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大丈夫


『あたしにできることはまだある?』

あたしはその言葉の答えを待った。

「あるよ」

「なに?もうあたし、何でもする……」

「俺のそばにいて」

あたしは大きく、何度も頷いた。

「でも、ごめん」

「えっ?」

「ワガママだけど、友達として、いてほしい」

「陽斗と友達としてそばにいればいいの?」

陽斗は頷いた。

「じゃあ、今ここで抱きしめてくれたらいいよ」

「そんな簡単なことでよければ」

陽斗はベッドから降りた。

「えっ、ちょちょちょ、立てんの?」

「俺のことナメてんべ」

「べ。んまぁそこそこ」

あれっ、なんか聞いたことある。

『見た目大丈夫?』

『あたしのセンス、ナメてんべ』

『べ。んまぁそこそこ』

昴とあたしか。

「いいからっ。おいで?」

あたしは遠慮なく陽斗に抱きついた。

「陽斗……ごめんね」

「何で?満月は何もしてないよ?」

「陽斗、何でそんなに優しいの?」

「俺は優しくないよ。
そばにいたい人と、そばにいるだけ」

「何で……何で…あたしでいいの?」

「バーカ。満月じゃなきゃダメなんだよ」

陽斗が、陽斗がバカって言った。

なぜかすごく嬉しかった。

本当に友達って感じがして。

「あっ陽斗、約束、守れなかったらごめんね……」

「約束?」

あたしは頷いた。

「陽斗が言った、『友達として』って約束。あたし、
彼女になりたくなっちゃいそうだから」

「満月が本気でそう思ってくれたら、いいよ。
でも満月には昴じゃない?」

「ふふっ。昴も好きだよ?けど……あたしたちは友達でいい気がしてるの。お互いね」

「そうなの?俺は満月が誰と付き合ってもいいよ。
将来その人と、結婚しても」

「陽斗のバカ」

「誰のせいだよ」

「知らないわよ。んなの」

「アホな満月のせい」

「はぁ?」

「何さ」

「もーいいわ」

「ハハッ」

陽斗、笑った。

今まで見てきた笑顔で一番自然。

あたしもつられて笑った。

「陽斗、体も強いんだね」

「満月にまだ言いたいことあったからさぁ。
このままで逝けないっしょ」

陽斗……

「あたしに言いたいこと?」

「俺のそばにいろって」

「いいよ」

「でも、ひとついい?」

「ん?」

「って、何回やりゃいいのさ」

「何回でもっ!」

あたしはやっぱり陽斗が好き。

陽斗と昴、陽希に夏月がいてやっとあたしになれる。

「みんな大好きっ!」

「満月〜っ」

「ふぅ〜っ。いいよ。もう寝といて」

「自分勝手だねぇ」

「まぁな〜っ」

『彼には気を付けたほうがいいよ』

こういう楽しめた時に、茜さんのあの言葉を思い出す。

「満月?」

「大丈夫?」

「うん」

この返事が本当の時はあるの?

本当に陽斗はあたしといていいのかな。

「もう、全部見せてね。あたし、受け入れるから」

今度こそ。

絶対。

前もこう思ったけど、ダメだったんだよね。

そして陽斗の答えはいつも『俺は大丈夫』
大丈夫じゃないくせに。

「分かった。どんな時も、俺でいる」

初めての答だった。

「陽斗……みんな呼んできていい?」

「来てんの?」

「なんかいなくなっちゃったけどね」

あたしはそう言って廊下にいるみんなを呼びに行った。

「うわっ!んな近くで待ってたの?」

「満月……」

「まぁ入れ」

「失礼します」

ピッタリ。

なんか笑っちゃう。

「ねっ?」

「ほんとだ」

そう言って陽斗はもう一度起き上がった。

「無理しないでね?」

もうこれ以上、できないか。

「今度こそ関係変わった?」

「バーカ。あたしと陽斗は友達っ!」

「じゃあさ」

昴が真面目な声で言う。

あたしはつい昴を見る。

「俺と変わってくれ」

<2016/07/22 17:25 秋の空>消しゴム
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