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Best Friend〜姿を変えた君と〜


気付けば授業は終わっていた。

私の隣には、愛生が居た。

「愛生、ちょっといい?」

私は愛生の腕を引き、屋上に来た。

「ちょい、何の騒ぎ?」

別に、騒いではいないかな。

「あのさ、健くんって、人……」

愛生は何度か大きめに頷いた。

「そうだと思う…今までずっと……」

「今まで?ずっと?」

愛生は頷いた。

そして続けた。

「人の視線にはすぐ気付いてたし、クラス替えの時は
紙の前から動かなかった」

どんな人と同じクラスかを確認するため。

全員の名前を確認しないと落ち着かなかったんだろう。

「愛生は、いつ気付いた?」

愛生は首を振った。

これがどういう意味かは分からない。

「あたしは、なかなか気付いてあげられなかった。
中学の頃から、なんとなく……って感じで…」

私は何度が頷いた。

『気付いてあげられなかった』

あげられなかった、か。

「これからでも、良いかな」

愛生は、もちろんだよ、と頷いた。

『中学の頃から、なんとなく……』

中学の頃、やっと気付いたって意味だよね。

ってことは、結構前から?

「愛生は、健くんといつから一緒なんだっけ?」

「幼稚園の頃から……」

そんなにずっと一緒にいたのに、気付かなかったんだ。

そんなに、無理してたんだ。

「健は……って、言ってもいいのかな」

「私は、言ってほしいかな」

もちろん、誰にも言う気はない。

いう必要なんて、ないから。

「誰にも、知った事は言わないで……」

私はもちろん頷いた。

まぁ、言う人も居ないからね。

話し相手が居ない感じ。

「健は、幼稚園の頃、ずっと泣いてる感じの子だった。
小学に上がっても、大人しい子で。中学では来なく
なって。今は、何があったかは知らないけど頑張ってる」

「そっか……」

中学、行けなかったんだ。

よく今頑張ってるね。

もう、無理しないで。

「戻ろ?」

「夕里!」

私がドアの方に行くと、愛生が止めるように私の名前を
呼んだ。

私はもちろんその声に振り返った。

「あたしには……あたしには何が出来るかな……」

「大丈夫。一緒に頑張ろ?」

「夕里……」

「大丈夫。私はある程度、慣れてるから」

慣れてるなんて、言って良いのか分からないけど。

私は教室に向った。


<2016/07/29 21:27 秋の空>消しゴム
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