『今は健と居てあげて?』
一人に出来ない状態になるようなこと言うなよ。
「あれっ……」
薄暗い、誰も来ない階段の踊り場に健と、誰だあれ。
ふと白衣のようなふわっとしたものが見えた。
宮河か。
何話してるんだろう。
あたしは二人の死角に入った。
「大丈夫?無理しないで?」
宮河の優しい声に、健は何も言わない。
言えない、なのかな。
「いつでも待ってるから」
待たれてもね。
「はい……」
緊張から震える健の声。
「今は大丈夫?」
その言葉にも健の答えは聞こえない。
頷くくらいはしてるのかな。
変に心配させたら連れてかれるからね。
しばらく話すと、じゃあね、と宮河はどこかへ。
あたしはもちろん二人が居た場所へ。
「健」
立ってるとあんなに高いのに。
健はその場にしゃがみ、ゆるい制服の腕を握る手を
震わせていた。
あたしは迷わず健の隣にしゃがんだ。
今は何も言わず、ただそばに居るだけ。
あれっ、そういえば健、なんでこうなったんだろう。
「健?」
健は震える左手であたしの制服を握った。
「大丈夫?疲れたね」
呼吸はいつもどおり。
顔色は、よく見えない。
多分そんなには悪くない。
緊張して疲れたんだろう。
「えっ、健?」
誰か来るの?
足音は全く聞こえない。
あたしだけ、かな。
健だけ聞こえちゃってる?
あの時、みたいに。
けどなかなかあたしの制服を離さない。
「い…る……」
居る
健は確かにそう言った。
まさか、宮田 夕里?
けどあたしには足音も聞こえなかったし、視線も気配も
感じない。
あたしが鈍感ってのもありそうだけど。
「健?大丈夫。誰も居ないよ?」
あたしが言うと、健はあたしの制服を握る左手の力を
さらに強めた。
「しず……かに…」
何か聞いてるの?
なら、なんのために。
何か知りたいことがあるなら教えてあげるのに。
健?
健の事、何か知りたいの?
宮河との関係、とか?
あたしはそっと健の背中をさすった。
この背中の小ささにも慣れてきた。
「あっ………」
健はあたしの制服をそっと離した。
行った、のかな。
「はぁ、はぁ……」
凄い。
走った後みたい。
走った後でもこんなふうになってる健は見たことない。
あたしはこんなもんじゃ済まない。
いや違う、今は健に集中しなきゃ。
あたしは優しく健の背中をさすった。
もう普通に座っちゃえばいいのに。
あたしは足も痺れてきたからその場にあぐらをかいた。
「はぁ……はぁ…」
少し落ち着いてきたみたい。
「お疲れ」
半端ない緊張感から開放されるとこうなるんだね。
あたしはこんなに緊張したことはない。
あたしがこのまま健の立場だったら耐えられない。
「大丈夫?」
「うん……ありがと…」
辛い時は素直なんだよね。
常にこうなら可愛いのに。
それじゃ健じゃないか。
「保健室、行かない?もちろんあたしも居る」
「大丈夫。しばらくこうしてれば落ち着くから」
「そう」
「んん……」
うわ、今度は何。
「大丈夫?」
「風邪…引いたかも…」
また可愛い言い方しちゃってね。
弟みたい。
「そっか。やっぱり落ち着いたら保健室行こ?」
「ん……」
本当の小さい子より放っとけないかも。
それはないか。
そんなくだらない事を考えながら10分ほど経った頃。
さっきから健が全く動かない。
ここが学校であることを忘れそうな行動に。
寝たね。
「健?起きて?」
無視してんだか起きないんだか。
よく分からないのが、この男。
あたしは健の脇腹を刺激した。
あ、効かないんだっけ。
「何か言った?」
「寝てたろ」
「無」
「は?」
「初めて学校で無になってた」
「凄いじゃん」
無って一番難しいんだよね。
「はい。じゃあ保健室行きますよ?」
「大丈夫」
このままでもちょっと困るかな。
「教室戻る」
「そっか」
えっ?
今、なんとおっしゃしました?
