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Best Friend〜姿を変えた君と〜


今日の夕里の視線はキツい。

愛生、余計な事言ってなければいいけど。

そしてこの斜め前の女子。

この人もなんとなく夕里っぽい気がする。

別に誰が誰に似てても良いんだけど。

けど夕里に似てるのは、ちょっと。

なんでこういうタイプの人多いかな。

その時、足音が聞こえた。

俺は何故か隣の優の手を握った。

「えっ、健?大丈夫?」

えっ、止まった……

「あっ、ごめん……」

「いや、全然良いんだけど、無理なら保健室行くよ?」

「大丈夫……」

早くこの席にも慣れないと。

そして最近、一日教室に居たことがない。

「ほんとに無理しないでよ?」

俺は優の優しい言葉に頷いた。

無理、か。

どこまで行ったらそう言えるんだろう。

少なくとも俺はまだだろう。

そんな事を考えていたその時、教室のドアが開く。

やっぱり、来てたんだ。

「健?大丈……」
「大丈夫」

俺は優が言い切る前に言った。

この、俺らの会話が聞こえたらあの人は俺に話し掛ける。

今は感じ良く応えられる気がしない。

「宮河……」

俺は下を向いて前髪で顔を隠した。

「健……」

「宮河?」

なんで来るかな。

誰もこの人を求めちゃいない。

「宮河、大丈夫か?」

俺は答えることも頷くこともできなかった。

その時、身体が浮いた気がした。

辺りを見てみると実際に浮いていた。

俺を抱き上げたのは優。

「ちょ、はな……して…」

「大丈夫、保健室までだから」

「やだっ……ある…く……」

優の腕の中で小さな子供のように暴れると優はそっと
おろしてくれた。

そしてその場所にしゃがんだ。

「ごめん。疲れたね?」

優も俺の隣にしゃがむ。

「大丈夫……」

ただ抱き上げるのはダメだって。

しかもあんな女みたいに。

「ごめんね。しばらく休もっか。誰も来ないし」

『誰も来ない』

今の俺にとってそれ以上の安心はない。

「どうする?帰っちゃう?」

「大丈夫」

「俺は帰りたいんだけど。真面目なんだね」

こういう終わらせようのない会話。

一番苦手。

「ごめんね。歩ける?」

「あっ、うん」

そう言って立ち上がった時、立ち眩みがした。

「おっ、大丈夫?」

「ごめん……」

「大丈夫 大丈夫」

優はしばらく支えてくれた。

恥ずかしくてしょうがない。

「落ち着いた?」

「ごめん。ありがと……」

優は可愛らしく笑った。

俺はついその笑顔から目を逸らす。

「いやぁ、疲れたでしょ。ゆっくり休んでね?」

優は俺のペースに合わせ、ゆっくり歩きながら言う。

「うん……」

「そんなに気にしないで?調子悪いんだもん
しょうがないよ」

別に調子が悪い感じはなかった。

「自分では気付いてなくても、健の身体はもう限界なん
だよ」

「優……」

優は優しく笑った。

いろんな笑顔を作れる人。



そして俺は今日もこのベッドの上に。

もうここで寝るのにも慣れた。

「じゃあ」

「優っ」

気付いたら呼んでた。

優はそんな俺の声に振り返る。

「いく……の?」

「居てあげよっか?」

優は授業がサボれるからかとても嬉しそうだった。

俺はどんな理由ででもそばに居てくれればよかった。

だからそ嬉しそうな言葉に頷いた。

すると優は最高の笑顔でベッドの隣の椅子に座った。

「いつまでも居てあげる」

「ごめん…」

「気にしないでっ。授業もサボれるし、健と居れるし」

なんか怖いけど。

俺はその言葉に笑った。

優も笑ってくれた。


<2016/08/02 16:38 秋の空>消しゴム
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