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君の笑顔を


本当に大川の話は長くてまとまりがない。

本当、相原くんの前では言えないけど。

「えっ、相原くん?」

突っ伏してる。

なんとも人間らしい姿。

「ん」

また無になった。

この人、分からない。

まぁ、大川も分かんないけど。

この辺の人はみんなそうなのかな。

「何」

中澤さんそっくり。

けど、何か友達じゃないみたいな話も。

人間関係ってとことん複雑。

面倒くさい。

「で、何」

「別に?」


『相原には気を付けろ』

『はぁ?』

『あいつは無理に笑う奴だ』

無理に、笑う。

さっき明るかったのもそうなの?

また前みたいになっちゃったし。

気分の浮き沈み激しいって言ってたけど。

こういう感じ?

頭の中、まとまりなし。

物事のもとの形が見えない。

えっと?

一度整理しよう。

クールだと思っていた相原翼。

けど彼は決してクールではなく、笑わないのは本当の彼
じゃない。

そこで私は彼をもう一度笑わせろという命令を受けた。

で、今聞いた話では彼は無理に笑うような人だから、
そこを気を付けろ、と。

気を付けろって言われてもさ。

相手が勝手に無理してるんだし?

いやいや、相原くんは悪くない。

分かってるよ?

「奥寺?」

「は、はい?」

あ、相原くん。

「一回落ち着け」

確かに。

とりあえず私は彼を心から笑わせればいいんだよね。

それが、出来ないんだよね。

また戻ってきた。

エンドレス。

まぁ、関わってればそのうち笑うでしょ。

こっちが楽しそうにしてれば。

「だーりー」

私は机に突っ伏した。

眠い。

今すぐにでも眠りにつける。

そんな時、脇腹に妙な刺激が。

「キャッ!?」

「ほんとに猫みてぇ」

「猫!?」

「ハハハッ」

笑ってるよ。

笑ってる?

素晴らしい。

最高に自然なこの笑顔。

私もつられた。

最近笑ってないから大した事じゃなくても笑っちゃうん
だろうね。

分かるよ。

分か、らないか。

私は笑ってる方。

ってさ、なんで私も無理に笑ってるのに大川は
気付かない訳?

やっぱりあいつ、ダメだ。

「奥寺……」

「相原くん?」

「もう良いか……」

「何が?」

「お互い、何も考えなくて」

お互いを忘れるって事かな?

いきなり辛い事言い出す王子様。

「お互い、素で居て。ずっと、これからも」

ずっと、これからも。

これから?

「ずっと居てくれるの?」

「言ったろ?俺は奥寺が居ないと笑えない」

この教室の騒がしさにかき消されそう声なのに、よく
届いたこの言葉。

『奥寺が居ないと笑えない』

なら、私は傍に居るよ。

いつまでも。

どんな時も。

「傍に居て」

「えっ……」

随分急に。

「ただ、居てくれれば良い。それだけ……」

「相原くん?」

本当に不安定ね。

私を求めるなんて。

私としては嬉しいんだけどさ。

相原くんには、もっとちゃんとした人が居る。

「良いよ。相原くんが、私を求めてるなら」

何故か気持ちとは真逆な言葉が出てる。

「奥寺…」

私はニコッと笑った。

可愛いかどうかは、別として。

「ちょい楓〜、アタイの消しゴム〜」

今ちょうどいい感じになったところですよね。

何故、今そんなくだらん事を。

「か〜え〜で〜」

けど、そこそこ怒ってるみたい。

「はいよっ」

私は軽くその消しゴムを投げた。

「サンキュっ」

それを上手く受け取る千花。

ふと隣の相原くんを見ると、千花を見つめていた。

「相原くん?」

「あ、何」

いや、私居ても笑ってないよね。

「大丈夫?」

「あぁ」

たまに可愛い声出すんだけどなぁ。

またこの普段の低い声に。

どっちが地声なのか。

何も分からない。

ミステリアス王子。

そんなことを考えているとまた不思議な行動に出る
翼王子。

もう先生来るよ?

なのにどこ行くんだか。

1人にして平気かな。

『傍に居て』

あんな事言われると心配になるよね。


<2016/08/06 14:11 秋の空>消しゴム
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