優、何かあったのかな。
何もないとは言ってたけど。
なんで、そんなに俺の事。
もう何度起きていることを分からせようとしたか。
『健にとってはただの恐怖でしかないと思うよ?』
そんなことはない。
愛生、なら。
俺があの人との関係が分かっていたら教えてるほど。
けど俺は、あの人の何も知らない。
ただ名字が同じっていうのと、生徒の事は俺以外全員
名字にくん付けなのに、俺だけ名前にくんで呼ぶ。
ただそれだけ。
そして、少し普通の学校の人と違う気がした、だけ。
俺にはもうひとつ迷ってる事があった。
どうやって起きよう。
自分の寝起きの様子なんて分からない。
愛生の前で寝たっけ。
俺は寝てない事を願い、伸びをしてみた。
「健?」
えっ、どう反応すればいいの?
普段どうしてるっけ。
「んんっ……」
こうしたら大体起き上がるよね。
俺はなるべくゆっくり起き上がった。
「健……」
優に言われたことを気にしてるのか、呼ぶ声がいつもと
少し違った。
あれっ。
風邪でも引いたかな。
俺はつい頭に手を当てた。
「大丈夫?頭痛いの?」
「いや、大丈夫」
「いきなりいろんなストレスが加わったのね」
「いや風邪だろ……」
「ストレスだったら、ごめんね……」
愛生は本当に悪い事をしたように言った。
「愛生?」
「ふふっ、なんでもない」
「そっ…か」
優も俺に対して優しすぎんだよな。
愛生との仲を悪くする可能性があっても、あんな事を。
「ケホッケホ……」
「ちっちゃい子みたいな咳すんのね」
「っせぇ」
「ハハッ、風邪引いたみたいね」
「だぁからそう言ったろ」
「ハハッ、まぁいろんな意味でゆっくりしとくのね」
「えっ、行くの?」
「あたしは行きたくないけどねぇ」
そう言ってカーテンの外に出ようとする愛生。
「俺も」
それを呼び止めるように言った。
というか、言ってた。
「健?」
「俺も……行ってほしくない……」
「良いわよっ。そう言ってここに居させてもらう」
そう言って再びそばの椅子に座ってくれた愛生。
嬉しかった。
「健」
「なに?」
「ごめん……ね」
「えっ?」
「あたし、気づかない内にいろいろ……」
俺はそれがどういう意味かすぐに分かった。
「愛生は何もしてない……」
「え?」
「あれはただ、俺が……」
その先の言葉がなかなか言えない。
愛生に、悪くて。
だから言わなきゃいけないのに。
「健?」
「俺が、ただ勝手に……」
「いや健、ごめん、何言ってんの?」
「あれはただ、俺が勝手に変な態度とっただけ」
「えっ?」
あれ、あのことじゃないのかな。
「いやごめん。何?」
「多分話してることについては同じだと思うんだけど……」
「俺が愛生に冷たくしたりしたやつでしょ?」
愛生は頷いた。
何が噛み合ってないんだろう。
「ちょ、あたしが思ってるあの事話していい?」
俺はもちろん頷いた。
「あの頃、あたし何か変だったみたいで、気付かない間にいろいろ健にしちゃってたの。そのいろいろってのも
分からない。無意識、過ぎて」
愛生、そんなふうに思ってたんだ。
「健は?」
