おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
エッチな騎士の成り上がり
- 叛乱軍性圧編22 -

朝食を食べ終えると、
ようやくグラディスは部屋に戻っていった。

きっと、お城の中ではおれの噂が駆け回っているに違いない。
なにせ、兵が朝食を下げに来た時にも、
おれの首根っこに抱きついてキスを浴びせていたのだから。

シャムシェル「ニヒヒヒヒヒヒ」

いやらしい笑いとともにシャムシェルが現われていた。
どうやら、今までどこかに隠れてずっと見ていたらしい。

シャムシェル「ま~た惚れられちゃって。多情だね~」

リュート「なんで惚れられちまったんだ?」

シャムシェル「だって、リュートって大物だから。
       わたしが惚れるくらいなんだからね」

リュート「ううん……おれ、偶然で勝っただけなのに」

シャムシェル「そこがリュートの器の大きいところなの」

リュート「おれ、もしかしてもう一生分の運勢使い切って、
     後は転落するのみなんじゃないの?」

シャムシェル「リュートはそういうタマじゃないの。あ、オ〇ンチンもね」

リュート「聞いてないって」

シャムシェル「くすくす」

リュート「びっくりしたよ。シャムシェルの代わりに
     グラディスがいるんだもん」

シャムシェル「だって、わたしが寝ようと思ったら
       夜中にささ~っとやってきてすべり込んじゃうんだもん」

リュート「へ~え」

シャムシェル「リュートって、自分に好意を持っている人間には、
       暴力揮(ふる)わないんだね」

リュート「は?」

シャムシェル「悪者が近づくと、寝ていても凄い攻撃浴びせるくせに」

リュート「それ、ほんとの話?」

シャムシェル「悪魔は嘘つかない」

リュート「それ、絶対嘘だ」

シャムシェル「人間の方が嘘つくんだよ」

リュート「それは……確かに」

シャムシェル「ほら」

シャムシェルはおれにアップルパイを渡してみせた。

リュート「何、これ?」

シャムシェル「昨日リュートが食べたやつ」

リュート「おまえ、こんなのまだ持ってたのか」

シャムシェル「それ、腹下しが入ってるよ」

リュート「腹下し?」

シャムシェル「リュートのお腹を壊して、
       何があってもチェスに負けさせるつもりだったんだよ。
       もっとも、リュートには逆効果だったみたいだけど」

おれはまじまじとアップルパイを見つめた。

リュート「誰がつくらせたんだ?」

シャムシェル「つくった料理人をとっちめたらすぐわかるよ。
       命じた張本人に食べさせるって手もあるけどね」

リュート「つくらせた張本人って------」

ガチャッ!

モテール「貴様~~~~~~~っ!」

突然、モテールが飛び込んできた。

モテール「嘘だと言え!あの噂は嘘だと言え~~~っ!」

リュート「わぁっ……何のことだよ」

モテール「あの……あのグラディス様がおまえに……」

リュート「ああ……もうおまえの耳にも入ってたのか」

モテール「嘘だと言え~~っ!貴様にグラディス様が
     ものにできるわけがないのだ!
     貴様のような落ちこぼれに~~~っ!」

ドンッ!

モテール「ぐげっ!」

グラディスがおれの部屋に姿を現していた。

グラディス「貴様、何をしている」

モテール「グ、グラディス……」

グラディス「呼び捨てにするな!オレを呼び捨てにしてよいのは、
      オレが好きになった男だけだ」

モテール「し、しかし、我らの捕虜------」

グラディス「貴様の捕虜ではない。
      オレはリュート・ヘンデの捕虜となったのだ」

モテール「は?」

グラディス「オレの愛しい男を愚弄するやつは
      この剣で切り裂いてくれるぞ」

グラディスが剣を引き抜いた。

モテール「ひっ!だ、誰だ、剣を持たせたのは!」

リュート「もしかしておれかな?」

モテール「き、貴様~っ!」

ドンッ!

モテール「うげっ!」

グラディス「貴様、オレの言葉が聞けなかったのか!」

モテール「ひぃっ!」

グラディス「貴様の態度はなっておらぬ!
      騎士学校を卒業していながらその口の利き方は何だ!
      そこに居直れ!」

モテール「し、しかし------」

グラディス「早くせぬか!」

モテール「はっ!」

グラディス「歯を食いしばれっ!気をつけ~っ、休め!」

モテール「はっ!」

グラディス「今から貴様に天誅を食らわせてやる。甘んじて受けよ!」

モテール「は、はっ!」

グラディス「以後、貴様が我が夫リュート・ヘンデをそしること値わぬ!
      万が一罵倒した場合は、鉄拳をもって
      制裁を受けるがよい!」

モテール「そ、そんな-------」

グラディス「天誅!」

ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドンッ!

