。貴族制に戻っても
      別にかまわないし。そういうところ、寛大なんだ」

寛大というより無頓着だ、とおれは思った。

ボボン王子「ぼくが王位に即ければそれでいいの。ぼく、思う存分
      国を動かしたいんだ。手始めにハーレムとかいいなあ。
      国中から巨乳の子を集めて揉みまくり」

リュート「是非ともわたくしめに協力させてください」

ボボン王子「うん、頼むね。
      ------ところで、ここって、役立たずがいるでしょ?」

リュート「役立たず……とおっしゃいますと?」

ボボン王子「リュート・ヘンデって馬鹿なやつ。
      一応同期だったんだけど、最下位だったんだ。
      凄い馬鹿だろ?」

リュート「ああ……あの役立たずですか」

ボボン王子「あいつ、どうしてる?ちょっと顔を見たいな」

リュート「いいえ、とんでもございません。
     王子の前に連れ出せるような者ではありません」

ボボン王子「ぼくが見たいと言ってるの!」

リュート「では、印をいただいた後に」

ボボン王子「あ、そうね。名前、書けばいいんだよね」

リュート「はい、是非いただければ」

ボボン王子「裏切ったらだめだよ。ぼくが兵を起こしたのに
      君が起こさなかったら、ぼく、八つ裂きにするから」

リュート「王子はわが希望にございます」

ボボン王子「君、出世するよ。ぼくが王位に即いたら、
      宰相にしてあげる」

ボボン王子はニコニコしながら言うと、
羊皮紙にサインをした。それから、

ボボン王子「おい、おまえ。印(いん)を押せ」

そばの怪しい男に命じた。男が押すと、完成だった。

これで証拠は全部そろった。

この契約書があれば、
ボボン王子が謀叛を企んだということが証明できる。

ボボン王子「じゃあ、今度は君の番ね。早くサインしてね」

リュート「はい。ところで、王子。
     その前にひとつ余興はいかがでしょうか」

ボボン王子「余興?」

リュート「これからわたくしめが、
     一瞬にしてリュート・ヘンデを連れてまいります」

<2016/09/24 19:38 RUKA>消しゴム
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