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眠る夕日は琥珀に染まる


文化祭一週間前。
いよいよ学校全体が浮かれオーラを撒き散らし出した頃。

看板の製作も大詰めに入り、私の仕事も徐々に少なくなっていた。

「いやー、木浜のおかげで予定より早く終わりそうだ!ありがとな!。」

藍田がそう言いながら顔をくしゃくしゃにして笑う。
たいして何もしていないと思うが、まあ手伝うことには手伝った。
私は軽く会釈して、看板に向き直る。
あとは、最後の文字を塗りつぶすだけだ。

「なあ、木浜。」
「…………何?。」

賑やかな教室。
今日は、珍しく真白がいない。
理由はわからないが、昼休みからいなくなっている。

別に気にしているわけではないけど。

「明日さ、放課後、ちょっといいかな?。」
「……………?看板なら明日も手伝うけど。」
「ちげぇよ。その…………看板の集まりが終わった後。」

私は藍田を見上げる。
藍田は、何故か顔を背けたまま話していた。

「………………別にいいけど。」
「そ…っか。じゃ、よろしくな。」

きっと、明日には看板作りも終わるだろう。
それ以外にまだ仕事が残っているのだろうか。

「たっだいまー!遅くなってごめん!。」

次の瞬間、真白が教室に顔を出した。
私は弾かれたように入り口を見る。

「おせぇよお前!何してたんだ?。」
「あはは〜、屋上で寝てた!。」

藍田や他のクラスメイトが真白に絡み、笑いの渦が起こる。
私は小さくため息をつき、看板に目線を落とした。

「遅れてごめんね李亜。」
「………………別に。」

真白は相変わらず笑っていた。
私はその笑顔に、ほんの少しだけ違和感を覚えた。












そんな違和感は、ずっと前から起こっていてもおかしくなかった筈なのに。





<2016/10/15 23:42 なうか>消しゴム
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