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エッチな騎士の成り上がり
- 叛乱軍性圧編14 -

おれはふうと息をついた。

期せずして、陛下からの密書の通りになったということだ。

<<裏切り者がビュステンハルターの城内にいる>>

陛下の密書にあったのは、その言葉だった。
これで、自ずと誰が裏切り者かがわかったことになる。

ザント「……なぜだ」

ザント将軍がおれに顔を向けた。

ザント「なぜだ?なぜ処分せぬ」

リュート「処分した方がいいですか?」

ザント「馬鹿者!
    ここで厳罰に処分せねば示しがつかんであろうが!」

リュート「でも、本気じゃなかったんでしょ?
     おれをぎゃふんと言わせるつもりだっただけなんでしょ?」

ザント「……」

リュート「だから、いいよ」

フェルゼン「甘いわ」

リュート「ん?」

フェルゼン「貴様は司令官として甘すぎる!
      さっさとわしを牢獄に連れていけ!」

リュート「……それ、できないよ」

フェルゼン「何だと!?」

リュート「おれ、少し考えたんだ。今、副官を更迭するか、
     お三方を更迭するか。どっちが敵将がよろこぶだろうって」

ザント「!」

フェルゼン「!」

シュラム「!」

リュート「たぶん、3人を更迭する方がよろこぶだろうなって。
     裏をかいて実際に攻め入った時に、
     将軍がいない方がつらいもんね」

リュート「それに3人がいないと、おれが負けちゃったらその後、
     完璧にお城の中が空白になっちゃう」

リュート「戦争の指揮を取れる人がいなくなってしまう。
     副官は戦いの人じゃないもんね」

ザント「……」

フェルゼン「……」

シュラム「真理だな」

リュート「だから、3人にはまた前と同じように
     色々と支えになってほしいんだ」

ザント「……」

フェルゼン「……」

シュラム「……」

リュート「お願いね」

フェルゼン「貴様、後悔はせぬのか。
      もし我らが本気で貴様に刺客を放ったらどうなる?」

リュート「フェルゼン将軍はそんなことはしないよ。
     おれが尊敬する偉大な騎士学校の先輩だし」

フェルゼン「……」

リュート「とにかく、お願いね」

3人は無言で部屋を出ていった。

アイシスとモテールの2人がおれを睨んでいた。

モテール「フェルゼン将軍の言葉通りだ。貴様は甘いな」

リュート「じゃあ、3人を更迭しておれが負けて、
     その後一気に攻め入られたらどうする?
     ビュステンハルターは完全に敵のものになっちゃうよ」

モテール「貴様、正気か?自分に刺客を放った者を放免するなど、
     わざわざ毒蛇を自分の部屋に放つのも同然だ。
     貴様は死ぬ気か?」

リュート「そういうつもりじゃないけど」

モテール「貴様は馬鹿だ。やはり馬鹿だ」

モテールは吐き捨てるように言い放った。

モテール「宰相にも報告してやる。やはり司令官不適格だと」

リュート「それはいいけど、その代わり、
     今日のこと、内緒にしておいてくれない?」

モテール「不正に目をつぶるというのか?」

リュート「一騎討ちの日まで待ってほしいんだ。
     報告は戦いが終わってからにしてくれないかな」

モテール「……」

リュート「アイシスもお願い」

アイシス「あくまでも一騎討ちのため、ということね」

おれはうなずいた。

リュート「あと、もう1つお願いがあるんだけど」

モテール「聴かぬぞ」

リュート「一騎討ちの日まで残ってくれない?」

モテール「チェスなら教えぬぞ」

リュート「そうじゃないよ。おれがもし負けたら、
     一時的でいいからおれの代行をしてほしいんだ」

モテール「……貴様、本気か」

リュート「その方がうまく収まるかなと思って。
     アイシスと2人で代行を務めてほしいんだ。
     戦いの指揮は、将軍たちに任せてやって」

モテール「……わかった」

アイシス「いいわ。後のことは任せて」

リュート「じゃあ、お願い。王都に戻るのは遅くなるけど、ごめんね」

