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Best Friend〜姿を変えた君と〜


私は今日もここにいる。

というか、ここにいた。

君を求めて、君を探して。

もう会えない。

分かってるけど、求めてしまう。

君のあの笑顔を、声を、姿を。

君の存在は、私にとってとても大きなものだった。

どんなに辛い時も、そばにいてくれた。

だから、頑張れた。

嫌な事があっても、辛い事があっても。

そんな存在が、突然消えたら、どうなると思う?

私にも、分からなかった。

けど、分かるしかなかった。

思い知らされた。

君が、私の太陽が、失くなった。

私は君を失って初めて一人になった。

君のような人には、もう会えない。

君だけだったから。

私が、本気で笑えるのも、泣けるのも。

分からない。

まだ信じてない。

君がいないなんて、君に会えないなんて。

「なんで……」

ずっとそばにいてくれたじゃん。

ずっと、笑顔も勇気もくれたじゃん。

なのに、なんでこんなに急にいなくなるの?

私は今日も泣いている。

この、君という木の前で。

空を見れば、君がいる。

空を見れば、君を思い出す。

君の声も姿も、存在も。

もう一度だけ、会いたい。

言いたい事も、やりたい事もたくさんある。

けど、この思いはもう、君には届かないんだよね。

分かってるよ。

分かってるけど、信じてない。

信じられない。

嫌だよ。

君がいない、こんな世界。

君は、太陽なんだよ?

太陽がない、この世界。

周りのモノの全てが、全てを失った。

色も音も。

なんでここに来るんだろう。

また泣くのに。

泣かないわけがないのに。

お願い、会いたい。

ただ、それだけなのに。

願いを叶えるって、難しいね。

「今日も……来たよ…」

君に会いに。

君を、感じに。

私は最後に、君という木に向かって思い切り笑った。

そして、その場を去った。










学校では、みんなが笑ってる。

みんなが楽しそうに、話してる。

好きな人の自慢話から、悩み話まで。

いろいろな事を、話してる。

話せるうちに、たくさん話しておいてね。

私にはもう、出来ないから。

出来なかったから。

「夕里、今日は暇?」

「ユリンじゃないんだ。暇だよ?」

「もう夕里でいい?」

「なんでも呼びたいように呼びたまえ」

彼女は宮本 愛生。(みやもと あき)

私は宮田 夕里。(みやた ゆり)

「優は?」

「優は〜っ、来た!」

朝から元気すぎるくらいの愛生の声に驚く優。

彼は宮崎 優。(みやざき ゆう)

すごく優しい。

かなり温厚。

マイペース。

「どうしたの?」

「まだかなーって。健は?」

「あの人のんびり屋だから」

いや、優ほどじゃない。

「あっ、来た」

「何」

「何?今日も機嫌悪いの?」

「別に」

彼は宮河 健。(みやかわ けん)

基本喋らない。

愛生によく『機嫌悪い』とイジられる。

私達が仲良くなったきっかけは、まさかの名前。

みんな名字の初めに『宮』の文字が付く。

それだけで、なんとなく。

「健、大丈夫?あれっ、ウチいっつも思うんだけどさ、 そう訊かれてダメとはいつ答えんの?」

あっ、確かに。

愛生が珍しくまともな事を。

今日は大雪かな。

梅雨だけど。

ジメジメ。

梅雨、私の一番苦手な季節。

そういえば、あの人も。

「どういう時っていうより、どんな人に訊かれたか、
じゃない?」

私と愛生の視線が優に。

優はニコッと笑って続けた。

「本当に信頼してる人には、言えるんじゃないかな?」

信頼してる人、か。

やっぱりあの人。

こんなに、3人もいてくれてるのに。

私には、あの人しかいない。

遠い空の彼方で私達を見守る、彼しか。

私は空を見た。

窓際の、お気に入りの自分の席から。

「健、何かあった?」

普段は一度しか訊かない愛生がもう一度訊く。

「何も」

「私達で良ければ、言ってね?」

私が言うと健くんの口元が少し緩んだ。

鼻から上は下を向いちゃってて見えないけど。

「ウチもう帰りてぇんだけど」

「帰っちゃう?」

「ほんと!?」

「んなわけないでしょ〜?」

「ケッ」

「一人で帰ってもいいのよ?」

「つまらないじゃないの」

やたら丁寧。

愛生に一番似合わない。

「ねぇ〜っ、今日みたいな日が休みならいいのにねっ」

「そう?」

「凄い晴れてるし。昼寝には最適」

優、寝るの大好きだもんね。

あれっ、そういえば健くん、私達の前で一度も寝たこと
なかったような。

私達は空を見た。

いつの間にか一面雲が覆ってしまった、決して綺麗とは
言えない、今にも泣き出しそうな空を。

「この時期はいろんな姿見せてくれるよね」

「ん?」

「だって。さっきまであんなに晴れてたのに。
今はこんなに曇って」

本当だね。

この時期は、私達人間も不安定なように、天気も
不安定なんだろうね。

「うわ〜、マジかよ〜。呼んでねぇし〜っ」

愛生が心から嫌がってる時の声で言う。

もう何が起こったかは分かる。

先生が来た。

「はーい、席戻りましょうね〜っ」

私は明るく二人を席に戻らせた。

そしてここには、私と健くんの二人だけ。

『健、大丈夫?』

愛生、なんであそこまで心配したんだろう。

いつもと、大して変わらないのに。

愛生には、分かる何かがあるのかな。

幼馴染として、分かる何かが。

私は同じ列の一番後ろにいる愛生を見た。

愛生もすぐにその意味が分かったらしく、首を傾げた。

私は何度か頷き、前を向いた。

雲の切れ間から光がさしてる。

本当にこんな事、あるんだね。

初めて見た。

もう少し雲が薄ければ最高。

まぁ、この少し満足できないくらいが自然でいいん
だけどね。

「はーい」

何かが軽い。

もう少し、なんかあってもいい気がするんだけど。

変に緊張感あるよりはいいのかな。

先生がひとりひとり生徒の名前を名前を呼ぶ。

大体なんとか聞こえるかなくらいでしか返ってきてない
けど。

「宮河 健」

そして何度目かの健くんを呼ぶ先生の声。

「健くん?」

「えっ?あ、はい」

「疲れてるの?」

「いや……」

「そっか」

こういう時は、なんて言ってあげるのがいいんだろう。

しつこいくらいに聞いちゃうか、そのままそっとして
おいてあげるか。

健くんなら、そっとしておいてあげるのが一番かな。

こんなクール風だけど、実は優しいんだろうから。

人に心配させたくない。

それを、一番に考えるような。


初めてのジャンル。

どうなっちゃうんでしょう……

秋の空自身も心配です…。
<2016/07/29 15:15 秋の空>消しゴム
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