最近は、オークと戦うようになっていた。牙がむき出しの口に、潰れた鼻。猪のような体毛の、人型の魔物だ。上級の魔物だが、今では普通に相手できる。それだけ強くなったということだ。だが、その分クロウは皆との差を感じていた。エリィは光と氷。レインは炎と地。アリサは風と水。ガルシアは雷と炎。皆それぞれ、2つは魔法が使えている。だが、クロウはひとつも魔法が使えない。その分力は劣っている。恐らく、皆の邪魔になっているだろう。クロウはそんなことを思いながら、夜の街を一人歩いていた。綺麗な星空の下では、まだ賑わいが残っている。クロウが川の近くに行くと、地下に続く階段あった。階段を降りると、重そうな鉄扉がある。クロウが扉を押すと、以外にもその扉は開く。通路を進んで行くと、薄暗く光る部屋に出た。筒の様な水槽には、半透明の緑色の液体が入っている。
「なんだ………これ」
クロウはそれを見て驚く。それとは、人間のことである。その液体の中には、人間が入っているのだ。
「おやおや、こんなところに入りこんでいましたか。しっかり鍵は閉めたはずですが、どうしてでしょうか?まぁ、そんなことはどうでもいいですね」
金髪の白衣男がそう言った。
「誰だ」
クロウが剣に手をかけてそう言った。
「私ですか?私はルト。ただの研究員ですよ。ホムンクルスのね」
「ホムンクルス?人口生命体のことか。でも、ホムンクルスの研究は認められているんじゃないの?」
「いいえ、認められていませんよ。だいたい、ホムンクルスには問題が山積みなのですよ。ホムンクルスとの間に生まれた子供はどうなるのか。等々、他にもたくさん」
「なら、僕はここで殺されるみたいだね」
「察しが良いですね。好きですよ。そういうの。それに、あなたはホムンクルスに対して興味があるようですね。ここで一生研究すると言うなら、見逃してあげてもいいのですよ?」
「断るよ。僕には、大切な仲間がいるからね」
「そうですか。残念です」
「最後に、ひとつ聞いてもいい?」
「どうぞ」
クロウはひとつ深呼吸をして、
「どうして、ホムンクルスを研究しているの?」
「ホムンクルスの研究ですか?まあいいです。ここで死ぬのだから、教えてあげましょう。これは極秘なのですけどね。帝国に頼まれているのですよ。ホムンクルスを戦闘様に、薬の実験体に、使い捨ての道具としては最適である。そのため、研究せよと。まぁ、ホムンクルスだって一応人間です。それを批判する人も、少数ですがいるでしょう。それに、宗教的な問題もあります。人体の創造など、神の領域に足を踏み入れる行為だから駄目だ。なんて言っている馬鹿共がいますが、馬鹿なだけに何をしでかすかわかりません。本当に、過激派は困ります」
「ずいぶんと話してくれたね。よほど自信があるみたい」
「はい。ありますよ。殺りなさい。セーラ」
ルトがそう言うと、水槽の後ろから、一人の少女が出てくる。緑色の髪は、腰の辺りまで伸びている。その茶色の瞳は、とても美しい。真っ白な肌に、左右対象の人工的な顔は、とても美しい。白い布服を一枚着ただけの服装は、クロウ以上の軽装だ。身長は140位か。歳は10代の前半に見える。大人になれば、必ず美人になるだろう。手には、真っ白な杖が握られている。
「その杖は、ホムンクルス専用なのですよ。ホムンクルスが使うことによって、力を増幅させることができるのです。もちろん、武器としても使えますよ。さあ。殺りなさい」
ルトが自慢気にそう説明する。そして、そう言った。
「了解。ミッションスタート」
感情が全く込めらていない声でそう言うと、杖をこちらに向ける。そして、氷をクロウに打ち出した。クロウはそれを剣で弾き落とし、ナイフを投げる。だが、それは杖で弾かれる。クロウの足元が土に覆われ、クロウの足が取られる。跳躍して脱出したが、危なかった。
「氷と地の魔法か。やるじゃん」
クロウがそう言っても、セーラと呼ばれた少女は、何も返してこない。変わりに、ルトが返事をする。
「そうでしょう?元は戦闘用では無かったのですが、私が改良したのですよ。素晴らしいでしょう?」
「最低だね。こんなに可愛い女の子を改良するなんて、ロリコンが嘆いているよ?」
やはり、帝国の人間はクズだ。腐っている。死んだ方がマシだ。
「知りませんね。そんなこと」
話を終えると、またすぐに攻撃してくる。杖に氷を纏(まと)わせ、氷の剣にする。そして、跳躍してクロウを斬り下ろす。クロウはそれを横に避け、剣を突き出す。だが、それは土の壁で防がれる。
「逃げて」
