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エッチな騎士の成り上がり
- 王都淫謀編04 -

おれは外に出た。

陛下はどこでおれを待っているというのだろう。

エメラリア「こちらです」

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エメラリアに案内されたのは、
王国の中心------国王の部屋だった。

おれは入室してその豪華さに驚いた。

さすがに国王の部屋------調度品も違う。

豪華絢爛とはまさにこのことなり。

目も眩みそうな眩さだ。
王宮であてがわれた自分の部屋も相当なものだけれど、
ここの豪華さは群を抜いている。

隣国の王やかなりの高官とはここで会うのだろうから、
あまりみすぼらしいと馬鹿にされるということなのだろう。

凄いのを見せつけて、この国は凄いぞ、
と意識させようということに違いない。

エメラリア「リュート将軍をお連れしました」

部屋で待っていたのは、ハーゲル1世と宰相だった。

ハーゲル1世「おお、よく来てくれた!」

リュート「あの……大切なお話とか」

ハーゲル1世「うむ。そちのことをどうしようかと思ってな」

リュート「わたしのこと……ですか?」

ハーゲル1世「そちは英雄だ。それ相応の褒美を与えねばならぬ」

リュート「グラディスに対して処罰がなければ、それで充分です」

ハーゲル1世「ずいぶんとかばうの」

リュート「え?いや……あれだけの人材を失ってしまうのは、
     もったいないと思いまして」

ハーゲル1世「うむ。確かに、グラディスは、失うには惜しい名将だ。
       父親も凄かったが、娘も負けてはおらぬ。
       女にしておくのがもったいないくらいだ」

ハーゲル1世が感想を述べる。

おれも同じ考えだ。あれほどの逸材は、なかなかいない。
あの年齢で、フェルゼン将軍よりもオーラがあって
存在感がある人間なんて、滅多にいるものではない。

ハーゲル1世「実はな、余は、そちを元帥に任じようと思っておるのだ」

ベルンシュタイン「陛下」

ハーゲル1世「しばらく元帥職は空位であったが、そろそろ正式に
       誰かを任じてもよいのではないかと思ってな。
       少しの間、宰相に兼任してもらっておったのだ」

ベルンシュタイン「わたしは一向に兼任でかまいません」

ハーゲル1世「そちは宰相に専念せよ」

ベルンシュタイン「しかし」

ハーゲル1世「そちの言いたいことはわかっておる。
       若すぎるというのだろう?しかし、この者は奇跡を
       起こした男だ。他の将軍と同列に扱うのは失礼だ」

