それからは、シャムシェルの言う通りだった。
インラントから役人が駆けつけ、おれに事情聴取。
立ち会いの上、連日、ボボン王子とマドワーズの取り調べ。
1週間後には、王都からの使者が到着。
またボボン王子たちの取り調べとなった。
もちろん、ボボン王子は無罪を主張していた。
これは何かの陰謀で、自分は悪いことはしていない。
きっと自分をはめようという奸計だ。ここにいる
マドワーズとリュート・ヘンデが自分をはめたのだ。
でも、長官と王子の間に交わされた手紙の筆跡は、
間違いなくボボン王子のものだった。
マドワーズも、開き直ったのか洗いざらいを告白。
その告白にボボン王子は青ざめた。
ボボン王子は最後まで認めなかったが、
インラントの役人と王都の使者は、黒と判定したようだった。
--------------------------------------------------------------------------------
使者「明朝、容疑者を連れて帰る」
使者は、おれに対して言い放った。
リュート「ボボン王子とマドワーズをですか?」
使者「長官もだ」
リュート「長官は恐らく何も話ができないと思いますが……」
使者「容疑者をすべて王都に連行しろというのが、
陛下のご命令だ。裏切り者はすべて、王都で裁く」
リュート「よろしくお願いいたします」
使者「もちろん、おまえにも来てもらうぞ」
リュート「わたしも王都に行くんですか?」
使者「当たり前だ。発見者はおまえだ。
おまえが来なくてどうする」
確かにその通りなのだが、少し気になる。
リュート「何日ぐらいの逗留になるのでしょうか」
使者「何日?それはどういう意味だ」
リュート「いつ、ボーアンには戻れるのでしょう」
使者「おまえもなかなかおもしろいことを言うやつだな」
リュート「と言われますと?」
使者「これだけの手柄を立てた者を、
こんなど田舎に放っておくわけばなかろう。
王都に呼び戻されるものと思って間違いない」
リュート「え?
まさか、ボーアンから異動になってしまうんですか?」
使者「運のいいやつだ」
リュート「そんな」
使者「そんな?おまえ、いやなのか?」
リュート「自分はここで充分です」
使者「それは陛下がお決めになることだ。
陛下はおまえにたいそう興味をお持ちでいらっしゃる。
ボーアンに戻ることはなかろう」
おれは目の前が真っ暗になった。
もうボーアンに戻ってこれない?
ロクサーヌには二度と会えないのか?
使者「出発は明日だ。すぐ準備をしておけ」
リュート「お待ちください。
本当に、自分はボーアンに戻ってこられないんですか?」
使者「陛下はそのおつもりだ。滅多にないことだぞ。
謹んでお受けしろ」
--------------------------------------------------------------------------------
おれは呆然としてしまった。
ずっとここにいるつもりだったのに------
ロクサーヌといるつもりだったのに、異動?
王都へ異動?
そんな。
そんな馬鹿な。
ようやくこのお城の主になったかと思ったのに、
わずか1週間。
このお城とも、1か月もせぬうちにおさらばだなんて……。
シャムシェルとも別れてしまうなんて……。
シャムシェル「な~にやってるの」
またシャムシェルが現れていた。
シャムシェル「王都に行くんだってね」
リュート「聞いてたのか」
シャムシェル「うん。よかったね」
リュート「よくないよ……おれ、ずっとここにいるつもりだったのに」
シャムシェル「いいじゃん。リュートは中央に行くべきなの」
リュート「そんな……おれ、ここでもよかったのに」
シャムシェル「リュートはそんなタマじゃないの」
リュート「でも……」
シャムシェル「でも、何?」
リュート「おれ、王都で成功したいとか、そういう気持ちないよ」
シャムシェル「あのね、リュート。人には器ってのがあるの。
器には逆らえないの。大きな器の人は、
器にしたがって人生を歩むの」
リュート「おれ、そんなに器なんて大きくないぞ」
シャムシェル「んもう、リュートは自己評価低いんだから。
わたしが器が大きいって言ったら器が大きいのっ」
リュート「……」
おれは黙った。
ここは、おれにとってはただの町ではない。
初めてシャムシェルに出会った場所。
そして、ロクサーヌに出会った場所だ。
ロクサーヌばかりか、シャムシェルまでも失うのは、つらい。
シャムシェル「いっしょに王都に行こ。わたしもついてってあげる」
リュート「え?」
シャムシェル「来ないって思ってた?」
リュート「だって、王都までは------」
シャムシェル「悪魔はどこまでも行けるんだよ」
シャムシェルがくすっと笑ってみせる。
シャムシェル「わたしはいつだって、リュートのそばにいるよ」
リュート「シャムシェル……」
おれは思わず熱くなった。
ロクサーヌばかりか、
シャムシェルとも別れてしまうのかと思っていたのだ。
シャムシェル「早く出発の準備しよ。わたしも手伝ってあげる」
リュート「ありがとう……シャムシェル」
