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君の笑顔を


『ん…?』

『話し掛けろって言われたの…?』

少しずつ、相原くんの言葉に感情が入ってきた。

まさかあんな少し話しただけで入ってくるとは。

私はさっき、保健室から出た時とは真逆な気分で教室に
向かっていた。

嬉しいね。

普段全く話さない人が自分と話した時に、感情の入って
きた言葉を発してくれたなんてさ。

今にも走り出せそう。

今走りのタイム計られたら誰よりも早い気がする。

「ふふっ」

遂に笑ってしまった。

良いよね。

笑いたい時は笑って。

楽しいんだもん。

いつか、相原くんが笑える日を迎えられるように、私は
いつまでも傍に居るよ。

どんな理由があって笑えなくなってしまったかは
分からないけど、いつかきっと笑えるから。

私が、あなたを笑わせてあげる。

我が校で最も恐れられている可愛い系クール王子、
相原翼を。

いつまで、どれだけ時間が掛っても良い。

君の顔に、心から出た笑顔が浮かぶなら。

卒業までまだ後まる3年ある。

3年。

その月日が長く感じるか、短く感じるかは、人それぞれ。

けどきっと、私達は短く感じるだろうね。

「うーっわ!」
「わっ!」

私達は離れるように後ろに倒れた。

「ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「あっ、はい……すみ、ません…」

私は起き上がり、ぶつかった男の子の顔を見た。

その時、名札も目に入った。

「あらっ、同じ学年?」

「みたい、ですね……」

「ごめんね?大丈夫?」

私は彼の散らばったノートや教科書を集めながら言った。

「あぁ、大丈夫ですから。本当、気にしないでください…」

「ごめんね?」

「いえ、こちらこそ。失礼します……」

大人しくて真面目な子なのね。

先輩じゃなくて良かった。

ここの先輩、特に1コ上はキツい。

2年生。

怖い人が沢山。

「ふぅーっ」

私はゆっくり立ち上がり、制服のスカートを払った。

「漫画みてぇだったぞ」

「見てたのかよ」

「ちょ、先輩にそれはマズいぞ?」

「は〜?」

私は彼の名札を見た。

「うわっ、大木先輩?」

「ハハハッ、んじゃっ」

「すみません……」

私は軽く頭を下げた。

1コ上の、優しい先輩に。

かなり貴重な先輩。

「はぁ」

まぁ、そうだよね。

相原くんな訳ないよね。

少し期待してしまっていた自分がいた。

私は大人しく教室へ。






やっと教室へ。

「わっ!」

私は少し高い位置にある、真ん前にいる人の顔を見た。

「あっ、奥、寺……」

「相原くん……ごめん…」

「いや……」

なにこれ?

すんごい嬉しいんですけど。

あの相原くんの驚いた顔。

ちゃんと表情作れるんじゃん。

喜びと同時に、安心した。

私はかなり明るい気分で自分の席へ。

「大好きな相原と近付けて良かったな」

「チッ、お前なぁ」

「へっへっへ」

またムカつく笑い方。

相原くんは、どんなふうに笑うんだろう。


<2016/08/05 13:49 秋の空>消しゴム
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