モテール「貴様の最期ぐらい、見届けてやる」

モテールは先に部屋を出ていった。
アイシスは同伴せずに残っている。

リュート「あれ?いっしょに行かないの?」

アイシス「本当にグラディスと勝負するつもり?」

リュート「するしかないだろうな。
     ワンコインが勝手に決めちゃったし。あ、ワン・コアンか」

アイシス「負けるわよ」

リュート「かもしれない」

アイシス「かもしれないじゃなくて、そうなるのよ、
     あなたの実力なら。あなた、確実に殺されるのよ!?」

リュート「どうだろう。グラディスって悪い人じゃないし、
     結構よく物事を考えてるし、
     いきなり殺したりしないと思うけど」

アイシス「殺すわよ。そんな甘い人じゃないわよ」

リュート「どっちに転んでもなんとかなるよ」

アイシス「ならないわよ。逃げようとか思わないの?」

リュート「どうして逃げるの?」

アイシス「だって、死ぬのよ?
     あなた、ここで一生を終えてもいいの?」

リュート「同じ死ぬのでも、やるだけやって死にたいかな。
     それに、死ぬって感じしないし」

アイシス「やっぱり、あなたは司令官不適格ね」

冷たい言葉を浴びせて、アイシスは退室していった。

シャムシェル「大変なことになっちゃったね」

リュート「うん……大変なことになっちゃったな」

シャムシェル「でも、リュートのこと、惚れ直しちゃった。
       将軍のこと、許しちゃうんだもん。
       あんなに罵倒されまくってたのに」

リュート「罵倒は期待の裏返しだから」

シャムシェル「くす。やっぱり大物だね」

リュート「小物だと思うけど」

シャムシェル「リュートは大物だよ。リュートはもっともっと出世するよ」

リュート「チェスの戦いに勝ったらね」

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リュート・ヘンデが決断を下して数時間後------
敵将グラディスはビュステンハルター城からの
連絡を待っていた。

敵兵「お伝えいたします!
   ビュステンハルター城より連絡がありました!」

グラディス「読め」

敵兵「戦いの件、受け入れたく候。
   お互い力の限り戦うことを願う。リュート・ヘンデ。
   以上であります」

グラディス「クク……やはり承諾したか」

敵兵「は?」

グラディス「他に動きは?」

敵兵「ワン・コアン殿が地下牢に閉じ込められている模様です」

グラディス「ワン・コアンが?
      他の老将たちはどうした?更迭されたか?」

敵兵「いえ」

グラディス「フン……さすがだな、リュート・ヘンデ。
      更迭すればオレが攻め入ると読んだか」

グラディスがにやりと笑う。

グラディス「ご苦労。行ってよい」

敵兵「はっ!」

兵が立ち去ると、グラディスは一人ほくそえんだ。

グラディス「逃げはせぬだろうと思っていたが……
      ククク、さすがおまえだ」

グラディス「しかし、どうする?」

グラディス「オレの腕前を知ってのことか?
      オレに勝てると思ってのことか?」

グラディス「引き受けたと称して夜襲でもかけるつもりか?」

グラディス「どちらにせよ、おまえに勝機はないぞ、リュート・ヘンデ」

グラディス「楽しい時間もこれまでだ。
      オレがおまえを殺さぬと考えているのだとしたら、甘いぞ」

グラディス「オレはおまえを殺す。放っておけば、
      いずれ脅威となる男を生かしておくわけにはいかぬ」

グラディス「おまえの命は後3日だ。
      ……それまで、せいぜい楽しむことだな。
      リュート・ヘンデ」



キャラクター紹介第二弾
『ザント卿(将軍)』
騎士学校の出身。
苦労をして、ようやく今の地位を獲得したが、
つらい目に遭いすぎたのか、ものの見方がひねくれている。
頭はいいので参謀タイプだが、
リーダーとしては決断力に欠ける。
<2016/09/29 22:13 RUKA>消しゴム
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