辛そうに眠る相原くんの顔を見ていると、涙が頬を
伝った。
「奥寺?」
2人の先輩が小さめの声で、心配そうに私を呼んだ。
「すみません、ちょっと……」
「そっか」
私は2人に軽く頭を下げ、保健室を出た。
『奥寺に会いたい』
私はいつでも会いに行ったのに。
あの時の、相原くんの状態を知っていれば。
けど私は、やっぱり何も知らなかった。
「奥寺……」
「大川、先生……」
「大丈夫か?」
私は大川先生の心配そうな声に頷いた。
「相原の、聞いたか」
それにも頷いた。
「そんな訳だ。まぁ、色んな意味で無理はさせないで
やってくれ」
「は…い……」
大川先生は私に少し笑ったあと、どこかへ向かった。
私はしばらくそこに居て、何とか泣き止み再び保健室へ。
カーテンの中のベッドには体を起こした相原くんが居た。
「奥寺、大丈夫?」
こんな時にまで。
「うん。ちょっとトイレに」
「授業中に」
「悪い子だから」
相原くんはフッ、と笑った。
私は辛そうな相原くんを見て、今朝の行動を後悔した。
そんなに辛い男の子の背中に飛び乗るなんて。
「寝てなくて大丈夫か?」
「うん……」
そういえば。
相原くんが初めて笑った日。
あの時も相原くんは調子悪そうだった。
そんな?
そんな頃から無理してたの?
私に言ってよ。
確かに頼り甲斐は無いけど。
「ゲホッゲホッ……」
あの時の咳に似てる気がする。
あの頃から、やっぱり?
「なんだろ…」
「大丈夫だよ。ゆっくり治してこ?薬は飲んでる?」
「おっ、遂に聞いた?」
何でそんなに明るくするの。
辛いんだから良いじゃん。
「相原くん…」
「ん?」
「あの、私が初めて抱いてここまで連れてきた時、
もう辛かったの?」
「先生のお迎えの時ね。そうでもなかったよ?」
そうでも、か。
「あの時はどうしたの?」
「立ち眩み?みたいな。席からなのにね?」
「相原……」
「瞬くん?」
「もう、良いよ。奥寺も知ってるから。元気に見せなくて
良いんだよ」
相原くんは何も言わず、俯いた。
「そうだよ?無理に明るくされる方がよっぽど……」
「相原、だから今日はもう帰ったら?」
「大丈夫、私も居るよ?中澤さんも、森さんも居る」
2人は俺も?みたいな顔で私を見る。
当たり前でしょうよ。
後輩どうでもいいのかよ。
本当、糸引くわ。
「大丈夫だよ?帰るなら、1人で……」
「1人でなんて帰れる訳ないでしょ?」
「俺はそんなに弱くない。病人扱いすんな」
ダブルで来た。
確かに弱くないのは分かってる。
けど、今は扱いっていうか、もう当然でしょ。
そこまで辛くちゃ。
「大丈夫。今日は奥寺に背負ってもらえ?ずっと、
そうしてもらいたかったんだろ?」
「変な事言わないでよ〜っ」
私はついベッドの上に相原くんを抱きしめた。
もう、見ていられなかった。
辛いのに、キツいのに明るくしてる相原くんを。
「離…して……」
「大丈夫。どんなに小さくても、軽くても。何とも思わ
ないよ?」
「ちがっ……うつる…から……」
「そんなのもっと良いよ。風邪になら慣れてる」
「何かしょっちゅう引いてそうだもんな」
「それどういう意味っすか?」
「そのまんまだ。分かれバカ」
「バカってなんすか!ヒドくないですか!?中澤先輩も
何か言ってくださいよ!」
「ハハッ、奥寺だ……」
相原くんが泣きそうな声で言った。
私も2人の先輩もそれを聞いて黙った。
「相原、くん?」
私はそっと相原くんから離れた。
「奥寺と、森くんと瞬くんみたいな人に会えて良かった…」
「相原……」
「バーカ、何言ってんのよ!まだまだ一緒に居られるん
だから!」
「奥寺………あっ…」
また泣かせちゃったよ。
もう何回泣かせた?
3回目くらいだよ?
何でそんなに泣かせちゃうんだろう?
