現在、時は機械魔法世紀0060
現在より100年前科学者Dは宇宙から落ちてきた光る石を見かけた。
その輝きこそが魔動力となる原石であった。
科学者Dは原石を持ち帰り、魔動力の抽出に成功し、抽出した魔動力を機械で加工し、機械の力で魔法が使えるようになり、原石の発見から40年後、魔動力革命により、人々は日常生活から戦争まで魔動力の恩恵を受け、不自由なく暮らしができるようになる。これが機械魔法世紀の始まりである。
しかし、便利になった反面、危険性も発見された。魔動力が導入された影響で、とある軍隊の軍事研究施設の者が野生の獣にも魔動力を使用し軍事力にしようとした結果、獣は暴走し人々を襲った。
魔動力で強化された獣は生身の人間ではとても太刀打ちできるものではなく、魔獣と呼ばれた。
その魔獣は各地で繁殖し、人々の脅威となった。
その脅威に対抗するため、各国から若い人材を集め、魔獣討伐のプロに育てる機関「魔獣討伐科」が設立された。
この物語は魔獣討伐士を目指す1人の少年を描いた物語である。
*
時は機械魔法世紀0060 3月初旬。
偉大なる科学者Dによって機械で魔法が使用可能になった激動の時代。
世間からは魔動力革命と呼称されている時代の絶頂期である。
そんな激動の時代も年度が変わろうとしていた。
雪が吹雪く2月が終わり、気候が少しずつ暖かくなって来ている3月の始め。
他の国々と比べるとアルバ王国は北に位置し比較的寒冷地になるため3月の初めと言えども雪がまだ完全に溶けきっておらず、道路の脇にはまだ綺麗な雪が残っていた。
どこの世界でも同じ事が言えると思うが、今の時期は年度末に向けての整理や年度始めの準備などで大変多忙な季節である。
そんな季節にアルバ王国サクラ市のとある山間部の人の気が無さそうな広場で男性二人は早朝から木剣を手にしていた。おそらく、剣の修行だろう。
「今日は晴れだな…」
男性の1人は中肉中背の短い黒髪の中年。
タンクトップにジーパンとラフな服装をしている。
とても、剣の修行をしに来た身なりではない。しかし、タバコを咥え気怠そうにしながらも、長年修行を積み、キャリアを重ねてきたであろう彼からは赤色のオーラが滲み出ていた。
もう1人は身長がやや低い細身の少年。
栗色の長い髪が風で靡いていた。
動きやすそうな白のジャージを着用している事からこの服装は道着とでも言うべきか。
彼も向かい合ってる中年同様に気怠そうな寝起きの表情をしている。
「親父ぃ…早く始めようぜぇ…眠いあぅあおあぁぁあふぅぃ…」
細身の少年は、盛大にあくびをし口を大きく開けていた。対する短髪の中年はタバコを盛大に吹かし、首を左右に大きく傾けていた。
「レンツ。今日の修行で俺から一本取れたら、明日から魔獣退治の手伝いはやらなくて良いぞ」
短髪の中年はやる気無さげな細身の少年レンツにやる気を出させるためなのか、提案した。
すると、レンツの身体から青白いオーラが滲み出始め、目は途端に鋭く座り始めた。
「……本当だな?」
「ああ。ただし、お前が負けたらサクラ学院魔獣討伐科に入学してもらう。それが条件だ」
短髪の中年は眉をキツく締め、レンツに木剣の剣先を向けた。
「え…なんだそれ」
「じゃ、始めるぞ」
短髪の中年は咥えていたタバコを指で弾いた。
二人は落ちていくタバコをスローモーションで視認し地面にタバコが落下したのが合図となり、二人とも目を大きく見開き、木剣の叩き合いが始まった。
レンツは疾走する。横に映る景色が狂気のスピードで流れていく。目標である父親に向かって。
それに対し父親である短髪の中年は木剣を肩叩き代わりに肩を叩いていた。
「あー肩凝り過ぎて、肩上げるのもダリぃ。」
それを見たレンツはチャンスだと思い、地面を強く蹴り、短髪の中年の視界から姿を消す。
「おー消えた消えた」