「あれは俺が勝手に、変に気ぃ遣わせたくないとか考えて変な態度とってただけ」
「は?んでそんなことしたのよ」
これ、怒られる感じ、だよね。
「ああいう態度とれば、関わりたくないって思って
もらえると、思ったから」
「バッカじゃねぇの?」
ですよね。
こうなると思った。
「『関わりたくない』ってより『関わらない方がいいの
かな』って思ったし、別に変な心配なんかしてないから」
あれっ、何か違う。
俺は愛生を見た。
「変に気ぃ遣ってんのぁ健じゃん」
「愛生……」
「バカ」
愛生はそう言って俺に抱きついた。
「バカはどっちだよ。うつるから」
「フンッ、別に健のならいいわよ」
「うわうわうわ、怖いんですけど」
「ぶっとばすぞ」
「男の子みたぁい」
「は?」
愛生が頭を叩く。
「バカっ、頭はダメだって」
「それ以上悪くなったら大変ですからね」
「愛生ほどじゃない」
「あたしゃ学年で一番よ?」
「へぇ~、新情報」
「マジ後で覚えとけ」
久々に本気で笑ったかも。
どうか翔が俺の心配をしてない事を願う。
「健?急に変わるよね」
「えっ?何か変わった?」
「急に暗くなったよ?」
「愛生に命狙われてたから」
「はぁ?まぁ悩み事じゃないなら良いわ」
その時、足音が聞こえてきた。
きっとここの人。
俺はつい愛生の制服を掴んだ。
「何よ」
愛生がそれに気付き、振り返る。
「えっ、健?どうした?」
「あれっ……」
俺は愛生の顔を見ながら制服を離した。
「大丈夫?」
「ごめん……」
「いや、別に全然いいんだけど、健は大丈夫?」
「う、うん…」
俺は前の辺りを見た。
確かに聞こえたと思ったんだけど。
「誰か来た?」
「えっ…!」
もう一度愛生を見る。
「あぁ違う違う、そう思ったの?」
「あっ、うん……気のせい、だったみたいだけど……」
俺は恥ずかしくてついに下を向いた。
「大丈夫?気にし過ぎじゃない?もっといろいろ気に
しないで過ごした方が良いよ?」
「そう……だな…」
「今日はずっとここに居よ?あたしも居るから。
で、終わったらうち行こ?」
「愛生……ん家?」
「嫌?」
「俺は良いんだけど、愛生ん家は?」
「普通そういうの分からん状態で呼ぶ?」
「だよね……」
「健、大丈夫だよ。誰かが来ても、あたしが居るから」
愛生は温かい両手で俺の冷えた右手を包み込むようにして
言った。
それが、凄く落ち着いた。
何もないとは言ってたけど。
なんで、そんなに俺の事。
もう何度起きていることを分からせようとしたか。
『健にとってはただの恐怖でしかないと思うよ?』
そんなことはない。
愛生、なら。
俺があの人との関係が分かっていたら教えてるほど。
けど俺は、あの人の何も知らない。
ただ名字が同じっていうのと、生徒の事は俺以外全員
名字にくん付けなのに、俺だけ名前にくんで呼ぶ。
ただそれだけ。
そして、少し普通の学校の人と違う気がした、だけ。
俺にはもうひとつ迷ってる事があった。
どうやって起きよう。
自分の寝起きの様子なんて分からない。
愛生の前で寝たっけ。
俺は寝てない事を願い、伸びをしてみた。
「健?」
えっ、どう反応すればいいの?
