大きな街に、異様な光景が広がっていた。死体が歩き回り、人を襲っているのだ。これはアンデッド。国王ガステリア、そして極少数の研究員にしか知らされていない。もちろん、六刃すらもそのことを知らなかった。アリサが知っていたのは、帝国に行った時に、研究員が話しているのを聞いてしまったからだ。あんな研究はもう嫌だ。死んだ方がマシだ。そんなことを喚きちらしていたらしい。そしてその研究員はすぐに処刑。それを聞いていた人物も、全て処刑されたという。酷い話だ。一人、いや一体と言うべきか。アンデッドが歩き脱走し、この街を襲ったのだ。大した強さもないが、首を落とすか、頭を潰すか、そうなるまで動き続ける生命力を持っている。噛んだ相手をアンデッドにするなどというどこぞやのゾンビゲームのような性質は無いが、数が多く、さらに生命力も高いので厄介だった。そこでガステリアは、六刃にアンデッドの殲滅を命じた。怪奇現象が起きている。動く死体を殲滅せよと。スレイは、その光景を見て顔をしかめる。
「酷いな」
ユグスがそう呟く。アルテマがユグスの肩をポンポンと叩き、
「大丈夫ですよー。さ、さっさと片付けましょう」
と、いつものほわほわした雰囲気のまま言う。皆の実力を、スレイはこの時初めて知った。流れるような、ユグスの二本の剣。素早く動き、相手を翻弄しながら戦うアルテマは、刀の扱いにかなり長けているようだ。レイラの剣術もかなりの物で、セルスの投げナイフの腕は素晴らしい物だった。アーテは土を自在に操り、相手を飲み込んで行く。
「スレイさん。ぼーっとしてないで、参加してくださいよー」
戦いの最中だと言うのにも関わらず、ほわほわした雰囲気のまま、その上笑顔を崩さず、返り血ひとつ浴びていないアルテマが、スレイにそう言った。
「ごめんね。わかってるよ」
そう言うと、スレイの後ろに、緑の獅子(しし)と、黄色の獅子が現れる。
「驚いたかい?これは、風と雷の獅子なんだ」
スレイがそう言うと、
「凄いですね。スレイさん。憧れますよ」
笑顔でそう答えるアルテマに、スレイも笑顔を返す。そして、二体の獅子をアンデッドに突撃させて殲滅する。その時のスレイの左目は、赤く光っていた。作業を終え、帝国に帰還した。
その時、クロウ達は帝国について調べていた。クロウは面倒になり、少し気分転換にナイフ投げをしていた。だが、何かがおかしい。いつもは正確に飛ぶはずのナイフが、真っ直ぐに飛ばない。どうしてだろうか?まあいいか。クロウは図書館に戻る。
「帝国はいい所。素晴らしい場所。素晴らしい王。有り得ないな」
レインがそう呟く。そして、
「この本。嘘しか書いてねえじゃん。なぁ、クロウ」
「それだけ、帝国内部は腐ってるってことじゃない?」
クロウがそう言う。本を探していると、一冊の本に目を止めた。題名は、
『魔の代償』
クロウがそれを読んでいく。
魔の代償。この世には、魔の力が強過ぎる物がいる。その為、魔の力が勝手に体を蝕むのだ。最初は左目。次は右目。次は腕、足、そして全身。ほとんどの者が、魔法を使えないのは才能が無いからだと言う。もちろんそうである。だが、この赤い左目は違う。魔の力が強過ぎて、力を勝手に使えなくしていのだ。魔法を使いたいなら、その力を潰すこと。もう一人の自分を殺すことだ。もう一人の自分を殺せば、魔法を使えるようになる。失ったた視力、腕力、脚力も戻る。魔法が使えるようになっても、強力な魔法を使う時は左目が赤くなる。だが、気にする必要はない。それには何の意味もない。もう一人の自分を殺す為には、誰かを愛することだ。
クロウは本を閉じる。魔の力とは、魔力のことだ。魔法を使うには、魔力が必要である。魔力の強さは人それぞれで、強力なほど強い魔法が使えたりする。魔力がなくなると、魔法が使えなくなる。時間を置けば回復するので、焦る必要はない。どれだけ魔力を失ったとしても、一日もすれば全回復している。それに、ナイフが真っ直ぐ飛ばなくなったのもそうだ。一見関係ないように思えるが、関係がある。右目の視力はそのまま、左目の視力が落ちたせいで、真っ直ぐ投げたつもりが、おかしな方向へ飛んでしまうのだ。だが、誰かを愛することができれば直るとは、どういうことだろうか?
