リュート「殺し屋?」
早朝------部屋に運び込まれた朝食の白パンを食べながら、
おれはシャムシェルに聞き返した。
リュート「撃退してくれたの?」
シャムシェル「ううん」
リュート「え?倒してくれたんじゃないの?」
シャムシェル「だって、勝手に帰っちゃったよ」
リュート「どうして?」
シャムシェル「腕と足に聞いてみたら?」
リュート「腕と足?」
おれは自分の腕と足を見てみたが、別段異常はない。
いったい、寝ているうちに何をしたというのだろう。
昔から、相当寝相が悪くて、
同い年の友達はいっしょに寝るのをいやがっていたが……。
リュート「わざわざ暗殺に来るなんて、暇な連中だな」
シャムシェル「早すぎると思わない?」
リュート「何が?」
シャムシェル「到着してその日だよ」
リュート「なかなか準備がいいな」
シャムシェル「感心してる場合じゃないよ。
きっとリュートが来る前から暗殺の計画を立ててたんだよ」
リュート「ふ~ん。おれなんか殺したって、大勢変わらないのにね」
コンッコンッ!
リュート「誰?」
ワン・コアン「ワン・コアンでございます」
リュート「入って」
ワン・コアン「おはようございます。朝のデザートをお持ちしました。
パイでございます」
リュート「ありがとう。昨夜、侵入者がいたみたいだね」
ワン・コアン「侵入者?」
リュート「なんか、おれを殺しに来たみたい」
ワン・コアン「それは本当でございますか」
リュート「らしいんだけど、知らない?」
ワン・コアン「きっとヴンダーバルト城の者でございましょう。
過去にも、何度も司令官が暗殺されておりまして、
恐らく、ワッケンハイムの差し金かと」
リュート「敵も耳が早いな」
ワン・コアン「申し訳ございません。早速警備を強化するように、
兵士に強く申しつけておきます」
副官は礼をして立ち去った。
シャムシェル「過去に何度もだって」
リュート「ワッケンハイムって人、そういうことをする人なのかな」
シャムシェル「さあ。知らないけど」
おれは首をひねった。
英雄ワッケンハイム将軍は、決して策謀のない人ではない。
でも、何度も暗殺を繰り返すような将軍ではなかったように
思う。今は跡継ぎの『伜』が司令官に就いているというから、
もしかして宗旨変えをしたのかもしれないが------。
ガチャッ!
不意にノックなしにドアが開いていた。
なかなか礼儀知らずの人間がいたものである。
誰かと思って首を向けると------
入ってきたのは、こともあろうに老将3人だった。
リュート「あれ?昨日帰ったんじゃなかったの?」
フェルゼン「刺客が来たというのは本当か?」
リュート「本当だよ」
フェルゼン「そんなはずがない。
もし来たとすれば、貴様に倒せるはずがない」
リュート「それが3人ともやられちゃったみたい」
ザント「フェルゼン殿、こやつ……」
フェルゼン「なるほど。そういうことか」
突然、フェルゼン将軍がにやりと笑った。
フェルゼン「飛んだ猿芝居だな」
リュート「猿芝居?」
フェルゼン「自分に中身がないことがわかっておるから、
刺客を撃退したと嘘の武勇伝をこしらえて、自分が優れた
騎士であるかのように見せつけようという魂胆であろう」
リュート「え?そんなずるい方法があるの?」
フェルゼン「貴様が今行ったことだ!」
リュート「おれ、何もしてないけど」
フェルゼン「司令官といえど、所詮最下位は最下位だな。
恥知らずに変わりはない。今すぐ、司令官の職を辞せ」
リュート「やることやったら辞めるよ」
フェルゼン「貴様……本気でヴンダーバルトを落とすつもりか」
リュート「ヴンダーバルト城を落とせなくても、
敵将を落とせばいいんでしょ?」
ザント「それができれば苦労せぬわ。
相手はワッケンハイムの『伜』だぞ!?」
リュート「うん、だから偵察してこようかなと思って」
ザント「そのような下っぱのすることを------」
リュート「でも、人から聞くのと自分の目で確かめるのって
違うじゃない?だから、見ておこうと思って」
フェルゼン「いくらやっても無駄なことだ。貴様にはお似合いだがな」
おれは白パンを口に入れてムシャムシャと頬張った。
リュート「ヴンダーバルト城って、落とすのは難しい?」
フェルゼン「貴様に説明してもわかるまい」
リュート「3人の中で、一番城攻めが得意なのは
フェルゼン将軍でしょ?将軍に一任しても、無理?」
フェルゼン「できると言ったら、わしに任せるつもりか」
リュート「うん」
フェルゼン将軍は少し沈黙した。
フェルゼン「過去100年、あの城を陥落させた者はおらぬ」
リュート「将軍に秘策はある?」
フェルゼン「……」
リュート「少し考えておいてよ。おれも、昼頃に偵察してくるから。
お城のまわりをぐるっとまわってくる」
フェルゼン「偵察しても無駄なことだ」
リュート「いっしょに来る?」
フェルゼン「断る」
老将たちは部屋の外に立ち去った。
シャムシェル「相変わらず感じ悪いの。食っちゃおうか?」
リュート「だからやめろって……」
早朝------部屋に運び込まれた朝食の白パンを食べながら、
おれはシャムシェルに聞き返した。
リュート「撃退してくれたの?」
シャムシェル「ううん」
リュート「え?倒してくれたんじゃないの?」
シャムシェル「だって、勝手に帰っちゃったよ」
リュート「どうして?」
シャムシェル「腕と足に聞いてみたら?」
リュート「腕と足?」
おれは自分の腕と足を見てみたが、別段異常はない。
いったい、寝ているうちに何をしたというのだろう。
昔から、相当寝相が悪くて、
同い年の友達はいっしょに寝るのをいやがっていたが……。
リュート「わざわざ暗殺に来るなんて、暇な連中だな」
シャムシェル「早すぎると思わない?」
リュート「何が?」
シャムシェル「到着してその日だよ」
リュート「なかなか準備がいいな」
シャムシェル「感心してる場合じゃないよ。
きっとリュートが来る前から暗殺の計画を立ててたんだよ」
リュート「ふ~ん。おれなんか殺したって、大勢変わらないのにね」
コンッコンッ!
