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エッチな騎士の成り上がり
- 叛乱軍性圧編13 -

それからしばらく経って------

おれの部屋に、将軍たちが呼び集められていた。

ワン・コアンが緊急の事案があるというので、
おれの部屋で会議をすることになったのだ。

フェルゼン「ワンコインめ、真っ昼間から人を呼び集めおって」

ザント「緊急の事案とは何でしょうかね」

フェルゼン「さてな」

ザント「まさか我らの計画がバレたとか……」

フェルゼン「不吉なことを口にするでない」

アイシス「いつまで待てばいいのかしら」

モテール「おれは忙しいのだ。もう出かけるぞ」

ガチャッ!

ワン・コアン「お待ちください。これで全員そろいましたな」

ザント「もうすでにそろっておるわい。早くせんか」

ワン・コアン「実は今日、グラディス将軍と掛け合ってまいりました」

フェルゼン「何だと。なぜ貴様がそのような勝手なことを------」

ワン・コアン「敵将から密書があったのです。重要な話があると」

フェルゼン「貴様、上官に説明せずに出かけたのか」

ワン・コアン「お許しを。しかし、大きな進展です。
       将軍同士の一騎討ちをしてもよいと」

モテール「何?」

フェルゼン「馬鹿な!
      あのワッケンハイムの『伜』がそう言ったのか?」

ワン・コアン「はい」

フェルゼン「そんなはずはない!
      今、一騎討ちをする理由などないはずだ」

ワン・コアン「何やら我が司令官を気に入っておられるようで、
       一騎討ちをしてみたいと」

フェルゼン「まさか、貴様乗ったのか」

ワン・コアン「はい」

フェルゼン「馬鹿者!突っぱねるのが補佐役としての
      貴様の役目であろうが!いくら司令官が
      素人だからといって、貴様まで素人になってどうする!」

ワン・コアン「しかし、こうでもしなければ勝ち目はありません」

フェルゼン「今勝ちに行く理由などない!
      それくらいわからんのか、この未熟者!」

ワン・コアン「しかし、今攻め込まれるよりは、
       一騎討ちに賭けた方が賢明です」

フェルゼン「常軌を逸しておる!越権行為も甚だしいぞ!」

ワン・コアン「お叱りはどうぞ。しかし、これが唯一のチャンスです」

フェルゼン「愚か者め。そうやって戦というものは
      負けるのだ。動かなくてよい時に動くなど、
      なんという児戯を------」

ワン・コアン「ただ、一騎討ちは剣技ではございません」

フェルゼン「何?剣技ではない?ならば、何だというのだ」

ワン・コアンは一同を見渡して言った。

ワン・コアン「チェスでございます」

一瞬、場が静まり返った。

シュラム「終わったな」

モテール「貴様、正気か!?何が唯一のチャンスだ!?
     グラディス殿は、わたしよりも強いのだぞ!
     幼い頃に何度も相手をしたからよくわかっている!」

