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眠る夕日は琥珀に染まる


真白は、屋上に来ていなかった。

李亜はそれを何も気にしていないかのように、今日もキャンバスに向かっている。

同じ色彩。
同じ風景。
空っぽの絵。

どんな言葉を受けても、どんなに批判されても、李亜はこの風景を描き続けるしかない。
描き続けなければいけないのだ。

あの日の夕日を、あの日の風景を、もう一度見るために。
永遠に見続けていくために。

『僕は絵を描いてる李亜が、好きだから。』

真白の言葉が脳内に響く。
柔らかい笑顔で、優しい声で。
何も変わらない姿で、李亜と共にいる。

今にも、夕日に溶けてしまいそうな立ち姿で。

「………………描けない…………………………。」

ぽつりと出た言葉が、風にさらわれる。
筆が止まる。
何も描けなくなる。

いや、何も描けないんじゃない。

出会えないのだ。
あの日と同じ風景に。

「描けない……描けない描けない描けない描けない!!。」

こんなのじゃない。
描かないとダメなのに。
覚えておかないといけないのに。
忘れたら……………………………………。

「李亜。」

キャンバスに黒い絵の具を塗りたくり、頭を抱える李亜。
その背後で、聞き慣れた優しい声が聞こえた。


<2016/09/17 14:05 なうか>消しゴム
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