シャムシェル「王都に着いたら、倍返しね」
茶目っ気ある笑みを見せて、シャムシェルは笑ってみせた。
インラントから役人が駆けつけ、おれに事情聴取。
立ち会いの上、連日、ボボン王子とマドワーズの取り調べ。
1週間後には、王都からの使者が到着。
またボボン王子たちの取り調べとなった。
もちろん、ボボン王子は無罪を主張していた。
これは何かの陰謀で、自分は悪いことはしていない。
きっと自分をはめようという奸計だ。ここにいる
マドワーズとリュート・ヘンデが自分をはめたのだ。
でも、長官と王子の間に交わされた手紙の筆跡は、
間違いなくボボン王子のものだった。
マドワーズも、開き直ったのか洗いざらいを告白。
その告白にボボン王子は青ざめた。
ボボン王子は最後まで認めなかったが、
インラントの役人と王都の使者は、黒と判定したようだった。
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使者「明朝、容疑者を連れて帰る」
使者は、おれに対して言い放った。
リュート「ボボン王子とマドワーズをですか?」
使者「長官もだ」
リュート「長官は恐らく何も話ができないと思いますが……」
使者「容疑者をすべて王都に連行しろというのが、
陛下のご命令だ。裏切り者はすべて、王都で裁く」
リュート「よろしくお願いいたします」
使者「もちろん、おまえにも来てもらうぞ」
リュート「わたしも王都に行くんですか?」
使者「当たり前だ。発見者はおまえだ。
おまえが来なくてどうする」
確かにその通りなのだが、少し気になる。
リュート「何日ぐらいの逗留になるのでしょうか」
使者「何日?それはどういう意味だ」
リュート「いつ、ボーアンには戻れるのでしょう」
使者「おまえもなかなかおもしろいことを言うやつだな」
リュート「と言われますと?」
使者「これだけの手柄を立てた者を、
こんなど田舎に放っておくわけばなかろう。
王都に呼び戻されるものと思って間違いない」
リュート「え?
まさか、ボーアンから異動になってしまうんですか?」
使者「運のいいやつだ」
リュート「そんな」
使者「そんな?おまえ、いやなのか?」
リュート「自分はここで充分です」
使者「それは陛下がお決めになることだ。
陛下はおまえにたいそう興味をお持ちでいらっしゃる。
ボーアンに戻ることはなかろう」
おれは目の前が真っ暗になった。
もうボーアンに戻ってこれない?
ロクサーヌには二度と会えないのか?
使者「出発は明日だ。すぐ準備をしておけ」
リュート「お待ちください。
本当に、自分はボーアンに戻ってこられないんですか?」
使者「陛下はそのおつもりだ。滅多にないことだぞ。
謹んでお受けしろ」
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おれは呆然としてしまった。
ずっとここにいるつもりだったのに------
ロクサーヌといるつもりだったのに、異動?
王都へ異動?
そんな。
そんな馬鹿な。
ようやくこのお城の主になったかと思ったのに、
わずか1週間。
このお城とも、1か月もせぬうちにおさらばだなんて……。
シャムシェルとも別れてしまうなんて……。
シャムシェル「な~にやってるの」
またシャムシェルが現れていた。
シャムシェル「王都に行くんだってね」
リュート「聞いてたのか」
シャムシェル「うん。よかったね」
リュート「よくないよ……おれ、ずっとここにいるつもりだったのに」
シャムシェル「いいじゃん。リュートは中央に行くべきなの」
リュート「そんな……おれ、ここでもよかったのに」
シャムシェル「リュートはそんなタマじゃないの」
リュート「でも……」
シャムシェル「でも、何?」
リュート「おれ、王都で成功したいとか、そういう気持ちないよ」
シャムシェル「あのね、リュート。人には器ってのがあるの。
器には逆らえないの。大きな器の人は、
器にしたがって人生を歩むの」
リュート「おれ、そんなに器なんて大きくないぞ」
シャムシェル「んもう、リュートは自己評価低いんだから。
わたしが器が大きいって言ったら器が大きいのっ」
リュート「……」
おれは黙った。
ここは、おれにとってはただの町ではない。
初めてシャムシェルに出会った場所。
そして、ロクサーヌに出会った場所だ。
ロクサーヌばかりか、シャムシェルまでも失うのは、つらい。
シャムシェル「いっしょに王都に行こ。わたしもついてってあげる」
リュート「え?」
シャムシェル「来ないって思ってた?」
リュート「だって、王都までは------」
シャムシェル「悪魔はどこまでも行けるんだよ」
シャムシェルがくすっと笑ってみせる。
シャムシェル「わたしはいつだって、リュートのそばにいるよ」
リュート「シャムシェル……」
おれは思わず熱くなった。
ロクサーヌばかりか、
シャムシェルとも別れてしまうのかと思っていたのだ。
シャムシェル「早く出発の準備しよ。わたしも手伝ってあげる」
リュート「ありがとう……シャムシェル」
シャムシェル「王都に着いたら、倍返しね」
茶目っ気ある笑みを見せて、シャムシェルは笑ってみせた。