とても小さな、とても苦しそうな声で、セーラがそう言った。だが、そんな言葉とは裏腹に、クロウを攻撃してくる。どういうことだ?惑わせようとしている?そうだ。そうとしか、考えられない。どんな魔法を使ったとしても、人を操ることなんてできない。人を操る?いや、セーラはホムンクルスだ。もしかすると、そう設定されているのか?そうだとするなら、命令を下しているルトが死ねば、セーラは元に戻る。クロウはセーラではなく、ルトの方に向かう。だが、土の壁がクロウの行く手を阻む。剣で破壊するが、その間に追い付かれる。
「セーラ。君のお父さんの仇を取ってあげるから、ちょっとじっとしてて」
クロウがそう言った。もちろん適当に言っている。だいたい、セーラとはさっき出会ったばかりだ。セーラのことは、何も知らない。だが、セーラの親がルトではないのは確かだ。さっき、ルトは改良したと言った。親なら、改良しないだろう。元からそう作る。そして、親なら我が子にこんなことをさせるはずがない。例えそれが、ホムンクルスだったとしても。いや、親でもひどいやつもいる。その可能性はある。だが、答えはわかった。
「なぜ知っている!?」
ルトが驚愕してそう言った。図星か。セーラの動きが止まる。今だ。殺せるのは、今だけだ。だけど、本当に殺すか?だが、殺すしかないだろう。ここで殺さなければ、自分が死ぬ。他人と自分、どちらが大事か。自分だ。クロウは意を決して、ルトの首を斬り落とす。ルトの顔は驚愕した表情のまま、地面に転がっていた。
「ありがとう」
セーラが、クロウにそう言った。そして、クロウに抱き付いた。
「ここから、連れていって」
セーラが悲しそうな顔でそう言う。その顔を見ると、クロウの後悔は吹き飛んだ。可愛い女の子の笑顔が見られたからとか、そんなんじゃない。ただ、自分が手を汚すことで、この子を守れたから。そうだ。どうせ帝国を潰すんだったら、絶対に人を殺さないといけない。それが、少し早かっただけだ。
「わかった。僕の仲間のところに行こう」
クロウはそう言って、セーラを連れて行く。後で相談してみるか。ガルシアが言っていた。光が眩しくて大変になれば、闇である自分に相談して欲しいと。そうだ。僕は元々闇だったじゃないか。ずっと。あの日から。なのに、みんなと一緒にいたせいで光に戻りかけていた。もう一度、闇に戻らないと。それはそれとして、セーラって可愛いな。僕の好みだ。
「何歳………かな?」
クロウが訊くと、
「14。名前は、セーラ・アルガード」
とセーラが答える。14か。ギリギリ範囲内だな。クロウの範囲内は、歳下は2歳まで、歳上は4歳までだ。例えばクロウは今16なので、歳下なら、15と14。歳上なら、17、18、19、20だ。もちろん同い歳でもいい。それに、クロウは基本小さい方が好きだ。身長とかじゃなくて、胸が。エリィも、セーラも小さい。アリサは普通くらいか。とても完璧な仲間が揃っていると、クロウはそう思っていた。そう。こんなことを考えることで、人を殺したことを忘れようとしていた。まあ、事実なのだが。
「なんだ………これ」
クロウはそれを見て驚く。それとは、人間のことである。その液体の中には、人間が入っているのだ。
「おやおや、こんなところに入りこんでいましたか。しっかり鍵は閉めたはずですが、どうしてでしょうか?まぁ、そんなことはどうでもいいですね」
金髪の白衣男がそう言った。
「誰だ」
クロウが剣に手をかけてそう言った。
「私ですか?私はルト。ただの研究員ですよ。ホムンクルスのね」
「ホムンクルス?人口生命体のことか。でも、ホムンクルスの研究は認められているんじゃないの?」
「いいえ、認められていませんよ。だいたい、ホムンクルスには問題が山積みなのですよ。ホムンクルスとの間に生まれた子供はどうなるのか。等々、他にもたくさん」
「なら、僕はここで殺されるみたいだね」
「察しが良いですね。好きですよ。そういうの。それに、あなたはホムンクルスに対して興味があるようですね。ここで一生研究すると言うなら、見逃してあげてもいいのですよ?」
「断るよ。僕には、大切な仲間がいるからね」
「そうですか。残念です」
「最後に、ひとつ聞いてもいい?」
「どうぞ」
クロウはひとつ深呼吸をして、
「どうして、ホムンクルスを研究しているの?」
「ホムンクルスの研究ですか?まあいいです。ここで死ぬのだから、教えてあげましょう。これは極秘なのですけどね。帝国に頼まれているのですよ。ホムンクルスを戦闘様に、薬の実験体に、使い捨ての道具としては最適である。そのため、研究せよと。まぁ、ホムンクルスだって一応人間です。それを批判する人も、少数ですがいるでしょう。それに、宗教的な問題もあります。人体の創造など、神の領域に足を踏み入れる行為だから駄目だ。なんて言っている馬鹿共がいますが、馬鹿なだけに何をしでかすかわかりません。本当に、過激派は困ります」
「ずいぶんと話してくれたね。よほど自信があるみたい」
「はい。ありますよ。殺りなさい。セーラ」