「教室?」
「たまにはちゃんと出ないとね」
健の中の変な真面目が顔を出した。
「別に良いけど無理すんなよ?」
「仮病する」
そこはいけない子なんだ。
上手くバランス取ってんのね。
取れてるんだよね。
あたしは少し心配しながらも健と教室に向かった。
一人に出来ない状態になるようなこと言うなよ。
「あれっ……」
薄暗い、誰も来ない階段の踊り場に健と、誰だあれ。
ふと白衣のようなふわっとしたものが見えた。
宮河か。
何話してるんだろう。
あたしは二人の死角に入った。
「大丈夫?無理しないで?」
宮河の優しい声に、健は何も言わない。
言えない、なのかな。
「いつでも待ってるから」
待たれてもね。
「はい……」
緊張から震える健の声。
「今は大丈夫?」
その言葉にも健の答えは聞こえない。
頷くくらいはしてるのかな。
変に心配させたら連れてかれるからね。
しばらく話すと、じゃあね、と宮河はどこかへ。
あたしはもちろん二人が居た場所へ。
「健」
立ってるとあんなに高いのに。
健はその場にしゃがみ、ゆるい制服の腕を握る手を
震わせていた。
あたしは迷わず健の隣にしゃがんだ。
今は何も言わず、ただそばに居るだけ。
あれっ、そういえば健、なんでこうなったんだろう。
「健?」
健は震える左手であたしの制服を握った。
「大丈夫?疲れたね」
呼吸はいつもどおり。
顔色は、よく見えない。
多分そんなには悪くない。
緊張して疲れたんだろう。
「えっ、健?」
誰か来るの?
足音は全く聞こえない。
あたしだけ、かな。
健だけ聞こえちゃってる?
あの時、みたいに。
けどなかなかあたしの制服を離さない。
「い…る……」
居る
健は確かにそう言った。
まさか、宮田 夕里?
けどあたしには足音も聞こえなかったし、視線も気配も
感じない。
あたしが鈍感ってのもありそうだけど。
「健?大丈夫。誰も居ないよ?」
あたしが言うと、健はあたしの制服を握る左手の力を
さらに強めた。
「しず……かに…」
何か聞いてるの?
なら、なんのために。
何か知りたいことがあるなら教えてあげるのに。
健?
健の事、何か知りたいの?
宮河との関係、とか?
あたしはそっと健の背中をさすった。
この背中の小ささにも慣れてきた。
「あっ………」
健はあたしの制服をそっと離した。
行った、のかな。
「はぁ、はぁ……」
凄い。
走った後みたい。
走った後でもこんなふうになってる健は見たことない。
あたしはこんなもんじゃ済まない。
いや違う、今は健に集中しなきゃ。
あたしは優しく健の背中をさすった。
もう普通に座っちゃえばいいのに。
あたしは足も痺れてきたからその場にあぐらをかいた。
「はぁ……はぁ…」
少し落ち着いてきたみたい。
「お疲れ」
半端ない緊張感から開放されるとこうなるんだね。
あたしはこんなに緊張したことはない。
あたしがこのまま健の立場だったら耐えられない。
「大丈夫?」
「うん……ありがと…」
辛い時は素直なんだよね。
常にこうなら可愛いのに。
それじゃ健じゃないか。
「保健室、行かない?もちろんあたしも居る」
「大丈夫。しばらくこうしてれば落ち着くから」
「そう」
「んん……」
うわ、今度は何。
「大丈夫?」
「風邪…引いたかも…」
また可愛い言い方しちゃってね。
弟みたい。
「そっか。やっぱり落ち着いたら保健室行こ?」
「ん……」
本当の小さい子より放っとけないかも。
それはないか。
そんなくだらない事を考えながら10分ほど経った頃。
さっきから健が全く動かない。
ここが学校であることを忘れそうな行動に。
寝たね。
「健?起きて?」
無視してんだか起きないんだか。
よく分からないのが、この男。
あたしは健の脇腹を刺激した。
あ、効かないんだっけ。
「何か言った?」
「寝てたろ」
「無」
「は?」
「初めて学校で無になってた」
「凄いじゃん」
無って一番難しいんだよね。
「はい。じゃあ保健室行きますよ?」
「大丈夫」
このままでもちょっと困るかな。
「教室戻る」
「そっか」
えっ?
今、なんとおっしゃしました?
「教室?」
「たまにはちゃんと出ないとね」
健の中の変な真面目が顔を出した。
「別に良いけど無理すんなよ?」
「仮病する」
そこはいけない子なんだ。
上手くバランス取ってんのね。
取れてるんだよね。
あたしは少し心配しながらも健と教室に向かった。