普段どうしてるっけ。
「んんっ……」
こうしたら大体起き上がるよね。
俺はなるべくゆっくり起き上がった。
「健……」
優に言われたことを気にしてるのか、呼ぶ声がいつもと
少し違った。
あれっ。
風邪でも引いたかな。
俺はつい頭に手を当てた。
「大丈夫?頭痛いの?」
「いや、大丈夫」
「いきなりいろんなストレスが加わったのね」
「いや風邪だろ……」
「ストレスだったら、ごめんね……」
愛生は本当に悪い事をしたように言った。
「愛生?」
「ふふっ、なんでもない」
「そっ…か」
優も俺に対して優しすぎんだよな。
愛生との仲を悪くする可能性があっても、あんな事を。
「ケホッケホ……」
「ちっちゃい子みたいな咳すんのね」
「っせぇ」
「ハハッ、風邪引いたみたいね」
「だぁからそう言ったろ」
「ハハッ、まぁいろんな意味でゆっくりしとくのね」
「えっ、行くの?」
「あたしは行きたくないけどねぇ」
そう言ってカーテンの外に出ようとする愛生。
「俺も」
それを呼び止めるように言った。
というか、言ってた。
「健?」
「俺も……行ってほしくない……」
「良いわよっ。そう言ってここに居させてもらう」
そう言って再びそばの椅子に座ってくれた愛生。
嬉しかった。
「健」
「なに?」
「ごめん……ね」
「えっ?」
「あたし、気づかない内にいろいろ……」
俺はそれがどういう意味かすぐに分かった。
「愛生は何もしてない……」
「え?」
「あれはただ、俺が……」
その先の言葉がなかなか言えない。
愛生に、悪くて。
だから言わなきゃいけないのに。
「健?」
「俺が、ただ勝手に……」
「いや健、ごめん、何言ってんの?」
「あれはただ、俺が勝手に変な態度とっただけ」
「えっ?」
あれ、あのことじゃないのかな。
「いやごめん。何?」
「多分話してることについては同じだと思うんだけど……」
「俺が愛生に冷たくしたりしたやつでしょ?」
愛生は頷いた。
何が噛み合ってないんだろう。
「ちょ、あたしが思ってるあの事話していい?」
俺はもちろん頷いた。
「あの頃、あたし何か変だったみたいで、気付かない間にいろいろ健にしちゃってたの。そのいろいろってのも
分からない。無意識、過ぎて」
愛生、そんなふうに思ってたんだ。
「健は?」
「あれは俺が勝手に、変に気ぃ遣わせたくないとか考えて変な態度とってただけ」
「は?んでそんなことしたのよ」
これ、怒られる感じ、だよね。
「ああいう態度とれば、関わりたくないって思って
もらえると、思ったから」
「バッカじゃねぇの?」
ですよね。
こうなると思った。
「『関わりたくない』ってより『関わらない方がいいの
かな』って思ったし、別に変な心配なんかしてないから」
あれっ、何か違う。
俺は愛生を見た。
「変に気ぃ遣ってんのぁ健じゃん」
「愛生……」
「バカ」
愛生はそう言って俺に抱きついた。
「バカはどっちだよ。うつるから」
「フンッ、別に健のならいいわよ」
「うわうわうわ、怖いんですけど」
「ぶっとばすぞ」
「男の子みたぁい」
「は?」
愛生が頭を叩く。
「バカっ、頭はダメだって」
「それ以上悪くなったら大変ですからね」
「愛生ほどじゃない」
「あたしゃ学年で一番よ?」
「へぇ~、新情報」
「マジ後で覚えとけ」
久々に本気で笑ったかも。
どうか翔が俺の心配をしてない事を願う。
「健?急に変わるよね」
「えっ?何か変わった?」
「急に暗くなったよ?」
「愛生に命狙われてたから」
「はぁ?まぁ悩み事じゃないなら良いわ」
その時、足音が聞こえてきた。
きっとここの人。
俺はつい愛生の制服を掴んだ。
「何よ」
愛生がそれに気付き、振り返る。
「えっ、健?どうした?」
「あれっ……」
俺は愛生の顔を見ながら制服を離した。
「大丈夫?」
「ごめん……」
「いや、別に全然いいんだけど、健は大丈夫?」
「う、うん…」
俺は前の辺りを見た。
確かに聞こえたと思ったんだけど。
「誰か来た?」
「えっ…!」
もう一度愛生を見る。
「あぁ違う違う、そう思ったの?」
「あっ、うん……気のせい、だったみたいだけど……」
俺は恥ずかしくてついに下を向いた。
「大丈夫?気にし過ぎじゃない?もっといろいろ気に
しないで過ごした方が良いよ?」
「そう……だな…」
「今日はずっとここに居よ?あたしも居るから。
で、終わったらうち行こ?」
「愛生……ん家?」
「嫌?」
「俺は良いんだけど、愛生ん家は?」
「普通そういうの分からん状態で呼ぶ?」
「だよね……」
「健、大丈夫だよ。誰かが来ても、あたしが居るから」
愛生は温かい両手で俺の冷えた右手を包み込むようにして
言った。
それが、凄く落ち着いた。
