おれは天井を向いてため息をついた。
あれから1日経過し、すでに一騎討ちの前日になっている。
もう明日なのだと思うと、にわかに緊張が込み上げてくる。
しかし、緊張したところでどうにかなるわけではない。
それでも、やっぱりうんって言わない方がよかったん
じゃないか、とか、いやいや、そもそも決定事項だから
どうにもならないじゃないか、なんて考えまでめぐってくる。
モテールにもう一度教えてくれと頼んでみたが、
付け焼き刃で何ができると、取り憑く島もなかった。
仕方がないので、ワン・コアンに少しだけ教えてもらったが、
感想は「司令官は筋が悪い」だった。
普通に考えれば、勝てるはずがないのだ。
-------------------------------------------------------------------------------
じっとしていられなくて、おれは部屋の外に出た。
守備兵「司令官、明日ですね。がんばってください」
励ますつもりで、守備兵がプレッシャーをかける。
ぐっ。
ぐぐっ。
やばい。
ますます緊張してきたぞ。
おれはその場から逃げるように外に飛び出した。
-------------------------------------------------------------------------------
------といって、
町に出たところで落ち着きが出るわけではない。
この町を見るのも、今日が最後かもしれない、
なんていやな考えまで起こってくる。
初めてグラディスと対面した場所まで来たところで、
おれは教会を思い出した。
今できることといえば------祈ることぐらいかもしれない。
-------------------------------------------------------------------------------
大聖堂の中は、またしても無人だった。
この広い空間の中に、今いるのはおれただ1人。
戦いの前にはお似合いの静けさだ。
おれは跪(ひざまず)いて目を閉じた。
(明日勝てますように……奇跡が起こりますように……)
(……って、祈る柄でもないか)
???「汝、リュート・ヘンデよ。その願い、叶えてしんぜよう」
目を開けると、やはりそこにいたのはシャムシェルだった。
シャムシェル「お祈りなんて、リュートも古典的だね」
リュート「どこ行ってたんだ?」
シャムシェル「色々。敵のお城を偵察してきた」
リュート「どうだった?」
シャムシェル「余裕綽々。優雅にパーティーなんか開いてたよ」
リュート「大物だな……」
シャムシェル「リュートも開く?」
リュート「いい。お金がもったいない」
シャムシェル「ケチなんだから」
リュート「新しい弾薬を買う分にまわしたいから」
シャムシェルが不意に覗き込んできた。
シャムシェル「明日、勝てると思う?」
リュート「わからない」
シャムシェル「みんな、負けるって言ってるよ」
リュート「シャムシェルは?」
シャムシェル「んふ~♪」
シャムシェルは笑っただけだった。
彼女だけは、おれが勝つと信じてくれているらしい。
ロクサーヌも、もしここにいたらそう信じてくれただろうか。
いや。
彼女はただ心配するだけに違いない。
そして別れを惜しむように、
あの豊満な肉体をぶつけてくるはずだ。
シャムシェル「励ましてあげよっか」
リュート「励まし?」
シャムシェル「明日、チェスの決闘でしょ?
リュートが勝つようにおまじないしてあげる」
リュート「おまじない?」
シャムシェルの胸が、突然接近した。
プルンと目の前で揺れる。
おれはドキッとした。
まさか------
シャムシェル「パ・〇・ズ・リ、してあげる」
------------------------------------------------------------------------------
神聖なる教会の中で、おれは、ゆっくりと気を失っていった。
もしかすると、本当に死んでしまったのかもしれない。
------------------------------------------------------------------------------
気がつくと、おれはまだ大聖堂の中にいた。
そして------
シャムシェルがおれを抱き締めて覗き込んでいた。
シャムシェル「くす。起きた♪」
リュート「ここは……天国か?」
シャムシェル「わたしがいるから、天国なんじゃない?」
リュート「……そうかも」
シャムシェル「くす。神様がいたら地獄なの?」
リュート「だったりして」
シャムシェルがくすっと笑った。
リュート「……ほんとに死ぬかと思った」
シャムシェル「くすくす。いっぱいパ〇ズリしちゃった♪」
リュート「エッチなやつめ……」
シャムシェル「だって、サキュバスだもん」
シャムシェルが笑う。
確かにその通りだ。
淫乱でないサキュバスなど、サキュバスではない。
シャムシェル「お目覚めはいかがですか、司令官閣下♪」
リュート「うん……」
シャムシェル「明日のいい攻略法でも浮かびましたか?くすくす」
リュート「さっぱり」
シャムシェル「くす。心配してる?」
リュート「なるようになれだよ」
シャムシェル「大丈夫。わたしがついてるから」
リュート「秘策でもあるのか?」
シャムシェル「全然」
リュート「全然って……」
シャムシェル「くすくすくす」
シャムシェルは嬉しそうに笑った。
どうやら思い切りパ〇ズリできたのが嬉しかっただけらしい。
もう明日は試合なのに------
