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エッチな騎士の成り上がり
- 王都淫謀編07 -

エメラリア「リュート閣下をお連れしました」

ハーゲル1世「うむ。下がってよい」

エメラリアは黙礼して、アイシスとともに部屋を出ていった。

ハーゲル1世「元帥1日目は大変であったろう」

リュート「お腹を空かしておかないと、
     務まらない仕事だというのがよくわかりました」

ハーゲル1世「はっはっはっ!そうか!はっはっはっ!」

国王が盛大に笑う。

宰相は沈黙したままだ。どうも、この人は苦手だ。
おれのことをよく思っていないな、
というのがわかってしまう。

ハーゲル1世「プラティーヌはどうであった」

リュート「商売上手な方ですね」

ハーゲル1世「確かに。あの者は商才を持っておる。
       まあ、仲良くしておいても損はない」

ベルンシュタイン「陛下」

ハーゲル1世「わかっておる。グラディスのことだな」

ハーゲル1世は本題に入った。今日呼ばれたのは、
グラディスへの処分を最終的に決定するためだ。

ベルンシュタイン「わたくしは絶対反対でございます。
         陛下の威厳を示すためにも、公開処刑を行なうべきです」

最初に宰相ベルンシュタインが切り込んできた。

どうあっても、グラディスを処刑するつもりらしい。

リュート「寛大さを示すことでも、威厳は示せると思うけど」

ベルンシュタイン「甘いな。陛下が舐められては、
         それこそ第二の叛乱を誘発することになる」

リュート「処刑した方が叛乱が起きると思うけど。
     ヴンダーバルト城の連中には、処刑しないからって約束して
     装備を解いてもらったのに。蜂起する理由を与えちゃうよ」

ベルンシュタイン「真っ正直は愚か者のすることだ。方便を使えぬ者は使えぬ」

リュート「それ、おれへの批判?」

ベルンシュタイン「ご忠告です。政治を預かる者として」

リュート「グラディスの部下は、グラディスに対してもの凄い
     忠誠心があるんだよ。処刑したら、間違いなく蜂起するね」

ベルンシュタイン「処刑あるのみです、陛下」

宰相は陛下に迫った。

ベルンシュタイン「ここで舐められてはなりませぬ。即刻、処刑のご命令を」

ハーゲル1世「……」

ベルンシュタイン「陛下!」

ハーゲル1世「余は、リュートに一任すると約束したのだ」

ベルンシュタイン「間違った命令なら、撤去すべきです」

ハーゲル1世「余は間違っておると思ってはおらぬ」

ベルンシュタイン「しかし、陛下!」

ハーゲル1世「確かにグラディスは部下に慕われておる。
       リュートの申す通り、処刑すれば叛乱を起こすだろう」

ベルンシュタイン「しかし、グラディスを生かしておけば、
         また叛乱を起こすやもしれませぬ。
         今度は陛下が首根っこに噛みつかれますぞ」

ハーゲル1世「どうかな。
       グラディスはリュートに惚れておるというではないか」

リュート「い?」

おれはぎょっとした。

そ、そんな話……いったい、誰から聞いたのだろうか……?

ハーゲル1世「さきほどグラディスに会ってきたが、元気にしておった。
       おまえのことを心配しておったぞ」

リュート「そ、そうですか」

ハーゲル1世「おれの男はどうした、などと聞いておったが、何をした?」

リュート「いえ……何も……」

思わず、しどろもどろになる。

ハーゲル1世「フフン……まさか、
       あの男女を真剣に惚れさせたか?」

ベルンシュタイン「演技かもしれませぬ」

ハーゲル1世「恋について演技できるような女ではない。
       そのことは、おまえも知っておろう」

ベルンシュタイン「女は変わるものですから」

ハーゲル1世「とにかく、余は決めたのだ。
       グラディスの処分はリュートに任せる」

ベルンシュタイン「……」

ハーゲル1世「してリュートよ。そちはグラディスをどうするつもりだ?」

リュート「ヴンダーバルト城に戻します」

ハーゲル1世「叛乱の罪は問わぬということだな」

リュート「いえ。付近の農作業を手伝わせます。
     自分たちで破壊した農地は、自分たちで直すべしです」

ハーゲル1世「それだけか?」

リュート「はい。部下の者も処罰はしません」

ハーゲル1世「して、長官はどうする。
       グラディスはそこに反抗しておったが」

リュート「しばらくの間、グラディス代理をさせます」

ベルンシュタイン「そのままの地位にとどまらせるというのか!
         寛大にもほどがあるぞ!」

リュート「グラディスは改革が急激であることを
     訴えたかっただけです」

リュート「それに、グラディスを長官代理に据えれば、
     貴族連中に決して彼らを排除したいわけではないという
     意図を伝えることができます」

ベルンシュタイン「図に乗るだけだ」

リュート「でも、インラントを治めさせるのは、
     グラディスが一番の適任だと思うけど」

ベルンシュタイン「陛下が押し進めようとされている騎士官僚制に
         背くというのか!?」

リュート「え?そうなの?」

ベルンシュタイン「騎士をインラントの長官に任命せぬということは、
         そういうことであろう。飛んだ回し者だな」

リュート「そうかな。単純に適任だから言ってるだけだけど」

リュート「基本的には騎士を長官に据えるのでいいと思うけど、
     もし一番の適任が貴族だとするなら、
     わざわざその者を排除しなくてもいいんじゃないかな」

ベルンシュタイン「あくまでも陛下の考えに背くということだな」

リュート「陛下の意思を実現するには、
     柔軟な対応の方がうまくいくと思うんだけど」

ベルンシュタイン「陛下。この者は陛下の騎士官僚制に反対しております。
         とても重要な判断を任せられる者ではございません」

宰相が陛下の方を向いて言う。おれもすかさず反論する。

リュート「インラントの連中って、今、みんな不安になってると
     思うんだよね。そんな時にいたずらにグラディスを
     排除するのは、刺激を与えるだけだと思うんだ」

ベルンシュタイン「この者は、きっとグラディスと何か
         裏取引をしたに違いありません。陛下、ご再考を」

ハーゲル1世「……」

ベルンシュタイン「陛下!」

ハーゲル1世「余はリュートに任せたのだ。
       リュートがグラディスを戻すというのなら、
       それを認めるまでだ」

ベルンシュタイン「陛下!!」

ハーゲル1世「余はもう答えを出したのだ。2人とも退席せよ」

ベルンシュタイン「しかし、陛下!」

ハーゲル1世「ベルンシュタインよ。今日のそちはどうかしておるぞ。
       リュートは充分に現状を踏まえた上で余に進言して
       おるのだ。非常に理性的な判断だと思わぬか?」

ベルンシュタイン「……」

ハーゲル1世「2人とも下がれ」

リュート「失礼します、陛下」

久々に地方の名前が出て地図を忘れていそうな頃なので
簡単な地図をまた載せました。
以前、ワインの話で出た『フロンス』は一番左にある
黄緑色の場所です。
見切れているので実際はもっと大きいです。
<2016/11/05 19:56 RUKA>消しゴム
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