そんなに嫌な人って自覚がないんだけど。
そろそろマズいところまで来たようだ。
性格を、本気で直さなくてはいけないようなところまで。
そんな事を考えていたら、いつの間にか相原くんがベッド
から降りようとしていた。
「わっ……」
そしてそのまま中澤さんの方へ倒れた。
「相原?どこか行きたいの?」
中澤さんが相原くんの体を支え、優しく問いかける。
「きょ、教……室…」
「教室?何しに?」
「んっ、帰…る……」
「森、良い?」
「あぁ、何組?」
知っとけよ。
「2組です」
「了解。って、奥寺来ねぇの?」
「行かなきゃダメですか?」
「せめて来る気くらい見せろよ」
「行きましょうか?」
森さんの欲望に応えようとした時、制服を掴まれる。
「相原くん?」
「森くん……だけで…平気だから……」
「相原に言われちゃしゃーないな」
「はぁっ……」
相原くんは中澤さんの腕の中で動かなくなった。
「疲れたんだね」
「寝ちゃったの?」
「ん〜、だろうね。あと、とりあえず敬語ね?」
「すみません」
中澤さん、見た目は悪そうなのに。
こんなに良い人なんだ。
森さんはちょっと言葉がキツめかな。
まだ分からないけど。
伝った。
「奥寺?」
2人の先輩が小さめの声で、心配そうに私を呼んだ。
「すみません、ちょっと……」
「そっか」
私は2人に軽く頭を下げ、保健室を出た。
『奥寺に会いたい』
私はいつでも会いに行ったのに。
あの時の、相原くんの状態を知っていれば。
けど私は、やっぱり何も知らなかった。
「奥寺……」
「大川、先生……」
「大丈夫か?」
私は大川先生の心配そうな声に頷いた。
「相原の、聞いたか」
それにも頷いた。
「そんな訳だ。まぁ、色んな意味で無理はさせないで
やってくれ」
「は…い……」
大川先生は私に少し笑ったあと、どこかへ向かった。
私はしばらくそこに居て、何とか泣き止み再び保健室へ。
カーテンの中のベッドには体を起こした相原くんが居た。
「奥寺、大丈夫?」
こんな時にまで。
「うん。ちょっとトイレに」
「授業中に」
「悪い子だから」
相原くんはフッ、と笑った。
私は辛そうな相原くんを見て、今朝の行動を後悔した。
そんなに辛い男の子の背中に飛び乗るなんて。
「寝てなくて大丈夫か?」
「うん……」
そういえば。
相原くんが初めて笑った日。
あの時も相原くんは調子悪そうだった。
そんな?
そんな頃から無理してたの?
私に言ってよ。
確かに頼り甲斐は無いけど。
「ゲホッゲホッ……」
あの時の咳に似てる気がする。
あの頃から、やっぱり?
「なんだろ…」
「大丈夫だよ。ゆっくり治してこ?薬は飲んでる?」
「おっ、遂に聞いた?」
何でそんなに明るくするの。
辛いんだから良いじゃん。
「相原くん…」
「ん?」
「あの、私が初めて抱いてここまで連れてきた時、
もう辛かったの?」
「先生のお迎えの時ね。そうでもなかったよ?」
そうでも、か。
「あの時はどうしたの?」
「立ち眩み?みたいな。席からなのにね?」
「相原……」
「瞬くん?」
「もう、良いよ。奥寺も知ってるから。元気に見せなくて
良いんだよ」
相原くんは何も言わず、俯いた。
「そうだよ?無理に明るくされる方がよっぽど……」
「相原、だから今日はもう帰ったら?」
「大丈夫、私も居るよ?中澤さんも、森さんも居る」
2人は俺も?みたいな顔で私を見る。
当たり前でしょうよ。
後輩どうでもいいのかよ。
本当、糸引くわ。
「大丈夫だよ?帰るなら、1人で……」
「1人でなんて帰れる訳ないでしょ?」
「俺はそんなに弱くない。病人扱いすんな」
ダブルで来た。
確かに弱くないのは分かってる。
けど、今は扱いっていうか、もう当然でしょ。
そこまで辛くちゃ。
「大丈夫。今日は奥寺に背負ってもらえ?ずっと、
そうしてもらいたかったんだろ?」
「変な事言わないでよ〜っ」
私はついベッドの上に相原くんを抱きしめた。
もう、見ていられなかった。
辛いのに、キツいのに明るくしてる相原くんを。
「離…して……」
「大丈夫。どんなに小さくても、軽くても。何とも思わ
ないよ?」
「ちがっ……うつる…から……」
「そんなのもっと良いよ。風邪になら慣れてる」
「何かしょっちゅう引いてそうだもんな」
「それどういう意味っすか?」
「そのまんまだ。分かれバカ」
「バカってなんすか!ヒドくないですか!?中澤先輩も
何か言ってくださいよ!」
「ハハッ、奥寺だ……」
相原くんが泣きそうな声で言った。
私も2人の先輩もそれを聞いて黙った。
「相原、くん?」
私はそっと相原くんから離れた。
「奥寺と、森くんと瞬くんみたいな人に会えて良かった…」
「相原……」
「バーカ、何言ってんのよ!まだまだ一緒に居られるん
だから!」
「奥寺………あっ…」
また泣かせちゃったよ。
もう何回泣かせた?
3回目くらいだよ?
何でそんなに泣かせちゃうんだろう?
そんなに嫌な人って自覚がないんだけど。
そろそろマズいところまで来たようだ。
性格を、本気で直さなくてはいけないようなところまで。
そんな事を考えていたら、いつの間にか相原くんがベッド
から降りようとしていた。
「わっ……」
そしてそのまま中澤さんの方へ倒れた。
「相原?どこか行きたいの?」
中澤さんが相原くんの体を支え、優しく問いかける。
「きょ、教……室…」
「教室?何しに?」
「んっ、帰…る……」
「森、良い?」
「あぁ、何組?」
知っとけよ。
「2組です」
「了解。って、奥寺来ねぇの?」
「行かなきゃダメですか?」
「せめて来る気くらい見せろよ」
「行きましょうか?」
森さんの欲望に応えようとした時、制服を掴まれる。
「相原くん?」
「森くん……だけで…平気だから……」
「相原に言われちゃしゃーないな」
「はぁっ……」
相原くんは中澤さんの腕の中で動かなくなった。
「疲れたんだね」
「寝ちゃったの?」
「ん〜、だろうね。あと、とりあえず敬語ね?」
「すみません」
中澤さん、見た目は悪そうなのに。
こんなに良い人なんだ。
森さんはちょっと言葉がキツめかな。
まだ分からないけど。