そこでおれは死んでしまうかもしれないのに------
おれはなんだか欲望と幸せを感じていた。
------------------------------------------------------------------------------
夕陽が静かに城内に差し込む。
静かな平穏な日の終わりを告げるように------
まるで誰かの運命の終わりを告げるかのように、
陽が傾いていく。
そして------
陽は完全に落ちた。
誰かの命運が尽きたかのように、西の果てに沈んだ。
西。
あの世の方角。
死の世界。
明日負けるのは誰なのか。
グラディスなのか、おれなのか。
答えはほとんど決まっている。
------------------------------------------------------------------------------
おれは、もしかするとお城で最後に
味わうことになるかもしれない夕食を終えて、
一人でチェス盤を睨みつけていた。
自分で手筋を考えてみるが、
頭というのはやはり急激にはよくならないものだ。
シャムシェル「あきらめたら?もう未来は決まってんだから」
リュート「ううん……そうなんだけどね」
シャムシェル「いつものリュートらしくないよ」
リュート「少しぐらいはやっておいた方が足しに……」
リュート「……ならないか」
シャムシェル「無駄無駄♪」
シャムシェルが嬉しそうに言う。
コンッコンッ!
リュート「はい」
驚いたことに、入ってきたのはフェルゼン将軍だった。
誰もいないのを狙って来たらしい。
フェルゼン「まだ起きておったのか」
リュート「どうしたの、フェルゼン将軍」
フェルゼン「別に用事ではない」
リュート「……」
フェルゼン「……」
二人、ともに黙った。
おれの部屋に入ってきて、用事がないはずがない。
フェルゼン「策はあるのか」
リュート「ない」
フェルゼン「無策か」
リュート「ジタバタしても始まらないし」
フェルゼン「どうせそんなことであろうと思った」
フンとフェルゼンは鼻を鳴らした。
珍しいことだった。
いつもは他の2人を連れてくるのに、今日だけは1人。
おれはフェルゼン将軍を見た。
密書のことが思い浮かぶ。
明日おれは死んでしまうかもしれないし、
この人になら、あのことをしゃべってもいいかもしれない。
あれから1日経過し、すでに一騎討ちの前日になっている。
もう明日なのだと思うと、にわかに緊張が込み上げてくる。
しかし、緊張したところでどうにかなるわけではない。
それでも、やっぱりうんって言わない方がよかったん
じゃないか、とか、いやいや、そもそも決定事項だから
どうにもならないじゃないか、なんて考えまでめぐってくる。
モテールにもう一度教えてくれと頼んでみたが、
付け焼き刃で何ができると、取り憑く島もなかった。
仕方がないので、ワン・コアンに少しだけ教えてもらったが、
感想は「司令官は筋が悪い」だった。
普通に考えれば、勝てるはずがないのだ。
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じっとしていられなくて、おれは部屋の外に出た。
守備兵「司令官、明日ですね。がんばってください」
励ますつもりで、守備兵がプレッシャーをかける。
ぐっ。
ぐぐっ。
やばい。
ますます緊張してきたぞ。
おれはその場から逃げるように外に飛び出した。
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------といって、
町に出たところで落ち着きが出るわけではない。
この町を見るのも、今日が最後かもしれない、
なんていやな考えまで起こってくる。
初めてグラディスと対面した場所まで来たところで、
おれは教会を思い出した。
今できることといえば------祈ることぐらいかもしれない。
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大聖堂の中は、またしても無人だった。
この広い空間の中に、今いるのはおれただ1人。
戦いの前にはお似合いの静けさだ。
おれは跪(ひざまず)いて目を閉じた。
(明日勝てますように……奇跡が起こりますように……)
(……って、祈る柄でもないか)
???「汝、リュート・ヘンデよ。その願い、叶えてしんぜよう」
目を開けると、やはりそこにいたのはシャムシェルだった。
シャムシェル「お祈りなんて、リュートも古典的だね」
リュート「どこ行ってたんだ?」
シャムシェル「色々。敵のお城を偵察してきた」
リュート「どうだった?」
シャムシェル「余裕綽々。優雅にパーティーなんか開いてたよ」
リュート「大物だな……」
シャムシェル「リュートも開く?」
リュート「いい。お金がもったいない」
シャムシェル「ケチなんだから」
リュート「新しい弾薬を買う分にまわしたいから」
シャムシェルが不意に覗き込んできた。
シャムシェル「明日、勝てると思う?」
リュート「わからない」
シャムシェル「みんな、負けるって言ってるよ」
リュート「シャムシェルは?」
シャムシェル「んふ~♪」
シャムシェルは笑っただけだった。
彼女だけは、おれが勝つと信じてくれているらしい。
ロクサーヌも、もしここにいたらそう信じてくれただろうか。
いや。
彼女はただ心配するだけに違いない。
そして別れを惜しむように、
あの豊満な肉体をぶつけてくるはずだ。
シャムシェル「励ましてあげよっか」
リュート「励まし?」
シャムシェル「明日、チェスの決闘でしょ?