「クロウ。どうしたの?少し顔色が悪いわね。熱でもあるんじゃない?」
エリィはそう言って、クロウの額に手を当てる。
「大丈夫だよ」
クロウは照れながらそう言う。
「そう。ならいいの。それはそれとして、帝国に関する情報が聞けたわ。六刃と呼ばれる組織が結成されたらしいわ。その結成した理由、わかる?」
「なに?」
クロウがそう訊いた。
「多分、私達のせいなの。六人の旅人が反逆したから、結成されたらしいわ」
「考え過ぎだよ」
クロウは焦るエリィの肩を優しく叩き、そう言った。
「どうして?」
「えーっと、まず、たかが六人の旅人に、そんな強い奴らを集める必要は無いから。それに、確かに僕達は誰にも負けないくらい強くなったけど、ガステリアはそんなこと知らないはずだよ。強いか弱いかもわからないそんなただの旅人に、そこまで大袈裟なことはしないって」
「ええ。言われてみればそうね。ありがとう。安心したわ」
エリィがそう言った。本当、エリィってきれいだな。可愛いし。クロウはそう思う。
「どうしたの?」
「いや、なんでも」
クロウはそう言って、図書館から出て行く。もう夜だ。みんな宿に帰っていると聞いた。なので、クロウもエリィと共に宿に帰ることにした。大きな街のきれいな夜空を見上げながら歩いていると、まるでエリィとデートしているみたいだった。だが、そんないい雰囲気をぶち壊すかのように、蛮賊が現れる。
「お嬢さん。来てもらうよ」
「蛮賊よ」
エリィがクロウにそう言った。蛮賊が無理矢理エリィを掴もうとする。
「ちょっと待った。エリィが嫌がってる。だいたい、なんでエリィを連れていくのか、説明してほしいよ」
クロウがそう言うと、
「なんだ貴てめえは。説明だと?説明なんて必要ないだろ。いい女は俺達の物だ。この街には世話になってるぜ。金も女も、おどせば全部出てくるんだからな」
蛮賊がそう言って笑う。すると、クロウの後ろから殺気が放たれる。斧を振り回した蛮賊だった。結構な数がいる。七人だ。五人が遠くから弓を構えている。打つぞと言ったところだろうか。
「大丈夫よ。クロウ」
エリィがそう言う。エリィは自ら蛮賊に連れていかれることを選び、クロウを助けた。クロウは気絶させられ、蛮賊を見失った。少しして起きると、もういなかった。恐らく、近くに基地があるはずだ。この街にはよく来ていると言っていた。クロウは怒で冷静さを失っていた。仲間に報告に行く。いつもなら、そう選択していただろう。だが、怒りに身を委ねたクロウに、そんな発送はなかった。
「酷いな」
ユグスがそう呟く。アルテマがユグスの肩をポンポンと叩き、
「大丈夫ですよー。さ、さっさと片付けましょう」
と、いつものほわほわした雰囲気のまま言う。皆の実力を、スレイはこの時初めて知った。流れるような、ユグスの二本の剣。素早く動き、相手を翻弄しながら戦うアルテマは、刀の扱いにかなり長けているようだ。レイラの剣術もかなりの物で、セルスの投げナイフの腕は素晴らしい物だった。アーテは土を自在に操り、相手を飲み込んで行く。
「スレイさん。ぼーっとしてないで、参加してくださいよー」
戦いの最中だと言うのにも関わらず、ほわほわした雰囲気のまま、その上笑顔を崩さず、返り血ひとつ浴びていないアルテマが、スレイにそう言った。
「ごめんね。わかってるよ」
そう言うと、スレイの後ろに、緑の獅子(しし)と、黄色の獅子が現れる。
「驚いたかい?これは、風と雷の獅子なんだ」
スレイがそう言うと、
「凄いですね。スレイさん。憧れますよ」
笑顔でそう答えるアルテマに、スレイも笑顔を返す。そして、二体の獅子をアンデッドに突撃させて殲滅する。その時のスレイの左目は、赤く光っていた。作業を終え、帝国に帰還した。
その時、クロウ達は帝国について調べていた。クロウは面倒になり、少し気分転換にナイフ投げをしていた。だが、何かがおかしい。いつもは正確に飛ぶはずのナイフが、真っ直ぐに飛ばない。どうしてだろうか?まあいいか。クロウは図書館に戻る。
「帝国はいい所。素晴らしい場所。素晴らしい王。有り得ないな」
レインがそう呟く。そして、
