ついに来てしまった、9月20日。
昴との、期間の分からない別れの日。
「満月」
目を覚ますとドアのところに夏月がいた。
「夏月」
「行ける?」
あたしは頷いた。
昴と会える、もしかしたら最後の日。
今日は絶対に行かないと。
「大丈夫。絶対帰ってくるから」
夏月は優しくそう言ってくれた。
あたしを泣かせようとしているように。
「大丈夫?行こっか」
あたしはもう一度頷いた。
あたしたちは、昴との別れの場所へ。
そこには沢山の人がいた。
今から仕事に向かうような格好の人から、遊びに行くように軽い感じの格好の人まで。
そこには、昴もいた。
「昴……」
「バーカ。すぐ帰ってくるから」
あたしは大きく頷いた。
なるべく、笑って。
「昴、いい?」
そう言ったくせに、昴の返事を待たずに抱きついた。
「みーづき」
そんなに優しく呼ばないで。
泣いてもいいの?
心配させんぞ。
「ごめんな。けど、絶対すぐ帰ってくる」
あたしは頷いた。
「きっと、そうなる」
そう言った昴の声は、悲しそうだった。
あたしは昴の顔を見ることができなかった。
今にも泣きそうだったから。
昴の顔なんか見たら、間違いなくこの涙たちは溢れてくるから。
「待ってるよ。いつまでも」
「あぁ。帰ってくる時は連絡する。だから、あの公園で
待っててくれ」
あの公園。
あたしたちが小さい頃気に入ってた公園。
よく茜さんと行った。
その場所で、また会える。
長い間待って、大好きな人に。
「分かった。あの公園で待ってる」
「じゃあ、行くね」
なんでそんなに優しい言い方するの?
普段みたいに冷たく言ってよ。
あたしはなんとか笑って頷いた。
「もうちょい自然に笑えよバカ女」
言った。
バカ女って言ってくれた。
「っさい!バカ王子!」
昴は笑って電車に乗った。
茜さんと、一緒に。
あたしは二人に手を振った。
電車が見えなくなった時、ずっと耐えてた涙たちが一斉に溢れ出た。
声は、全く出なかった。
「満月」
「ふふっ、帰ってくるのにね」
「大丈夫。よく泣かなかった」
夏月まであたしを泣かせるの?
あたし周りには優しいS気質の人しかいない。
「すばる……」
「みづき」
「すばるっ!」
ダメだよ。
あたしにはやっぱり昴がいないと。
あたしはそのまま座り込んだ。
夏月はそれを優しく、本当に何も言わずに見守って
くれた。
「すばるっ!」
こんなに?
こんなに辛い?
帰ってくるって言ってくれたのに。
本当、ここに白河くん二人がいなくてよかった。
あの二人には、こんな姿は見せられない。
けど、夏月だけは。
見せてもいいよね。
「満月、大丈夫。落ち着くまで、ここにいよ?」
夏月の優しい言葉に、涙は勢いを増した。
「いつまでも泣いてんなバカ女」
あたしはその声のした方へ振り向いた。
そこには、夏月がいた。
「んでそんなに似てんのよ。もう帰ろっ」
あたしがそう言って立ち上がると、夏月はあたしに
背中を向けてしゃがんだ。
「夏月?」
「乗れ」
このギリギリ最後まで言わせるところとか。
あたしは遠慮せずに乗った。
「乗った?」
「乗ったわよ」
「泣きすぎて軽くなってる」
これ、喜んでいいの?
「帰り何か飲み物買うからそん時は降りろよ?」
「はい」
「小学生の弟が高校生の姉背負うとかビックリだぜ」
「ほんっと」
「ったく」
あたしは『帰り何か飲み物買うからそん時は降りろ』
夏月とのその約束は守れなかった。
昴との、期間の分からない別れの日。
「満月」
目を覚ますとドアのところに夏月がいた。
「夏月」
「行ける?」
あたしは頷いた。
昴と会える、もしかしたら最後の日。
今日は絶対に行かないと。
「大丈夫。絶対帰ってくるから」
夏月は優しくそう言ってくれた。
あたしを泣かせようとしているように。
「大丈夫?行こっか」
あたしはもう一度頷いた。
あたしたちは、昴との別れの場所へ。
そこには沢山の人がいた。
今から仕事に向かうような格好の人から、遊びに行くように軽い感じの格好の人まで。
そこには、昴もいた。
「昴……」
「バーカ。すぐ帰ってくるから」
あたしは大きく頷いた。
なるべく、笑って。
「昴、いい?」
そう言ったくせに、昴の返事を待たずに抱きついた。
「みーづき」
そんなに優しく呼ばないで。
泣いてもいいの?
心配させんぞ。
「ごめんな。けど、絶対すぐ帰ってくる」
あたしは頷いた。
「きっと、そうなる」
そう言った昴の声は、悲しそうだった。
あたしは昴の顔を見ることができなかった。
今にも泣きそうだったから。
昴の顔なんか見たら、間違いなくこの涙たちは溢れてくるから。
「待ってるよ。いつまでも」
「あぁ。帰ってくる時は連絡する。だから、あの公園で
待っててくれ」
あの公園。
あたしたちが小さい頃気に入ってた公園。
よく茜さんと行った。
その場所で、また会える。
長い間待って、大好きな人に。
「分かった。あの公園で待ってる」
「じゃあ、行くね」
なんでそんなに優しい言い方するの?
普段みたいに冷たく言ってよ。
あたしはなんとか笑って頷いた。
「もうちょい自然に笑えよバカ女」
言った。
バカ女って言ってくれた。
「っさい!バカ王子!」
昴は笑って電車に乗った。
茜さんと、一緒に。
あたしは二人に手を振った。
電車が見えなくなった時、ずっと耐えてた涙たちが一斉に溢れ出た。
声は、全く出なかった。
「満月」
「ふふっ、帰ってくるのにね」
「大丈夫。よく泣かなかった」
夏月まであたしを泣かせるの?
あたし周りには優しいS気質の人しかいない。
「すばる……」
「みづき」
「すばるっ!」
ダメだよ。
あたしにはやっぱり昴がいないと。
あたしはそのまま座り込んだ。
夏月はそれを優しく、本当に何も言わずに見守って
くれた。
「すばるっ!」
こんなに?
こんなに辛い?
帰ってくるって言ってくれたのに。
本当、ここに白河くん二人がいなくてよかった。
あの二人には、こんな姿は見せられない。
けど、夏月だけは。
見せてもいいよね。
「満月、大丈夫。落ち着くまで、ここにいよ?」
夏月の優しい言葉に、涙は勢いを増した。
「いつまでも泣いてんなバカ女」
あたしはその声のした方へ振り向いた。
そこには、夏月がいた。
「んでそんなに似てんのよ。もう帰ろっ」
あたしがそう言って立ち上がると、夏月はあたしに
背中を向けてしゃがんだ。
「夏月?」
「乗れ」
このギリギリ最後まで言わせるところとか。
あたしは遠慮せずに乗った。
「乗った?」
「乗ったわよ」
「泣きすぎて軽くなってる」
これ、喜んでいいの?
「帰り何か飲み物買うからそん時は降りろよ?」
「はい」
「小学生の弟が高校生の姉背負うとかビックリだぜ」
「ほんっと」
「ったく」
あたしは『帰り何か飲み物買うからそん時は降りろ』
夏月とのその約束は守れなかった。
