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君の笑顔を


そう。

これで良い。

これで奥寺の前だけでも笑えば。

そうすれば大川も俺と奥寺が関わることを強制はしない
はず。

奥寺が、大川にそのまま伝えてくれれば。

『ずっと一緒に居ようね?』

奥寺となら良いかな。

この、高校生活が終わってからも。

この高校生活さえ笑って過ごせば。

あれ、待てよ?

それでまた……

うん。

やっぱり俺らは関わるべき人ではなかった。

あれ、でも俺も何でここまで笑わない事に
こだわってるんだろう。

うーん。

そのうちどうにかなるか。

今はただ笑ってればいい。

それが、嘘だったとしても。

笑ってこの高校生活を終えれば。

あと2年。

もう少し。

え、3年で卒業できるよね。

うん。

大丈夫。

真面目系・相原翼で居れば。

自分に素直になるって難しいね。

自分がどんな奴かも知らないし。

「素?」

奥寺が俺の顔を覗き込みながら言う。

「は?」

「大丈夫?本当に笑ってる?」

この女、怖い。

「笑って、るよ?」

「なら良いけどさ」

そう言って窓の外に視線を移す奥寺。

この人、隠せない。

いや、隠すしかないんだけど。

いつかバレる。

バレるなら早い方が良いよね。

そのほうが、罪っていうか、軽い気がする。

って、奥寺もよく俺のためにここまで。

まずまずあの男か。

あの大川が余計な事を言うから。

言うなって言ったのに。

そしてさっきからあちこちに視線を感じる。

「な、何?」

「体、大丈夫?」

「えっ?」

「食べてた?」

「うん……」

奥寺楓、危険。

基本何考えてるか分からない。

俺もよく言われるけど、それ以上かも。

まずあの時。

俺が階段の踊り場に居た時。

何であそこだと分かった。

しかも喋ってたわけでもないのに。

確かにそうだよ、みたいな事言うし。

やっぱりこの女、ヤバい。

「相原くん……」

奥寺が暗めの声で呼ぶ。

「ん?」

「何で笑わなくなったの?」

来た。

そのうち来ると思った。

「何となく」

俺の最強の誤魔化し方。

「何となくじゃそこまでならないでしょ」

『何となく』最強説、破れる。

俺は奥寺から目を逸らした。

「何があったの?」

「いや、今はほら、笑ってる、し?」

嘘くさい俺の声。

「うーん。まぁ、言いたくないなら良いや。ごめんね?」

「あっ、いや……」

怖い、です。

奥寺と関わる前に戻りたい。

大川か。

あいつが居なけりゃ。

余計な事ばっかしやがって。

「あ、あの、奥寺、さん……」

緊張、するよね。

分かる。

この人、怖いから。

「ん?何?」

「あぁ、あの、大、大川、先生が……呼んで……」

そんなに?

この女、何かやらかしたろ。

大川も急に来なくなったし。

この女もかよ。

俺の周りにはそんな奴ばかり。

「あいつかぁ……」 

絶対何かあったやつじゃん。

二人とも、何やらかした。

こうなったら、やっちゃうか。

俺は奥寺が教室を出てしばらくしてからドアの傍に。

「相原くん?」

やっべ。

女。

「静かに……」

俺は自分の唇に人差し指を当てた。

するとその女は笑って頷いた。

何か、怖い奴ばっかなんだけど。

何この学校。

間違えたかな。

けど俺が入れるような学校はここくらいしか無かったし。

そしてここでも平凡な事件は起こる。

内容が聞こえないという。

室内、騒がし過ぎ。

俺は仕方なく席に戻り、そのまま突っ伏した。

「相原さん、そんな所あるんだね」

あ、もうダメだ。

家と学校の違いが分からなくなってきてる。

ここは?

クール・相原?

可愛いは言われな事無いけど奥寺の前でしょ?

真面目は先生の前で。

無は家。

本当の俺は、どれだろう。


<2016/08/06 13:26 秋の空>消しゴム
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