ベルンシュタイン「わたくしは反対です。それで他の者が納得しますか」

ハーゲル1世「フェルゼンとザントにも聞いたが、
       よいということであった。あの2人がよいのならば、
       よいのではないのか」

ベルンシュタイン「しかし、この若さで元帥とは……」

ハーゲル1世「奇跡を起こした者が元帥に就任したとあらば、
       国民も気が落ち着くであろう。
       騎士学校の者も、勉強に精が出よう」

ハーゲル1世「いかに騎士学校出の人材が優秀かを
       知らしめることもできる。
       それは余の推し進める騎士官僚制の発展にもつながる」

ベルンシュタイン「しかし、リュート将軍はあくまでも軍の専門家。
         枢密院に加えて政(まつりごと)に参加させるなど------」

ハーゲル1世「リュート・ヘンデは盲目の徒ではない。
       己の誇りや感情に左右されず、
       長い目線でものごとを考えておる」

ベルンシュタイン「それは陛下の買いかぶり------」

ハーゲル1世「そちも、さきほどの答弁を覚えておろう。
       グラディスを処罰すれば、確かにグラディスに加担した者が
       結束する可能性がある」

ベルンシュタイン「しかし、逆に増長させる可能性も------」

ハーゲル1世「余はすでに決めたのだ。
       リュート・ヘンデには元帥に就任してもらう。
       すぐ勅書を発行せよ」

ベルンシュタイン「は、はっ」

苦々しい顔で宰相ベルンシュタインが出ていくと、
おれは国王と二人きりになった。

すでにおれの父親はいないが、
なんだか父親といっしょにいるような気がしてくる。

少しむず痒いような、落ち着かないような、そんな気分だ。

ハーゲル1世「余の部屋に入れるのは、枢密院に加わっておる者だけだ」

唐突にハーゲル1世は切り出した。

ハーゲル1世「余はそちを心の底から信頼しておる。これからも頼んだぞ」

リュート「ありがたきお言葉、
     命に代えても陛下に仕えさせていただきます」

ハーゲル1世「うむ。それから、
       そちには専属の護衛の者をつけることにした。
       元帥ともなれば、護衛が必要だ」

リュート「ありがとうございます」

ハーゲル1世「余と国のために、これからも頼むぞ」

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部屋に戻ってきたのは、もう夜中になってのことだった。

おれは結構へろへろだった。

やはり200人以上の人間と握手するというのは、
相当疲れることらしい。

エメラリア「今日は本当にお疲れ様でした」

リュート「こちらこそ、ありがとう」

エメラリア「明日は昼食会、夜からは会食が用意されております」

リュート「うへえ……まだあるんだ」

エメラリア「元帥になられたのですから、
      要職の方と会われるのは当然です」

リュート「ははは……」

なかなか耳が早い。

エメラリア「では、ゆっくりお休みを。何かありましたら、護衛の者に」

リュート「護衛?」

エメラリア「閣下がお呼びです。入りなさい」

ガチャッ!

入ってきた人間を見て、おれは戦いた。

護衛として現われたのは、
王都までいっしょに旅をしてきたアイシスだったのだ。

同期のアイシスが!?

あの高飛車な、おれを馬鹿にしていた女騎士が!?

