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眠る夕日は琥珀に染まる


李亜が最後に部室に通ったのは、全校に名前が知れ渡る前のこと。

それまでは普通に部室で絵を描いていたし、描く絵も夕日ではなかった。
いろんな景色を描くのが好きだったのだという。
………部室に行かなくなったのと同時期に、描くものも変わっていった。

「ねえ、李亜!。」

放課後。
通学鞄を持ち、屋上に向かおうとした李亜は、友人の声に足を止めた。
振り返ると、隣のクラスで美術部の更木 美紀が立っていた。

「…………何?。」
「今日も来ないの?部室。みんな待ってるよ?李亜がまた部室来るの………。」
「…………行かない。」

美紀に短い言葉を返すと、李亜は再び歩き出した。

「李亜!。」

美紀の声が遠くなる。
窓から差し込む夕日の光に目を細めながら、李亜は振り返らずに歩き続けた。

「…………夕日の絵、毎回すごく綺麗だって、先生も褒めてたから!だから…。」

美紀が必死に叫び続ける。
李亜は、聞こえないフリをした。

屋上に向かう階段。
もう、美紀の声は聞こえない。

「…………綺麗なんかじゃ、ない。」

立ち止まり、ぽつりと呟いた独り言。

それは、とても苦しそうな声だった。




<2016/08/25 14:07 なうか>消しゴム
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