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ヤクセツ


2 夜久が怒ったとき

「あのさぁ!」
突然夜久が声をあげた。
「ん?」
その顔はなぜか怒った顔。
何々。何もした覚えないぞ俺。
「ちょっといいかな!?」
「なにーどしたのやっくん」
夜久が俺の手を引き、来たのは誰もいない部室。
「黒尾が俺に言ったんだよね!?」
「何。なんて?」
夜久がふぅっと息をつき続けた。
「リエーフにレシーブ教えろって!」
「は?お、おう」
いきなりでできたリエーフの名前に少しムッとしながら返事をする。
「それに!」
「ま、まだあんの?」
「芝山は俺の後継ぎなんだし俺が面倒見るの当たり前だろ!?」
ああ~…検討ついたわ。うん
「誰にでも嫉妬してんじゃねぇよアホ!」
やっぱそれか…
「だってさー、夜久が俺以外と仲良くしてるのヤなんだもーん」
少しふざけたように言ってみる。
多分本当に怒ってはいないだろ。
って思ってたんだけど…
「ふざけんなよ!?部活とは区別しろよ!」
あらら。怒ってるわ。
普段ならあーゆう言葉をかければすぐなおるのだが…どうやらマジだ。
でも区別しろと言う方が無理な話ではないだろうか。恋人だぞ。
「俺は別にあいつらを恋愛感情で見ないからやめて欲しいんだけど!」
「でもさ~?俺が嫌なんだよー」
「はぁ?しらねーよ」
キャーやっくん怖ーい
って言おうとしたけど多分言ったらいつもより10増しのパワーで殴られるな。いや、20か。
「まぁそんな怒んないでよ。怒った顔も可愛いんだから…」
「はぁ!?」
「あ」
そこまで言って失敗に気づく。
今言っちゃいけないこと言ったわ。
「もういい!黒尾嫌い!アホ!」
夜久はドタバタと部室を出ていった。
「やば…」
一人取り残された俺は絶望に満ちた。
夜久に嫌いって言われた。
夜久に嫌いって言われた。
夜久に嫌いって…
俺もう死んだ方がいいかも。
……………………………………………………
ヤバくないッスかこの状況。
あのあと結局視線すら合わせてくれなかったし、一人で先帰っちゃうし。
自分の部屋のベッドの上で一人寝転がっていた俺は、勇気を出して謝ろう!と思っていたものの、その勇気はどっから出すんだよなどとウジウジと思い悩んでいた。
でもやっぱり謝ろうと思いケータイの連絡先を開いた。
最近の着信欄はほとんど夜久で埋まっていて、その時の会話を思い出しては笑っていた。
まぁ、これからする会話は笑えるようなものではないのだろうけど。
『電話をかける』ボタンを押し、ケータイをそっと耳にあてる。
暫くコールが続く。
と思ったら。
ブチッという音がして通話終了の文字が表示される。
「…」
きょ、……………………………


拒否られた………!!!
嘘だろ!?ひ、ひどっ…
まさか本気で俺のこと…き、嫌いに…
「夜久…」
ちょっとまてよ。い、嫌だ嫌だ嫌だ。
せっかく付き合えたと思ったのに…
………
「なら押し掛けてやる」
俺は小さく呟くと、急いで家を出た。

走った俺は、夜久の家の前で息を整える。
俺は緊張をのみこみインターフォンを押した。
「はーい」
中から聞こえる夜久の声と、可愛らしい足音。
やがてカギの開く音がして…
「っ…」
「夜久っ!あのっ」
大きな目をさらに見開いた夜久は、俺の話を聞かずにドアを閉めた。
「あ、おい夜久っっ!!」
急いでドアノブに手をかけるも、カギがかかり開かない。
「くそっ!夜久っっ!」
「帰って!」
中から夜久の声が聞こえ、少し安心する。
「お願いだ!開けてくれ夜久!」
「嫌!帰ってよバカ!」
「開けてくれるまで帰んねぇ!」
「っっ!好きにすれば!?絶対開けないし!どうせすぐ帰るんでしょ!」
その言葉を最後に、ドタドタと歩く音が聞こえた。話す気はねぇってか…
絶対帰んねぇ!死んでも帰んねぇ!
このドアを開けてくれるまで…


時刻は既に20:00を過ぎた。
親からはウザイくらい電話が来ていて、友達の家に泊まってくると嘘をついた。
夜久は本当に開けないつもりかも知れない。もしかしたらもう帰ったと思ってるかも知れない。
そんなとき、ドアのポストからコトリと音が聞こえた。
不思議に思って覗いて見ると、一枚の紙とペンが入ってた。
取り出して見ると紙に綺麗な字で
『まだいるの?』と書いてあった。
それが嬉しくて嬉しくて、
『いる』とかいてポストに入れた。
夜久のほうからきてくれた。本当に嬉しくて仕方なくてワクワクしながら返事を待った。
また音がして、ポストをのぞく。
そこには『ベランダ』と書いてあった。
ベランダ?
立ち上がりベランダへ向かってみる。
そこには、ラップにくるまれたおにぎりが2つと、ペットボトルに入ったお茶が置いてあった。
「夜久…」
その優しさに、こぼれかけた泪を必死に堪えた。
それを持ち、玄関前に戻ると紙に
『ありがとう。いただきます』の言葉を残しポストに入れた。
多分もう返事は来ないなと考え、おにぎりをいただこうと思ったとき。
ドアのカギが開く音が聞こえた。
驚いて立ち上がるとドアが開き、
出てきた夜久が俺に飛び付いた。
「うおっっ!」
「バカなの!?なんで帰らないの!?」
ボロボロと泪をこぼしながら夜久が俺を抱き締める。
「開けてくれるまで帰んないって言った。」
「バカァ~~~ッッ」
泣きじゃくる夜久を抱き締め返して
「ごめんな」と呟く。
「俺もっ…ごめんなさいっ!」
暗い空の下、俺達は暫く離れなかった。


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夜久が怒ったら、しつこいぐらいにやり過ぎると良いでしょう。

よし。完結までマヂでがんばります。
<2016/08/26 13:13 カオスなりきシダ植物>消しゴム
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