「この本。嘘しか書いてねえじゃん。なぁ、クロウ」
「それだけ、帝国内部は腐ってるってことじゃない?」
クロウがそう言う。本を探していると、一冊の本に目を止めた。題名は、
『魔の代償』
クロウがそれを読んでいく。
魔の代償。この世には、魔の力が強過ぎる物がいる。その為、魔の力が勝手に体を蝕むのだ。最初は左目。次は右目。次は腕、足、そして全身。ほとんどの者が、魔法を使えないのは才能が無いからだと言う。もちろんそうである。だが、この赤い左目は違う。魔の力が強過ぎて、力を勝手に使えなくしていのだ。魔法を使いたいなら、その力を潰すこと。もう一人の自分を殺すことだ。もう一人の自分を殺せば、魔法を使えるようになる。失ったた視力、腕力、脚力も戻る。魔法が使えるようになっても、強力な魔法を使う時は左目が赤くなる。だが、気にする必要はない。それには何の意味もない。もう一人の自分を殺す為には、誰かを愛することだ。
クロウは本を閉じる。魔の力とは、魔力のことだ。魔法を使うには、魔力が必要である。魔力の強さは人それぞれで、強力なほど強い魔法が使えたりする。魔力がなくなると、魔法が使えなくなる。時間を置けば回復するので、焦る必要はない。どれだけ魔力を失ったとしても、一日もすれば全回復している。それに、ナイフが真っ直ぐ飛ばなくなったのもそうだ。一見関係ないように思えるが、関係がある。右目の視力はそのまま、左目の視力が落ちたせいで、真っ直ぐ投げたつもりが、おかしな方向へ飛んでしまうのだ。だが、誰かを愛することができれば直るとは、どういうことだろうか?
「クロウ。どうしたの?少し顔色が悪いわね。熱でもあるんじゃない?」
エリィはそう言って、クロウの額に手を当てる。
「大丈夫だよ」
クロウは照れながらそう言う。
「そう。ならいいの。それはそれとして、帝国に関する情報が聞けたわ。六刃と呼ばれる組織が結成されたらしいわ。その結成した理由、わかる?」
「なに?」
クロウがそう訊いた。
「多分、私達のせいなの。六人の旅人が反逆したから、結成されたらしいわ」
「考え過ぎだよ」
クロウは焦るエリィの肩を優しく叩き、そう言った。
「どうして?」
「えーっと、まず、たかが六人の旅人に、そんな強い奴らを集める必要は無いから。それに、確かに僕達は誰にも負けないくらい強くなったけど、ガステリアはそんなこと知らないはずだよ。強いか弱いかもわからないそんなただの旅人に、そこまで大袈裟なことはしないって」
「ええ。言われてみればそうね。ありがとう。安心したわ」
エリィがそう言った。本当、エリィってきれいだな。可愛いし。クロウはそう思う。
「どうしたの?」
「いや、なんでも」
クロウはそう言って、図書館から出て行く。もう夜だ。みんな宿に帰っていると聞いた。なので、クロウもエリィと共に宿に帰ることにした。大きな街のきれいな夜空を見上げながら歩いていると、まるでエリィとデートしているみたいだった。だが、そんないい雰囲気をぶち壊すかのように、蛮賊が現れる。
「お嬢さん。来てもらうよ」
「蛮賊よ」
エリィがクロウにそう言った。蛮賊が無理矢理エリィを掴もうとする。
「ちょっと待った。エリィが嫌がってる。だいたい、なんでエリィを連れていくのか、説明してほしいよ」
クロウがそう言うと、
「なんだ貴てめえは。説明だと?説明なんて必要ないだろ。いい女は俺達の物だ。この街には世話になってるぜ。金も女も、おどせば全部出てくるんだからな」
蛮賊がそう言って笑う。すると、クロウの後ろから殺気が放たれる。斧を振り回した蛮賊だった。結構な数がいる。七人だ。五人が遠くから弓を構えている。打つぞと言ったところだろうか。
「大丈夫よ。クロウ」
エリィがそう言う。エリィは自ら蛮賊に連れていかれることを選び、クロウを助けた。クロウは気絶させられ、蛮賊を見失った。少しして起きると、もういなかった。恐らく、近くに基地があるはずだ。この街にはよく来ていると言っていた。クロウは怒で冷静さを失っていた。仲間に報告に行く。いつもなら、そう選択していただろう。だが、怒りに身を委ねたクロウに、そんな発送はなかった。