ルトがそう言うと、水槽の後ろから、一人の少女が出てくる。緑色の髪は、腰の辺りまで伸びている。その茶色の瞳は、とても美しい。真っ白な肌に、左右対象の人工的な顔は、とても美しい。白い布服を一枚着ただけの服装は、クロウ以上の軽装だ。身長は140位か。歳は10代の前半に見える。大人になれば、必ず美人になるだろう。手には、真っ白な杖が握られている。
「その杖は、ホムンクルス専用なのですよ。ホムンクルスが使うことによって、力を増幅させることができるのです。もちろん、武器としても使えますよ。さあ。殺りなさい」
ルトが自慢気にそう説明する。そして、そう言った。
「了解。ミッションスタート」
感情が全く込めらていない声でそう言うと、杖をこちらに向ける。そして、氷をクロウに打ち出した。クロウはそれを剣で弾き落とし、ナイフを投げる。だが、それは杖で弾かれる。クロウの足元が土に覆われ、クロウの足が取られる。跳躍して脱出したが、危なかった。
「氷と地の魔法か。やるじゃん」
クロウがそう言っても、セーラと呼ばれた少女は、何も返してこない。変わりに、ルトが返事をする。
「そうでしょう?元は戦闘用では無かったのですが、私が改良したのですよ。素晴らしいでしょう?」
「最低だね。こんなに可愛い女の子を改良するなんて、ロリコンが嘆いているよ?」
やはり、帝国の人間はクズだ。腐っている。死んだ方がマシだ。
「知りませんね。そんなこと」
話を終えると、またすぐに攻撃してくる。杖に氷を纏(まと)わせ、氷の剣にする。そして、跳躍してクロウを斬り下ろす。クロウはそれを横に避け、剣を突き出す。だが、それは土の壁で防がれる。
「逃げて」
とても小さな、とても苦しそうな声で、セーラがそう言った。だが、そんな言葉とは裏腹に、クロウを攻撃してくる。どういうことだ?惑わせようとしている?そうだ。そうとしか、考えられない。どんな魔法を使ったとしても、人を操ることなんてできない。人を操る?いや、セーラはホムンクルスだ。もしかすると、そう設定されているのか?そうだとするなら、命令を下しているルトが死ねば、セーラは元に戻る。クロウはセーラではなく、ルトの方に向かう。だが、土の壁がクロウの行く手を阻む。剣で破壊するが、その間に追い付かれる。
「セーラ。君のお父さんの仇を取ってあげるから、ちょっとじっとしてて」
クロウがそう言った。もちろん適当に言っている。だいたい、セーラとはさっき出会ったばかりだ。セーラのことは、何も知らない。だが、セーラの親がルトではないのは確かだ。さっき、ルトは改良したと言った。親なら、改良しないだろう。元からそう作る。そして、親なら我が子にこんなことをさせるはずがない。例えそれが、ホムンクルスだったとしても。いや、親でもひどいやつもいる。その可能性はある。だが、答えはわかった。
「なぜ知っている!?」
ルトが驚愕してそう言った。図星か。セーラの動きが止まる。今だ。殺せるのは、今だけだ。だけど、本当に殺すか?だが、殺すしかないだろう。ここで殺さなければ、自分が死ぬ。他人と自分、どちらが大事か。自分だ。クロウは意を決して、ルトの首を斬り落とす。ルトの顔は驚愕した表情のまま、地面に転がっていた。
「ありがとう」
セーラが、クロウにそう言った。そして、クロウに抱き付いた。
「ここから、連れていって」
セーラが悲しそうな顔でそう言う。その顔を見ると、クロウの後悔は吹き飛んだ。可愛い女の子の笑顔が見られたからとか、そんなんじゃない。ただ、自分が手を汚すことで、この子を守れたから。そうだ。どうせ帝国を潰すんだったら、絶対に人を殺さないといけない。それが、少し早かっただけだ。
「わかった。僕の仲間のところに行こう」
クロウはそう言って、セーラを連れて行く。後で相談してみるか。ガルシアが言っていた。光が眩しくて大変になれば、闇である自分に相談して欲しいと。そうだ。僕は元々闇だったじゃないか。ずっと。あの日から。なのに、みんなと一緒にいたせいで光に戻りかけていた。もう一度、闇に戻らないと。それはそれとして、セーラって可愛いな。僕の好みだ。
「何歳………かな?」
クロウが訊くと、
「14。名前は、セーラ・アルガード」
とセーラが答える。14か。ギリギリ範囲内だな。クロウの範囲内は、歳下は2歳まで、歳上は4歳までだ。例えばクロウは今16なので、歳下なら、15と14。歳上なら、17、18、19、20だ。もちろん同い歳でもいい。それに、クロウは基本小さい方が好きだ。身長とかじゃなくて、胸が。エリィも、セーラも小さい。アリサは普通くらいか。とても完璧な仲間が揃っていると、クロウはそう思っていた。そう。こんなことを考えることで、人を殺したことを忘れようとしていた。まあ、事実なのだが。