短髪の中年は鼻で笑っていた。
レンツは地面を蹴った後、強い跳躍により地上より約50m程空を走り中年の視界から姿を消した。そして、中年の死角から剣を振り下ろす。
「よし!行ける!」
剣を振り下ろし、中年の頭部に直撃する。
直撃したハズなのに打撃の感触がまるでない。剣を振り下ろした反動で、着地には成功したものの、やや平衡感覚を保てず足腰がぐらついた。
「しまっ……!」
レンツが思い切り振り下ろした相手は中年。
ではなく、中年の残像だったのだ。
レンツが思い切り振り下ろし、木剣が頭の淵に当たりそうになる瞬間までは確かにそこに居たのだ。
そして、レンツが立ち直ろうとする一瞬の隙を突こうと気怠そうに木剣で肩を叩いていた中年の重厚な一撃が来た。
「ホイ」
「……くぅッ…!」
たったの一薙ぎ。レンツは立ち直ろうとする隙を突かれたが何とか木剣で受け止めた。
受け止めた反動で約50m程、足で地面を引っ掻いた。そしてレンツの視界には突き技を繰り出そうとする父親の姿が目の前に映った。
レンツは突きを剣で受けず、首を横に振って突きを回避した。突き技を放った中年は、次の動作に移ろうとほんの僅かに隙ができた。今が、反撃のチャンスだとレンツは確信。
中年の喉元を狙い真っ直ぐに突きを繰り出そうと剣を力いっぱい握った腕を伸ばそうとした時……中年は薄ら笑みを浮かべていた。
首筋に固い木の棒が当たった。何が起こったかすぐ理解した。
「あ……」
レンツは、突き技を首を振って回避した後に中年は突いた腕を手元に戻さずにそのまま剣を横に流した。隙ができたのではなく、あれは二撃目の布石だった。
「嘘だろ…」
レンツの絶望が深いため息となって口から漏れた。
「さて、帰るぞ。朝飯だ」
父親である短髪の中年は絶望するレンツの姿を見て若干にやけながらタバコを吸っていた。
「悪魔か…」
レンツに取って意地悪な表情でタバコを吹かす中年の姿は悪魔そのものであった。
現在より100年前科学者Dは宇宙から落ちてきた光る石を見かけた。
その輝きこそが魔動力となる原石であった。
科学者Dは原石を持ち帰り、魔動力の抽出に成功し、抽出した魔動力を機械で加工し、機械の力で魔法が使えるようになり、原石の発見から40年後、魔動力革命により、人々は日常生活から戦争まで魔動力の恩恵を受け、不自由なく暮らしができるようになる。これが機械魔法世紀の始まりである。
しかし、便利になった反面、危険性も発見された。魔動力が導入された影響で、とある軍隊の軍事研究施設の者が野生の獣にも魔動力を使用し軍事力にしようとした結果、獣は暴走し人々を襲った。
魔動力で強化された獣は生身の人間ではとても太刀打ちできるものではなく、魔獣と呼ばれた。
その魔獣は各地で繁殖し、人々の脅威となった。
その脅威に対抗するため、各国から若い人材を集め、魔獣討伐のプロに育てる機関「魔獣討伐科」が設立された。
この物語は魔獣討伐士を目指す1人の少年を描いた物語である。
*
時は機械魔法世紀0060 3月初旬。
偉大なる科学者Dによって機械で魔法が使用可能になった激動の時代。
世間からは魔動力革命と呼称されている時代の絶頂期である。
そんな激動の時代も年度が変わろうとしていた。
雪が吹雪く2月が終わり、気候が少しずつ暖かくなって来ている3月の始め。
他の国々と比べるとアルバ王国は北に位置し比較的寒冷地になるため3月の初めと言えども雪がまだ完全に溶けきっておらず、道路の脇にはまだ綺麗な雪が残っていた。
どこの世界でも同じ事が言えると思うが、今の時期は年度末に向けての整理や年度始めの準備などで大変多忙な季節である。
そんな季節にアルバ王国サクラ市のとある山間部の人の気が無さそうな広場で男性二人は早朝から木剣を手にしていた。おそらく、剣の修行だろう。
「今日は晴れだな…」