リュート「誰?」
ワン・コアン「ワン・コアンでございます」
リュート「入って」
ワン・コアン「おはようございます。朝のデザートをお持ちしました。
パイでございます」
リュート「ありがとう。昨夜、侵入者がいたみたいだね」
ワン・コアン「侵入者?」
リュート「なんか、おれを殺しに来たみたい」
ワン・コアン「それは本当でございますか」
リュート「らしいんだけど、知らない?」
ワン・コアン「きっとヴンダーバルト城の者でございましょう。
過去にも、何度も司令官が暗殺されておりまして、
恐らく、ワッケンハイムの差し金かと」
リュート「敵も耳が早いな」
ワン・コアン「申し訳ございません。早速警備を強化するように、
兵士に強く申しつけておきます」
副官は礼をして立ち去った。
シャムシェル「過去に何度もだって」
リュート「ワッケンハイムって人、そういうことをする人なのかな」
シャムシェル「さあ。知らないけど」
おれは首をひねった。
英雄ワッケンハイム将軍は、決して策謀のない人ではない。
でも、何度も暗殺を繰り返すような将軍ではなかったように
思う。今は跡継ぎの『伜』が司令官に就いているというから、
もしかして宗旨変えをしたのかもしれないが------。
ガチャッ!
不意にノックなしにドアが開いていた。
なかなか礼儀知らずの人間がいたものである。
誰かと思って首を向けると------
入ってきたのは、こともあろうに老将3人だった。
リュート「あれ?昨日帰ったんじゃなかったの?」
フェルゼン「刺客が来たというのは本当か?」
リュート「本当だよ」
フェルゼン「そんなはずがない。
もし来たとすれば、貴様に倒せるはずがない」
リュート「それが3人ともやられちゃったみたい」
ザント「フェルゼン殿、こやつ……」
フェルゼン「なるほど。そういうことか」
突然、フェルゼン将軍がにやりと笑った。
フェルゼン「飛んだ猿芝居だな」
リュート「猿芝居?」
フェルゼン「自分に中身がないことがわかっておるから、
刺客を撃退したと嘘の武勇伝をこしらえて、自分が優れた
騎士であるかのように見せつけようという魂胆であろう」
リュート「え?そんなずるい方法があるの?」
フェルゼン「貴様が今行ったことだ!」
リュート「おれ、何もしてないけど」
フェルゼン「司令官といえど、所詮最下位は最下位だな。
恥知らずに変わりはない。今すぐ、司令官の職を辞せ」
リュート「やることやったら辞めるよ」
フェルゼン「貴様……本気でヴンダーバルトを落とすつもりか」
リュート「ヴンダーバルト城を落とせなくても、
敵将を落とせばいいんでしょ?」
ザント「それができれば苦労せぬわ。
相手はワッケンハイムの『伜』だぞ!?」
リュート「うん、だから偵察してこようかなと思って」
ザント「そのような下っぱのすることを------」
リュート「でも、人から聞くのと自分の目で確かめるのって
違うじゃない?だから、見ておこうと思って」
フェルゼン「いくらやっても無駄なことだ。貴様にはお似合いだがな」
おれは白パンを口に入れてムシャムシャと頬張った。
リュート「ヴンダーバルト城って、落とすのは難しい?」
フェルゼン「貴様に説明してもわかるまい」
リュート「3人の中で、一番城攻めが得意なのは
フェルゼン将軍でしょ?将軍に一任しても、無理?」
フェルゼン「できると言ったら、わしに任せるつもりか」
リュート「うん」
フェルゼン将軍は少し沈黙した。
フェルゼン「過去100年、あの城を陥落させた者はおらぬ」
リュート「将軍に秘策はある?」
フェルゼン「……」
リュート「少し考えておいてよ。おれも、昼頃に偵察してくるから。
お城のまわりをぐるっとまわってくる」
フェルゼン「偵察しても無駄なことだ」
リュート「いっしょに来る?」
フェルゼン「断る」
老将たちは部屋の外に立ち去った。
シャムシェル「相変わらず感じ悪いの。食っちゃおうか?」
リュート「だからやめろって……」
