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次男と四男のお手々事情
- 汗ばむ 2 -

「手、離せよ。そろそろあいつら起きてくる」
「そんな事言われてもだな。お前の手が温まるまで、俺は離さないぜぇ」
「このクソ松」
一松は続けて言う。
一応俺らは犬猿の仲って設定なんだから手繋いでたら可笑しいだろ。どうやって言い訳するつもりだよ。そ、それは僕だって、その、手は、離したくないけどさ。でも素直にこの関係を言うわけにはいかないでしょ。だって男同士で兄弟で。
ぼそぼそと告げる声は、本当はこんな事言いたくないし、と付け加えた。
「あぁ一松。お前は俺と共にラブウェイを歩いている事が恥ずかしいのか」
「それは違うけど」
瞬く間に言葉は返され、一松は心外だといった顔をしている。良かった。その言葉は紛れもなく真実であると確信を持った。
「そんな簡単な話じゃないでしょ」
「それもそうだな」
気まずい沈黙が2人の隙間を侵略する。
「ちょっと煙草買ってくる。ついでに開いてたら灯油買ってくるな」
思わず減ってもいない煙草を買いに出た。
白露が地に繁く、なんて時間はとうに過ぎ、霜柱さえ溶け始めている。水でベチョベチョとした道を歩いても、パーフェクトファッションの重要なファクターである靴が汚れる事など、気にならなかった。


なんだよあいつ。ちょっと考えが足りないでしょ。なんだよ。なんだよ。僕だって別に嫌なわけじゃないし。だけど見られたら困るのは僕達二人共なのに。
「おはようございまっする!あれ、一松にーさん!カラ松にーさんは」
威勢よく開け放たれた襖と同時に、これまた威勢よく放たれる言葉。この時ばかりは耳障りでしかない。
「いねぇよ」
地に這うような低音で、一言だけ伝えその場を立ち去る。流石に十四松も無言で見送った。


煙草を買うって言ってたよな。
衝動的に家を飛び出したものの、特に向かう先は無い。結局はカラ松を探す。
やっぱりちょっとは俺のせいかなって思うし。

ちょっと暗くなってしまいました。夏に冬の物語書くのかって感じです。
<2016/07/19 21:46 白場>消しゴム
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