思わず動転してしまう。

アイシス「アイシスでございます。以後、お見知り置きを」

リュート「お見知り置きって……」

エメラリア「これからこの者が護衛に当たりますので、
      何かあればお申しつけください」

リュート「お、お申しつけって、アイシスじゃないか」

エメラリア「気に入りませぬか」

リュート「いや、そういうことじゃなくて------」

おれはアイシスに歩み寄った。

リュート「おれの警護なんかして、いいの?」

アイシス「わたしにご不満でも?」

リュート「いや、不満はないけど……おれの任務なんかしていいの?」

アイシス「わたしは光栄に思っております」

リュート「こ、光栄って……」

エメラリア「問題がなければ、わたくしは失礼いたしますが」

リュート「いや、別に問題はないけど……アイシス本当にいいの?」

エメラリア「リュート閣下。閣下の護衛を
      イヤイヤ引き受けるような者は、王宮にはおりませぬ」

リュート「そ、そう……」

エメラリア「では、おやすみなさいませ」

後には、おれとアイシスが残った。

……といっても、窓のそばでは、
シャムシェルがふわふわと浮いている。
おれが顔を向けると、ニヤニヤと笑ってVサインを出した。

なんだか、微妙な雰囲気というか、空気である。

騎士学校時代のアイシスとおれは、決して仲がいいと
言えるものではなかった。おれはアイシスに一方的な好意を
懐いていたが、アイシスはおれを毛嫌いしていた。

何度食事に誘って、何度断られたかわからない。

最下位の成績の男とはいっしょに時間を
費やしたくなかったのだろう。騎士学校の卒業式でも、
アイシスからは手痛い言葉をもらっている。

リュート「宰相の命令だろ」

アイシス「え?」

リュート「なんか、貧乏籤引かせちゃってごめんね。
     おれの護衛なんて------」

アイシス「勘違いしないで」

リュート「え?」

アイシス「わたし、自分から志願したのよ」

リュート「ええっ!?」

アイシス「陛下からお達しがあったの。
     新しい元帥閣下の護衛につきたい者は、進み出よと」

リュート「進み出たの……?」

アイシス「ええ」

リュート「1人だけだったでしょ」

アイシス「5人いたわ。副隊長も入っていた」

リュート「い!?」

アイシス「あなた、自分を低く見積もりすぎよ。
     あなたは英雄なのよ?」

リュート「そんな自覚ないけど」

アイシス「あなたは軍の頂点に昇りつめたのよ?
     枢密院の一員として、国政にも口出しする人間に
     なったのよ?」

リュート「……ごめん」

アイシス「ごめんなさい……あなたに説教なんかして……」

リュート「いや、説教されるの好きだから」

アイシス「そ、そう……」

リュート「……」

アイシス「……」

リュート「なんか、びっくりしちゃってさ。
     騎士学校を卒業した時、おれといっしょに
     仕事したくないみたいな雰囲気だったから」

アイシス「ご、ごめんなさい!」

アイシスは突然頭を下げた。

アイシス「凄く恥ずかしいことをしたと思っているの。
     あなたにあんなことを言ってしまうなんて……
     どうかしていたんだわ」

リュート「え?」

アイシス「本当にごめんなさい。今まで失礼なことばかり言って……」

リュート「別に、おれ怒ってないよ」

アイシス「許してくれるの?」

リュート「許すも何も、おれ、怒ってないから」

アイシス「ありがとう……!」

リュート「いや……礼なんかいいって。
     アイシスが護衛してくれるんなら、
     おれも気楽にいられるし……あ、素っ裸にはなれないけど」

アイシス「ば、馬鹿……」

リュート「はは……」

アイシス「ごめんなさい、また馬鹿なんか言っちゃって」

リュート「いいの、いいの、慣れてるから。
     護衛って、いつもいっしょにいるの?」

アイシス「夜は、すぐ隣の部屋にいるけど」

リュート「じゃあ、今夜、ベッドであたためてくれない?」

アイシス「ご命令と……あらば……」

リュート「え?」

アイシス「……」

意外な返事におれはとまどった。

冗談で言ったから、冗談で返してほしかったのに……
まさか、真面目に返事が返ってくるとは……。

リュート「あ……じゃあ、今度ね」

アイシス「え、ええ……」

リュート「今日はご苦労さま。明日からお願いね」

アイシス「はいっ。精一杯、任務に就かせていただきます」

リュート「あ、うん」

アイシス「失礼します」

アイシスは踵を返して退出した。

なんだか、凄い変身っぷりだった。

ただ元帥になっただけなのに------
世界がまるで変わってしまったみたいだ。

いったいどういう心境の変化だろう。

まさか、おれに惚れた?

……いや、まさかな。

そんなに簡単に女が変わるはずがない。
アイシスはモテールと婚約しているのだ。

おれはベッドに潜り込んだ。

すぐさまシャムシェルがすべり込んできた。

シャムシェル「いい感じの雰囲気だったじゃん」

リュート「アイシス?なんだろうね」

シャムシェル「にぶちん」

リュート「……」

シャムシェル「ま、でも、リュートがもてるのはいいことだもんね。
       わたしも鼻が高い」

リュート「はは……」

シャムシェル「今日は疲れたでしょ」

リュート「うん……結構疲れた」

シャムシェル「子守歌、歌ってあげよっか?」

シャムシェルが乳房を押しつけてくれる。

リュート「それ、胸の間で鳴る歌だろ」

シャムシェル「くす。いつもパ〇ズリするわけじゃないんだから」

リュート「ははは」

シャムシェル「今日はリュート疲れてるから、パ〇ズリしないであげるね」

リュート「いいぞ、しても」

シャムシェル「ううん。リュートの身体の方が大事だから」

優しい言葉だ……。

とても悪魔とは思えない。
本当に、人間だったら絶対結婚してるよな、と思ったりする。

シャムシェル「♪♪♪♪♪」

やがて、シャムシェルが耳元で優しい声色で歌い始めた。

この歌をどこかで聞いたことがあるぞ……
そうだ、母さんの歌だ……なんて思っているうちに、
おれはいつしか眠ってしまっていた。

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リュート・ヘンデが自室で眠りに落ちた頃、
宰相の部屋に1組の男女が集まっていた。

宰相ルビーン・フォン・ベルンシュタインと
エメラリアである。

ベルンシュタイン「フェルゼンめ、邪魔をしおって。もう少しであったのに」

エメラリア「毒薬も効かぬとは、運の強い男でございます」

ベルンシュタイン「陛下も陛下だ。元帥など……狂人としか思えぬ」

ベルンシュタイン「あのような若造を……枢密院に加えるなど、
         ご寵愛にもほどがある。偶然だけでのしあがった者を
         軍のトップに据えるなど、正気の沙汰ではない」

エメラリア「……」

ベルンシュタイン「よもや、陛下はわたしの力を削ごうというのでは
         あるまいな。わたしから元帥の座を奪い取り、
         ゆくゆくは……」

エメラリア「……」

ベルンシュタイン「許さぬ。それは許さぬぞ。なんとしても、
         やつを食い止めねばならぬ。やつに積極的に
         政(まつりごと)に参加させてはならぬ」

ベルンシュタイン「この国の宰相はわたしだ。
         国家の元首はわたしの手で踊っていればよいのだ。
         手からはみ出すことは許さぬ」

エメラリア「……」

ベルンシュタイン「しかし、やつは陛下のお気に入り。
         左遷は元より無理。
         政(まつりごと)から遠ざけるには……」

<2016/10/30 17:17 RUKA>消しゴム
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