ワン・コアン「承知しております」

モテール「わが軍を負けさせるつもりか!」

ワン・コアン「しかし、いたしかたなかったのでございます。
       飲まねば全軍を率いて攻め入ると言われては……」

フェルゼン「のこのこ一人で出かけていくからだ。愚か者が」

モテール「なんという愚策だ。愚かすぎる。
     司令官も馬鹿なら、その部下ももっと馬鹿だ」

ザント「モテール、口がすぎるぞ」

モテール「しかし……」

フェルゼン「よいわ。馬鹿に馬鹿と言って何が悪い。
      たとえ相手が誰であろうと、馬鹿は馬鹿だ」

ワン・コアン「しかし、これが唯一のチャンスでございます。
       勝てば、敵将の身柄はこちらのものとなります」

フェルゼン「負ければどうなる」

ワン・コアン「司令官の首が飛びます」

リュート「え!?おれの首が飛ぶの!?」

ワン・コアン「申し訳ございません」

リュート「で、それ、誰が勝負するの?モテール!?」

モテール「おれにできるか!」

ワン・コアン「司令官でございます」

リュート「え、ええ~~っ!?おれっ!?
     おれ、チェス強くないよ!?」

モテール「最悪だ。もう戦う前から結果が見えている」

ワン・コアン「こうするより仕方なかったのでございます」

フェルゼン「ワンコイン。貴様、元からこの馬鹿者を
      葬り去るつもりだったのではなかろうな」

ワン・コアン「ワン・コアンです!」

フェルゼン「名前などどうでもよい。
      司令官も馬鹿なら、貴様はもっと馬鹿者だ」

ワン・コアン「何と言われましても、もう決まったことでございます」

フェルゼン「罰だ。貴様は牢獄に入っておれ」

ワン・コアン「それをお決めになるのは司令官でございます」

モテール「おい、リュート。こんな馬鹿は即刻殺してしまえ。
     司令官に代わって勝手に取り決めをするなど、言語道断だ」

リュート「そうだな……とりあえずさ、モテール、
     帰るのはやめておれにチェスを教えてくれない?」

モテール「断る!」

リュート「え?」

モテール「今から教えたところで勝てるものか!」

リュート「でも、戦いって、すぐじゃないんでしょ?」

ワン・コアン「3日後でございます」

リュート「3日後~~っ!?」

フェルゼン「謀りおったか。くだらぬ知恵を使いおって。
      ワンコイン、貴様、逆賊だな」

ワン・コアン「ワン・コアンでございます!」

フェルゼン「おい、衛兵!衛兵!」

ガチャッ!

フェルゼン「こやつを牢獄に連れていけ」

守備兵B「は?」

ワン・コアン「失礼ながら命令には従いかねます。
       わたくしは司令官の命令しか聴きませぬ」

フェルゼン「何だと」

ワン・コアン「実は面白い情報を持っておりまして。
       昨日発見された干からびた賊とザント将軍が
       夜中に会っていたことを目撃した者がおりまして」

ザント「し、失礼な!」

ワン・コアン「この間の賊。実は司令官暗殺を企んで
       お三方が侵入させたのではないですかな」

ザント「殺すようには言っておらぬ!」

ワン・コアン「つまり、命じたということですな」

ザント「……」

フェルゼン「馬鹿者め、余計な口を利きおって」

ザント「……」

ワン・コアン「さて、司令官殿。どちらを処分なさいます?」

ワン・コアン「このビュステンハルターのために
       身勝手なことをしてしまったわたくしを処分なさいますか。
       それとも、司令官暗殺を企んだ者を処分なさいますか」

ワン・コアン「賢明な司令官なら、おわかりだと存じますが」

リュート「……」

ワン・コアン「司令官」

リュート「フェルゼン将軍のことは不問に付そう」

ワン・コアン「な、何ですと!」

リュート「でも、ワン・コアン。君は作戦会議から外れてもらうよ」

ワン・コアン「なぜです!なぜ将軍たちを------」

リュート「越権行為をしておいて、
     質問できる立場じゃないと思うけど」

ワン・コアン「し、しかし------」

リュート「ごめん、守備兵の人、
     副官を部屋に監禁しておいてくれる?」

守備兵A「はっ!」

守備兵B「副官殿、では」

ワン・コアン「ええい、さわるな!一人で行ける!司令官!
       今日のことをきっと後悔なさいますぞ!
       一騎討ちの前に命を失いますぞ!」

ドアの向こうに、ワン・コアンの声が消えていった。


あとがきに書くことないので
キャラクター紹介、第一弾
『フェルゼン卿(将軍)』
かつて騎士学校を首席で卒業している。
司令官としての実績があり、世間的な名声も高い。
心の底では、宰相のことを憎らしく思っているらしい。
認めていない時には皮肉を飛ばすが、
実力ある者は素直に認め、受け入れる部分がある。
<2016/09/29 21:08 RUKA>消しゴム
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