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次男と四男のお手々事情
- 肉まんを -

カラ松と付き合い始めた。
キッカケは……まぁ、どれとも言えない。だけど、俺がカラ松の服を着てみたあの事件は大きかったと言える。
前々からカラ松は優しい奴だと思っていたが、あそこまで優しいとは。全然似てなかったけど。勘弁してくれ……とも思った。だけどあいつの優しさは感じた。
付き合い始めたと言っても、お互いの散歩について行くようになったくらいのものだ。おそ松兄さんからは『最近カラ松に優しくなったな。一松は闇卒業したの』とからかわれたが。
「一松、どうした?」
「あ、いや。なんでもない」
今は一緒に散歩(猫に餌やり)をしている。
カラ松の言動にイライラしていたこともあったけど、今思ってみると、別にイライラするようなことでもなかった。喋り方はウザいけど、心配してくれているのが分かる。段々と、好ましく思うようになってた。
「肉まん買ってくか。一松はどうする」
コンビニを見つけたカラ松は嬉しそうに俺を見る。さっきからずっとニコニコしている。そんなに俺と散歩するのが楽しいのかよ。なんか、こう、イライラ……じゃないけど、居心地が悪いって言うか。
「……買う」
じゃあ行こう。とカラ松が俺の手を引く。早足で行くカラ松に俺の足は追いつけない。思わずバランスを崩しそうになり、カラ松の腕を引っ張ってしまった。それでも相手は何ともない様子で歩いて行くので、これが普段の運動量の差か……と悲しくなる。
さり気なく手を繋ぐなよ。そう思いながらカラ松を見ると、奴の耳は真っ赤になっていた。もしかしてこれが精一杯のアピールなのか。少し積極的になってみたってやつなのか。そう言えば今までろくに手を繋いだこともなかった。
「はぁぁ」
なんとも言えない思いでうっかり口からため息がでる。カラ松はピタリと足を止め、勢いよく振り返った。
「嫌だったか……?」
違うし。と、思わず怒鳴りそうになった。でもここは頑張ってくれたカラ松に歩み寄ってやるか。緊張しつつ、小さく息を吸う。
「手、嬉しい」
カラ松は動きを完全に止めて、呆然とした顔をした。そんなに驚くようなことかよ。こんなに驚かれるとムカつく。そんなむくれた俺を見て、慌てたようにカラ松は言う。
「ごめん。いや、お前があまりにも可愛くて……」
「っ……!!」
恥っずい!なんだこれ!なにこれ恥ずかしい!なんだよこいつ!せめていつもみたいに中二病な痛いこと言えばまだマシだったのに!
カラ松はさっきよりも真っ赤になっていて、使い物になりそうにない。バカ丸出しだ。
「ほら、寒いから早く行こう。あと、俺はやっぱりあんまん」
「お、おう」
そうして今度は俺が手を引く。
あー、恥ずかしい!




一松と一緒に黙々と歩く。猫に餌をやった帰りだ。一松は、ちょっとゆっくり歩くので、可愛い。
実は暫く前から、俺、カラ松と一松は付き合っている。ふふっ、なんだか恥ずかしいな。二人を引き合わせた原因についてはまた今度だ。
幸せの絶頂に居る俺だが、悩みがある。手を繋ぎたい。付き合い始めてから手を繋いだ回数は片手の指より少ない。外で手を繋ぐなんて以ての外だ。手を繋いだことがない。そう、キスもまだだ。意外と知られていないが一松はshyだから、慎重にことを進めたい。嫌われたくないからなぁ。
一松が歩くのが更に遅くなった。
「一松、どうした?」
「あ、いや。なんでもない」
一松の頬は寒さからか紅く染まっている。肌が白くて綺麗だから、紅がよく映える。
そこでカラ松はコンビニを見つけた。寒いから肉まんなんていいな。肉まんを頬張る一松。うん、キュートだ。肉まんを買うか……そう考え、一松に声をかけた。
「肉まん買ってくか。一松はどうする」
「……買う」
よし、じゃあ行くか。と、考えたところで、一松の手を引っ張った。
「じゃあ行こう」
やっ、やっと手を繋げた!
一松は歩くのが遅いから。だから。
心の中で言い訳をする。一松の手はとても温かい。幸せな気持ちになる。
緊張しすぎて手汗が出てないか気になるところだな。
そのとき。
「はぁぁ」
一松の口から盛大なため息がでた。
手を繋ぐのは嫌だったのか。いきなりだったもんな。あぁ、でもこの手を離したくはない……!ことの真偽を確かめるべく、俺は立ち止まり、振り返った。
「嫌だったか……?」
恐る恐る聞くことしかできない。一松はなんだか渋い顔をしている。やっぱり嫌だったんだな。と、思ったのだが。
「手、嬉しい」
その瞬間、ふわっ、とピンクのワックスフラワーが舞った。ように思えた。俺の手は小さく握り返され、真っ赤になった一松の頬が嘘ではないと告げている。あぁ!もう何も考えられない!ただひたすらに、その顔を見つめることしかできない!可愛いことを言われてしまい、俺の思考は完全にフリーズした。
しかし俺が思考を止めてから、一松は段々とむくれていく。俺はやっとのことで、それに気がつく。
「ごめん。いや、お前があまりにも可愛くて……」
「っ……!!」
つい本音がでた。普段の一松は可愛いと言うと何故か拗ねるのだが、今は顔が更に赤くなった。どこまで赤くなるんだ。湯気でも出そうだ。そんな一松を見ていたら、余計恥ずかしくなる……うぅ。可愛いしか言ってないぞ。語彙力、語彙力。
俺が顔から湯気を出しているあいだに、一松は立ち直り、俺の手を引く。
「ほら、寒いから早く行こう。あと、俺はやっぱりあんまん」
「お、おう」
そうして今度は一松が俺の手を引く。
なんていじらしくて、愛らしいんだ!

読了ありがとうございます
<2016/07/17 22:42 白場>消しゴム
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