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君の笑顔を


私達は今日、『たまには』って事で1日保健室に居た。

校庭がすっかりオレンジ色に染まってきた頃。

「相原くん、大丈夫?帰れる?」

「お前の背中に翼をやる」

「良いよ。その翼を、私の背中に付けて」

私達はまた笑った。

数ヶ月でよくこんなに変わったね。

ちょっとしばらく休んだ方が良いね。

ちょっと頑張り過ぎてるかも。

まぁ、相原くんが今実際どんな常態かなんて分からない
けど。

「では」

「では」

私の大きな翼はベッドから直接私の背中に。

「んっとに男?」

「何バカな事言ってんの」

「はいはい」

私は大きな翼を背負って学校を出た。





「疲れたでしょ」

「同じ身長の女背負ったからな」

こっちは自分より背もある男を背負ってんの。

同じ身長って。

7センチも。

大分違うでしょうよ。

「大丈夫?体」

「大丈夫」

んにしても細い腕。

本当に大丈夫かね。

心配になるわ。

「ここはどちら?」

「好きな方」

どれだけ歩かされるんだか。

何日歩いても着かない気がするんだけど。

私だけ、かな。

「あぁ、ここ右。すれば戻れる」

戻れるって。

どこに向かってたんだか。

だから最初から答えてって言ったのに。

「降りる」

「良いから。ちゃんと辿り着ける道を教えて」

「う〜ん」

悩むなよ。

「まぁ、大丈夫だよ。相原くんは、翼だから」

私と同じ、いや、私よりも大きな翼。

「どこまでも行けるよ」

君が居れば。

「奥寺…?」

耳元で囁くように、優しく私の名前を呼ぶ相原くん。

「相原」



「あっ、ここ」

「これ?……これっ!?」

あ、勝手に降りちゃった。

「休んでけば」

「はぁ?良いわよ」

こんな綺麗な家。

他人の私が侵入するなんて。

こいつ、関わっちゃいけない人だったかも。

けど、あのバカな先生が……

あれ?

そういえば担任も知ってるの?

そのうち、聞こうかな。

色んな事。

「奥寺?」

相変わらず声は小さいけど、ちゃんと気持ちが入ってる。

少しずつ、色付いてきた。

真っ白だった、何にもなかった相原くんが。

少しずつ、人間らしくなってきた。


<2016/08/05 19:41 秋の空>消しゴム
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