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Best Friend〜姿を変えた君と〜


俺は優と、ここに来た。

あの、写真の場所に。

愛生とも、夕里とも来た場所に。

「俺さ……」

優は隣で俺を見た。

「夕里のこと、本当は好きなのかも知れない」

「わおっ、恋愛的な?」

「流石にそれはないわ」

「無いんだ……」

「本当に、最高に頼れる友達として」

「でも、健……」

俺は頷いた。

確かにあれは俺でも分からない。

あの、夕里に対して感じた、恐怖感の本当の意味は。

「確かに嫌いではないんだろうけど、怖いんでしょ?」

「怖いほど、分かってるのかな。俺の事」

「健……」

「多分、やっぱり無駄な心配はさせたくなかったんだと
思う」

「いや、は?」

確かにそうなるよな。

俺もなりそう。

「心配させたくない気持ちが?あの?いやいやいや」

「俺も分からないけど……」

「あっ、ごめん」

俺は優に首を振った。

「えっ、怖、分かっ……」

優、落ち着かない。

「は?」

結果はそれ。

「だってあんなに?」

「うーん。苦手な他人にそこまで分かられるのと、
気づかぬ間に素を出すのが怖かったんだろうな」

「いやいや、難しすぎてもう……」

うん。

俺も分からなくなってきた。

「いやっ、最高に怖がってたじゃん?」

最高に。

「だっ、あぁ〜」

何かが分かったように落ち着いてきた優。

「簡単に言えば、凄い分かってくれんのに素直になれな
かった的な?」

「それだっ!」

優は嬉しそうに笑った。

俺もつられて笑った。

本当に、心から。

何も考えずに。

「でもあんなに?」

「そこ行くとまた迷って帰れなくなる」

「なんか難しい感情だね」

「生き物の気持ちなんてそんなもんだ」

「なんかかっこいい。ウケる」

そういうの苦手なんじゃなかったっけ。

他人、分からない。

けど、少し分からないくらいがいいんだろうな。

俺は感謝の気持ちを込めて、大きな銀杏の木を見つめた。


「イチョウって、漢字で書くとそのままなんだよね」

「え?」

「ギンナン」

「あぁっ、確かに。まぁ、植物の名前くらい分かりやす
くてもいいだろ」

「そうだよね」

俺らはイチョウの木を見つめた。


<2016/08/02 18:11 秋の空>消しゴム
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