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エッチな騎士の成り上がり
- 叛乱軍性圧編15 -

おれは天井を向いてため息をついた。

あれから1日経過し、すでに一騎討ちの前日になっている。

もう明日なのだと思うと、にわかに緊張が込み上げてくる。

しかし、緊張したところでどうにかなるわけではない。

それでも、やっぱりうんって言わない方がよかったん
じゃないか、とか、いやいや、そもそも決定事項だから
どうにもならないじゃないか、なんて考えまでめぐってくる。

モテールにもう一度教えてくれと頼んでみたが、
付け焼き刃で何ができると、取り憑く島もなかった。

仕方がないので、ワン・コアンに少しだけ教えてもらったが、
感想は「司令官は筋が悪い」だった。

普通に考えれば、勝てるはずがないのだ。

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じっとしていられなくて、おれは部屋の外に出た。

守備兵「司令官、明日ですね。がんばってください」

励ますつもりで、守備兵がプレッシャーをかける。

ぐっ。

ぐぐっ。

やばい。

ますます緊張してきたぞ。

おれはその場から逃げるように外に飛び出した。

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------といって、
町に出たところで落ち着きが出るわけではない。

この町を見るのも、今日が最後かもしれない、
なんていやな考えまで起こってくる。

初めてグラディスと対面した場所まで来たところで、
おれは教会を思い出した。

今できることといえば------祈ることぐらいかもしれない。

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大聖堂の中は、またしても無人だった。

この広い空間の中に、今いるのはおれただ1人。

戦いの前にはお似合いの静けさだ。

おれは跪(ひざまず)いて目を閉じた。

(明日勝てますように……奇跡が起こりますように……)

(……って、祈る柄でもないか)

???「汝、リュート・ヘンデよ。その願い、叶えてしんぜよう」

目を開けると、やはりそこにいたのはシャムシェルだった。

シャムシェル「お祈りなんて、リュートも古典的だね」

リュート「どこ行ってたんだ?」

シャムシェル「色々。敵のお城を偵察してきた」

リュート「どうだった?」

シャムシェル「余裕綽々。優雅にパーティーなんか開いてたよ」

リュート「大物だな……」

シャムシェル「リュートも開く?」

リュート「いい。お金がもったいない」

シャムシェル「ケチなんだから」

リュート「新しい弾薬を買う分にまわしたいから」

シャムシェルが不意に覗き込んできた。

シャムシェル「明日、勝てると思う?」

リュート「わからない」

シャムシェル「みんな、負けるって言ってるよ」

リュート「シャムシェルは?」

シャムシェル「んふ~♪」

シャムシェルは笑っただけだった。

彼女だけは、おれが勝つと信じてくれているらしい。
ロクサーヌも、もしここにいたらそう信じてくれただろうか。

いや。

彼女はただ心配するだけに違いない。

そして別れを惜しむように、
あの豊満な肉体をぶつけてくるはずだ。

シャムシェル「励ましてあげよっか」

リュート「励まし?」

シャムシェル「明日、チェスの決闘でしょ?
       リュートが勝つようにおまじないしてあげる」

リュート「おまじない?」

シャムシェルの胸が、突然接近した。

プルンと目の前で揺れる。

おれはドキッとした。

まさか------

シャムシェル「パ・〇・ズ・リ、してあげる」

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神聖なる教会の中で、おれは、ゆっくりと気を失っていった。

もしかすると、本当に死んでしまったのかもしれない。

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気がつくと、おれはまだ大聖堂の中にいた。

そして------

シャムシェルがおれを抱き締めて覗き込んでいた。

シャムシェル「くす。起きた♪」

リュート「ここは……天国か?」

シャムシェル「わたしがいるから、天国なんじゃない?」

リュート「……そうかも」

シャムシェル「くす。神様がいたら地獄なの?」

リュート「だったりして」

シャムシェルがくすっと笑った。

リュート「……ほんとに死ぬかと思った」

シャムシェル「くすくす。いっぱいパ〇ズリしちゃった♪」

リュート「エッチなやつめ……」

シャムシェル「だって、サキュバスだもん」

シャムシェルが笑う。

確かにその通りだ。
淫乱でないサキュバスなど、サキュバスではない。

シャムシェル「お目覚めはいかがですか、司令官閣下♪」

リュート「うん……」

シャムシェル「明日のいい攻略法でも浮かびましたか?くすくす」

リュート「さっぱり」

シャムシェル「くす。心配してる?」

リュート「なるようになれだよ」

シャムシェル「大丈夫。わたしがついてるから」

リュート「秘策でもあるのか?」

シャムシェル「全然」

リュート「全然って……」

シャムシェル「くすくすくす」

シャムシェルは嬉しそうに笑った。

どうやら思い切りパ〇ズリできたのが嬉しかっただけらしい。

もう明日は試合なのに------
そこでおれは死んでしまうかもしれないのに------
おれはなんだか欲望と幸せを感じていた。

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夕陽が静かに城内に差し込む。

静かな平穏な日の終わりを告げるように------
まるで誰かの運命の終わりを告げるかのように、
陽が傾いていく。

そして------

陽は完全に落ちた。

誰かの命運が尽きたかのように、西の果てに沈んだ。

西。

あの世の方角。

死の世界。

明日負けるのは誰なのか。

グラディスなのか、おれなのか。

答えはほとんど決まっている。

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おれは、もしかするとお城で最後に
味わうことになるかもしれない夕食を終えて、
一人でチェス盤を睨みつけていた。

自分で手筋を考えてみるが、
頭というのはやはり急激にはよくならないものだ。

シャムシェル「あきらめたら?もう未来は決まってんだから」

リュート「ううん……そうなんだけどね」

シャムシェル「いつものリュートらしくないよ」

リュート「少しぐらいはやっておいた方が足しに……」

リュート「……ならないか」

シャムシェル「無駄無駄♪」

シャムシェルが嬉しそうに言う。

コンッコンッ!

リュート「はい」

驚いたことに、入ってきたのはフェルゼン将軍だった。
誰もいないのを狙って来たらしい。

フェルゼン「まだ起きておったのか」

リュート「どうしたの、フェルゼン将軍」

フェルゼン「別に用事ではない」

リュート「……」

フェルゼン「……」

二人、ともに黙った。

おれの部屋に入ってきて、用事がないはずがない。

フェルゼン「策はあるのか」

リュート「ない」

フェルゼン「無策か」

リュート「ジタバタしても始まらないし」

フェルゼン「どうせそんなことであろうと思った」

フンとフェルゼンは鼻を鳴らした。

珍しいことだった。

いつもは他の2人を連れてくるのに、今日だけは1人。

おれはフェルゼン将軍を見た。

密書のことが思い浮かぶ。

明日おれは死んでしまうかもしれないし、
この人になら、あのことをしゃべってもいいかもしれない。



キャラクター紹介第三弾
『シュラム卿(将軍)』
初代騎士学校卒業者。下級貴族の出。
中肉中背の普通の体つき。四角い、非常に厳しい顔つき。
かなりの頑固者で、四角四面に考える。
口では決して人を誉めぬが、行動では尊敬を表す。

<2016/09/30 01:58 RUKA>消しゴム
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