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ブラックコーヒーと十字架
- 神林 烈 -

黒い車のなかに男と女がいた。
女は黒いコートを着た十字架のピアスをして、十字架を首からかけている。
男は灰色寄りの黒いスーツで決めている。

「先生。目的地には一通り目を通しておいでですか?」

男の方が明らかに年上の外見の筈なのに、何故か、女のことを《先生》と呼んでいる。

「もっちろん。予定的に今日、あなたとは別れることになるから。分かってるね。」

「勿論でございます。」

そして何やら手から黒い何かを取り出しながら、

「いままでありがとうございました。」

と言いながらハンドガンM1911A1の銃口を女に向けた。

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「一体どこにいくんだろうか…。」

俺は皐月原 仲也。
今日は暇だから、しろちゃんこと零城白乃のカフェ、《Das kreuz》に訪れたのだが。
上から噂を聞いたことはあったのだが異端者が降りてきたのだ。
何の疑いもなくしろちゃんはその"異端者"を外に連れ出し、"本業"を始めた。
きっと、しろちゃんの本業はかなり物騒なものなのだろう。
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烈は白乃に銃口を向けながら、感謝の言葉をつぶやいた。

「いままでありがとうございました。」

その刹那、白乃は銃口の先に人差し指をあてて、

「君達、"異端者"のビジネスはよーくよーく分かった。」

「白乃先生、抵抗は止めていただいたほうが身のためですよ?」

ほう。抵抗してはいけないのか。
ならば、"自分で勝手に"死んでもらおうか。

白乃は目を見開き、十字架を片手で握った。

「あんたも、このまま車をでたほうが、"身のため"だよ?」

その直後、車が爆発した。
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「ん?爆発音?」

仲也は驚き疑いつつ、自分の目の前で起きている光景に眉を潜めた。

なんだ?ロケットランチャーでも降ってきたのか?
だが当然そんな筈もなく、近隣住民は誰一人として出てこないし、集まらなかった。

-仮想空間ってことか-

仲也は天性的か、仮想空間を見ることができる人種で、"二界種"と呼ばれていた。

だから、いま誰もこの光景を見ていないと言うことになる。
しろちゃんがこの車に乗っていたとしたのならば、恐らく今の爆発は、しろちゃんのものだろう。
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「バァーイ♪」

微笑みながら上空から車を見上げる白乃と、声ひとつあげずに燃え盛る炎のなかを、異端者と呼ばれる男、烈は歩いていた。
なんら痛みすら感じないというように。

「流石は"14人の忌血"だ。」

ハハハ、と笑いながら男は言う。 

「いっとくけど、まぁだまだ痛い目にあってもらうからねー。」

「もとより痛みなど感じてはいない。」

「ふーん。」

まあ機械だし、しょうがないか。

「そっかーそうだよね。君、お人形さんだったよねー。」

そして、白乃は目付きを変えて、明らかな殺意をむきだしにした。  

「人形を殺したって楽しくなんかないし、お金も入んないけど、」

独り言のように、愚痴を溢しながら、烈の腹部に蹴りを入れ、

「めんどくさいからしんじゃえ。」

手から赤い光とともに大きな十字架を出現させて、蹴り飛ばしまだ宙を舞っている烈の身体に向かって投げつける。
見た目が麗しい女が十字架を投げると言うとかなりいイメージが崩れそうだが、彼女は"投げた"と言うよりも"押した"といったほうが伝わるのだろうか。
十字架は烈の身体に直接ぶつかり、飛び散る血を吸いながら壁に突き刺さった。
勿論、仮想空間での話なので、セカイ自体に影響は全くない。

「あーあ。見られちゃったかー、私のお仕事。」

「いや、薄々暴力沙汰だとは思ってましたよー?」

ばれていたのか。覗き見。

「もうこれは企業秘密というか。なに?黙秘権、っていうの?よくわかんないけど、黙っててねー。」

全く怖い人だ。色々。

白乃さんの本業はこれから明らかになりますよ…
<2016/05/30 16:46 壁砕ですとらくしょん>消しゴム
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