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眠る夕日は琥珀に染まる


「先生は、李亜の絵が大好きなんだよ。」

灰色の雲が空を覆う。
夕焼けは全く見えないが、今日も2人は屋上にいた。
いつも以上に不機嫌そうな李亜が、真白をジロリと見る。

「それ、慰めてるつもり?。」
「違う違う。みんな、李亜の絵が好きなんだなって、さ。」

真白はそう言うと、目を細めてくしゃっとした笑顔をつくった。
李亜は顔を顰め、キャンパスに向き直る。

『部活に来ない代わりに、コンクールに絵を出すこと。』

それが、李亜が先生と交わした約束だった。
コンクールに絵を出しさえすれば、部室には顔を出さなくていい。
だから李亜は毎回、そうせざるを得なかった。

「僕だって李亜の絵が好きだよ。」

真っ直ぐに、真白はそう言った。
美紗と言い合いしたことを洗いざらい聞き出され、結局なんだかんだであの笑顔に絆される。

李亜は真白と目を合わさずに、筆を動かし続けた。
調子が狂う。毎回、毎回。

「…………だからって、いつも時間いっぱい私の絵見てても飽きるでしょ。いい加減自分の絵描いたら?。」
「うーん、飽きるとか、全然思わないかな。」
「…………はあ?。」

どんだけ絵を見るのが好きなんだ、……そう言うつもりだった。
李亜が横を向くと同時に、真白がその場に立ち上がる。
真白の瞳に、灰色が滲んでいた。

「僕は、絵を描いてる李亜が好きだから。…………どれだけ見てても飽きないよ。」

そう言って、また笑う真白。
李亜は目を見開き、しばらく固まった。

『………………僕は…………。』

茜色の情景が、滲む視界が、フラッシュバックする。

「…………馬鹿じゃないの、あんた。」

再び口を開いた李亜は、困ったように微笑んだ。





<2016/09/01 23:25 なうか>消しゴム
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