男性の1人は中肉中背の短い黒髪の中年。
タンクトップにジーパンとラフな服装をしている。
とても、剣の修行をしに来た身なりではない。しかし、タバコを咥え気怠そうにしながらも、長年修行を積み、キャリアを重ねてきたであろう彼からは赤色のオーラが滲み出ていた。
もう1人は身長がやや低い細身の少年。
栗色の長い髪が風で靡いていた。
動きやすそうな白のジャージを着用している事からこの服装は道着とでも言うべきか。
彼も向かい合ってる中年同様に気怠そうな寝起きの表情をしている。
「親父ぃ…早く始めようぜぇ…眠いあぅあおあぁぁあふぅぃ…」
細身の少年は、盛大にあくびをし口を大きく開けていた。対する短髪の中年はタバコを盛大に吹かし、首を左右に大きく傾けていた。
「レンツ。今日の修行で俺から一本取れたら、明日から魔獣退治の手伝いはやらなくて良いぞ」
短髪の中年はやる気無さげな細身の少年レンツにやる気を出させるためなのか、提案した。
すると、レンツの身体から青白いオーラが滲み出始め、目は途端に鋭く座り始めた。
「……本当だな?」
「ああ。ただし、お前が負けたらサクラ学院魔獣討伐科に入学してもらう。それが条件だ」
短髪の中年は眉をキツく締め、レンツに木剣の剣先を向けた。
「え…なんだそれ」
「じゃ、始めるぞ」
短髪の中年は咥えていたタバコを指で弾いた。
二人は落ちていくタバコをスローモーションで視認し地面にタバコが落下したのが合図となり、二人とも目を大きく見開き、木剣の叩き合いが始まった。
レンツは疾走する。横に映る景色が狂気のスピードで流れていく。目標である父親に向かって。
それに対し父親である短髪の中年は木剣を肩叩き代わりに肩を叩いていた。
「あー肩凝り過ぎて、肩上げるのもダリぃ。」
それを見たレンツはチャンスだと思い、地面を強く蹴り、短髪の中年の視界から姿を消す。
「おー消えた消えた」
短髪の中年は鼻で笑っていた。
レンツは地面を蹴った後、強い跳躍により地上より約50m程空を走り中年の視界から姿を消した。そして、中年の死角から剣を振り下ろす。
「よし!行ける!」
剣を振り下ろし、中年の頭部に直撃する。
直撃したハズなのに打撃の感触がまるでない。剣を振り下ろした反動で、着地には成功したものの、やや平衡感覚を保てず足腰がぐらついた。
「しまっ……!」
レンツが思い切り振り下ろした相手は中年。
ではなく、中年の残像だったのだ。
レンツが思い切り振り下ろし、木剣が頭の淵に当たりそうになる瞬間までは確かにそこに居たのだ。
そして、レンツが立ち直ろうとする一瞬の隙を突こうと気怠そうに木剣で肩を叩いていた中年の重厚な一撃が来た。
「ホイ」
「……くぅッ…!」
たったの一薙ぎ。レンツは立ち直ろうとする隙を突かれたが何とか木剣で受け止めた。
受け止めた反動で約50m程、足で地面を引っ掻いた。そしてレンツの視界には突き技を繰り出そうとする父親の姿が目の前に映った。
レンツは突きを剣で受けず、首を横に振って突きを回避した。突き技を放った中年は、次の動作に移ろうとほんの僅かに隙ができた。今が、反撃のチャンスだとレンツは確信。
中年の喉元を狙い真っ直ぐに突きを繰り出そうと剣を力いっぱい握った腕を伸ばそうとした時……中年は薄ら笑みを浮かべていた。
首筋に固い木の棒が当たった。何が起こったかすぐ理解した。
「あ……」
レンツは、突き技を首を振って回避した後に中年は突いた腕を手元に戻さずにそのまま剣を横に流した。隙ができたのではなく、あれは二撃目の布石だった。
「嘘だろ…」
レンツの絶望が深いため息となって口から漏れた。
「さて、帰るぞ。朝飯だ」
父親である短髪の中年は絶望するレンツの姿を見て若干にやけながらタバコを吸っていた。
「悪魔か…」
レンツに取って意地悪な表情でタバコを吹かす中年の姿は悪魔そのものであった。
