「夕焼け、綺麗だね。」
街が燃えているようだった。
茜色が校舎全体を包み、柔らかい光に目を細める。
運動部の生徒さえももう下校してしまった後。
立ち入り禁止の屋上に、二人の生徒が残っていた。
どちらもキャンパスと絵の具を広げ、夕日に向かい合っている。
一人は男子、もう一人は女子だった。
「今日も夕日を描くの?。」
男子生徒が、女子生徒に尋ねる。
女子生徒は少し目を細めただけで、言葉を返したりしなかった。
「……………真白は、何も描かないの。」
しばらく経つと、女子生徒の方が口を開く。
真白と呼ばれた男子生徒は困ったように笑い、「そうだねえ。」と頷いた。
女子生徒………………………李亜はそれを聞くと、一層不機嫌そうに眉間にしわを寄せる。
「いいんだよ。李亜が描いてくれるから。」
「私は私の絵を描いてる。」
「うん。綺麗だよ。」
真白がくしゃっとした笑みを零す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーこれは、ある償いの話。
生徒と生徒が起こした、些細なすれ違い。
二人の生徒が描く景色と、その想いの軌跡だ。
