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Best Friend〜姿を変えた君と〜


「あれっ、優?」

見ていたドアから愛生が来た。

「健と何かあった?」

「別に?なんで?」

愛生は鋭い。

嘘ならだいたいバレる。

内心ハラハラでなんとか冷静風に相手をする。

「さっき健とすれ違ってさ」


なんでここでわざわざ止めるかな。

この間が怖い。

そう。

この間の反応でだいたいバレる。

愛生は俺の顔を覗き込む。

そして目を見られる。

俺はなんとか愛生と目を合わせた。

合ってるか、分からないけど。

「何かあったろ」

「健、何か変だった?」

「あったんだ」

「ちょっと、いけない事聞いちゃったかな……」

「そっか。何聞いたの」

あれ言うの?

ちょっとっていうか、かなりいけない事聞いたんだけど。

「夕里と何かあったの?って、聞いた……」

「そっか」

俺はつい愛生を見る。

愛生はそれに気付くと俺を見てニコッと笑った。

「で、健はなんて答えたの?」

愛生の声が、ほんの少し暗くなった気がした。

「何も、ないってさ……」

「そっか。まぁ、だろうとは思ったよね……」

そういえばさっきから愛生に男っぽさがない。

別に女の子みたいに居てもいいんだけど、何か隠してる
時は男っぽさが消える。

「愛生?」

「これさ、言って良いか分かんないんだけど……」

そんな大事なこと俺に言っちゃう?

誰かに言われる心配は確かにないけど解決出来ないという心配は誰よりも必要。

「健ね……」

愛生がかなり言いづらそうに話し始めた。

「健、夕里が……」

健と夕里の名前出てきちゃったよ。

俺、耐えられるかな。

「夕里が苦手みたい」

俺は何も言えなかった。

『健くんの家に初めて行った日、健くん、『信じてる』
そう言ってくれたの……』

多分あれだね。

信じてるとは言ったものの警戒心がまだ抜けきって
なかったんだね。

そしてその言葉を後悔してる。

「信じてるって叫んだらしいのにね」

「知ってんの?」

「知っ、てるね」

「聞いたの?」

「まぁ、知ってるからそうなんじゃん?」

今の健が?

今の愛生に?

そんなこと言ったの?

聞いたなら健からしかないよね?

二人の間には何があったの?

「ねぇ、愛生?」

「ん?」

「健と何かあった?」

「二人目じゃん。何もないけど?」

まぁ、そう言うか。

何かあってそのまま言う奴もそういない。

居たら相当素直な方。

見習うべき人。

「でもね」

俺は素早く視線を愛生へ。

「二人のおかげで健が変だったときより仲良くなったよ」

「あぁ、そう……」

俺はさっきよりかなり遅く前を向いた。

「で?そう言う優は誰とも何もないわけ?」

「とても平和に過ごしてる」

「それは良かった」

「本当に誰とも喧嘩しないよね?したことある?」

「前一回、夕里と」

「ほぉ〜っ。その優を怒らせたんだ」

「うーん……」

怒ってたのかな。

「なんで喧嘩したの?」

「うーん…」

「なんで仲直りしたの?」

「うーん……」

「なんも覚えてないじゃん」

「まぁ、思い出なんてそんなもんよ」

「思い出なんだ」

「俺にとっちゃ毎日思い出だから」

愛生は驚きと心配が混ざったような顔で俺を見つめる。

「えっ、新種の虫でも見つけた?」

「キャッ!虫!?」

「ハハハッ」

こういうところはガッツリ女の子なんだね。

「バカ!ただ、なんかすげぇこと言うなと思っただけ」

「そうか?明日になれば今日も思い出の箱の中でお休み。毎日思い出だよ」

「いろいろ考えてるんだね」

「健ほどじゃないよ。とりあえず、今は健と居て
あげて?」

「優は?何も悩んでない?」

俺は笑顔で頷いた。

愛生は安心したように笑うと、さっきのドアの方へ。

そのドアは愛生の姿も消した。

俺は空を見上げた。

「今日は笑ってるね」

一人で空に話し掛けてみる。

誰かに見られたらとことん変な奴だと思われる。

一人で空見て喋ってる。

危ない奴だとも思われそう。

俺はそれでも、しばらく空の上で俺らを優しく見守る彼に話し掛け続けた。


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