リュートが勝つようにおまじないしてあげる」
リュート「おまじない?」
シャムシェルの胸が、突然接近した。
プルンと目の前で揺れる。
おれはドキッとした。
まさか------
シャムシェル「パ・〇・ズ・リ、してあげる」
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神聖なる教会の中で、おれは、ゆっくりと気を失っていった。
もしかすると、本当に死んでしまったのかもしれない。
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気がつくと、おれはまだ大聖堂の中にいた。
そして------
シャムシェルがおれを抱き締めて覗き込んでいた。
シャムシェル「くす。起きた♪」
リュート「ここは……天国か?」
シャムシェル「わたしがいるから、天国なんじゃない?」
リュート「……そうかも」
シャムシェル「くす。神様がいたら地獄なの?」
リュート「だったりして」
シャムシェルがくすっと笑った。
リュート「……ほんとに死ぬかと思った」
シャムシェル「くすくす。いっぱいパ〇ズリしちゃった♪」
リュート「エッチなやつめ……」
シャムシェル「だって、サキュバスだもん」
シャムシェルが笑う。
確かにその通りだ。
淫乱でないサキュバスなど、サキュバスではない。
シャムシェル「お目覚めはいかがですか、司令官閣下♪」
リュート「うん……」
シャムシェル「明日のいい攻略法でも浮かびましたか?くすくす」
リュート「さっぱり」
シャムシェル「くす。心配してる?」
リュート「なるようになれだよ」
シャムシェル「大丈夫。わたしがついてるから」
リュート「秘策でもあるのか?」
シャムシェル「全然」
リュート「全然って……」
シャムシェル「くすくすくす」
シャムシェルは嬉しそうに笑った。
どうやら思い切りパ〇ズリできたのが嬉しかっただけらしい。
もう明日は試合なのに------
そこでおれは死んでしまうかもしれないのに------
おれはなんだか欲望と幸せを感じていた。
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夕陽が静かに城内に差し込む。
静かな平穏な日の終わりを告げるように------
まるで誰かの運命の終わりを告げるかのように、
陽が傾いていく。
そして------
陽は完全に落ちた。
誰かの命運が尽きたかのように、西の果てに沈んだ。
西。
あの世の方角。
死の世界。
明日負けるのは誰なのか。
グラディスなのか、おれなのか。
答えはほとんど決まっている。
------------------------------------------------------------------------------
おれは、もしかするとお城で最後に
味わうことになるかもしれない夕食を終えて、
一人でチェス盤を睨みつけていた。
自分で手筋を考えてみるが、
頭というのはやはり急激にはよくならないものだ。
シャムシェル「あきらめたら?もう未来は決まってんだから」
リュート「ううん……そうなんだけどね」
シャムシェル「いつものリュートらしくないよ」
リュート「少しぐらいはやっておいた方が足しに……」
リュート「……ならないか」
シャムシェル「無駄無駄♪」
シャムシェルが嬉しそうに言う。
コンッコンッ!
リュート「はい」
驚いたことに、入ってきたのはフェルゼン将軍だった。
誰もいないのを狙って来たらしい。
フェルゼン「まだ起きておったのか」
リュート「どうしたの、フェルゼン将軍」
フェルゼン「別に用事ではない」
リュート「……」
フェルゼン「……」
二人、ともに黙った。
おれの部屋に入ってきて、用事がないはずがない。
フェルゼン「策はあるのか」
リュート「ない」
フェルゼン「無策か」
リュート「ジタバタしても始まらないし」
フェルゼン「どうせそんなことであろうと思った」
フンとフェルゼンは鼻を鳴らした。
珍しいことだった。
いつもは他の2人を連れてくるのに、今日だけは1人。
おれはフェルゼン将軍を見た。
密書のことが思い浮かぶ。
明日おれは死んでしまうかもしれないし、
この人になら、あのことをしゃべってもいいかもしれない。