モテール「……」

モテール「ほ……」

モテール「ほ、ほえ……」

グラディス「よくわかったか」

モテール「よ……よおく……わかり……まひた……ぶへっ……」

モテールはボロボロになって出ていった。

あのモテールが一瞬であんなふうになってしまうのだから、
もし剣で戦っていたら、おれは瞬間的に殺されていたに
違いない。

グラディス「くす。安心しろ。邪魔なやつはオレが追い払ってやったぞ」

リュート「あんなにしなくてもよかったのに」

グラディス「あいつのためだ。
      あいつはおまえに対して敬意を払わなすぎる。
      大きすぎるプライドは、人を殺すだけだ」

その通りだった。

やはり名将軍、見抜くところは見抜いている。

ガチャッ!

フェルゼン「司令官、噂は------」

フェルゼン「どうやら、本当だったようですな」

どうやら、おれとグラディスの仲のことを聞きに来たらしい。

それにしても、グラディスは突っ走りすぎだ。
我が夫って……まだ結婚してないってば。

グラディス「フェルゼンか。久しぶりだのう」

フェルゼン「昨日会ったであろうが、この反逆者め。
      貴様ともあろう者が」

グラディス「相変わらず老けておるな」

フェルゼン「何を言うか、じゃじゃ馬娘め」

グラディス「オレはもう娘ではないぞ。女になったのだ」

フェルゼン「何!?」

グラディス「相手はもちろん、わかるよのう」

グラディスがおれに身体を押しつける。

リュート「お、おい」

フェルゼン「……ククク」

リュート「?」

フェルゼン「は~~っ!はっ!はっ!」

リュート「フェルゼン将軍?」

フェルゼン「参りましたな。
      このじゃじゃ馬娘まで手なずけてしまうとは」

リュート「いや、手なずけたというか、その……」

フェルゼン「よいのですか。
      このように自由にしておいて。城を乗っ取られますぞ」

グラディス「オレがそんなことをするか。
      この城はオレの愛しい男の城だ。
      わざわざ乗っ取るまでもない」

フェルゼン「フン」

グラディス「それよりも、裏切り者に注意した方がよいのではないか」

フェルゼン「それは貴様のことか」

グラディス「馬鹿を言え。大方、見当がついておるだろうが」

フェルゼンが黙った。

将軍にも見当はついているらしい。

グラディス「秘密の話をするのだ。副官も呼んだ方がよかろう。
      後の処理もあるでな」

フェルゼン「言っておくが、おまえは捕虜だぞ」

グラディス「リュートはそう言っておらぬぞ。
      昨日、オレを自由にしてくれた」

フェルゼン「何!?」

グラディス「だが、オレは逃げてはおらぬ。
      愛しい男のそばから離れる馬鹿がおるものか」

フェルゼン「……」

フェルゼンは沈黙している。呆れているのだろう。

グラディス「おい、衛兵!」

ガチャッ!

グラディス「副官を呼んでこい」

守備兵B「は?」

リュート「ああ、ワン・コアンを呼んできて」

守備兵B「はっ!」

フェルゼン「呆れたやつめ。もう我が物顔だな」

グラディス「戦いの目的は実現できたのでな」

フェルゼン「実現した?」

グラディス「陛下の改革は急すぎるのだ。
      それではいずれ叛乱が起きてしまう。
      父上が軍を率いたのは、自分の許に反乱者を集めるためだ」

フェルゼン「何だと」

グラディス「オレはその意思を継いだ。
      兵士を決して処罰せぬ者が現われるまでな」

フェルゼン「では……おまえは反対ではなかったのか?」

グラディス「時代の趨勢は騎士官僚制に向かっておる。
      ただ、早すぎるのだ。陛下はそのあたりが
      おわかりにならんようだがな」

フェルゼン「貴様、打ち首になると思わなかったのか」

グラディス「思わぬオレだと思うか?」

フェルゼン「……」

グラディス「だが、父上がやらずとも、誰かが反乱軍を率いる。
      ならば、自分が率いて制御した方がいい」

グラディス「そして、決して自分たちを処分せぬ者が現われた時に
      投降すればよい。さすれば、王の威厳は増し、
      騎士官僚制はさらに進展することになる」

フェルゼン「貴様、そこまで------」

グラディス「父上の言葉だ」

フェルゼン「すると、昨日のチェスは------」

グラディス「わざとではないぞ。オレは本気で勝つつもりだったのだ。
      相手が一枚上だったがな」

フェルゼン「……」

グラディス「負けるべき相手に負けたというわけだ」

フェルゼン「だが、覆るかもしれぬぞ。
      陛下の気まぐれで、断頭台に送られるかもしれぬ」

グラディス「それもまた人生だ」



キャラクター紹介第十弾
『シャムシェル(サキュバス)』<<シャムシェルシャハル>>
田舎の地ボーアンで騎士たちを襲っていた。
パ〇ズリが大好き。
非情に小悪魔的で、からかうような物言いをするのだが、
露骨に表には出さないが、好きになった相手のことを
常に心配し、深く思いやる一面も。
<2016/10/04 18:51 RUKA>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.